不死の王ノスフェラトゥ01
やはり鳥とドラゴンはバカだ。
しょせん、鳥獣の類。
難しいことを理解させようとしても無理なのだ。
それに比べ、わしはもと人間。
きちんと思考能力が備わっている。
最近、少し記憶力というものが衰えてきたが、それでもドラゴンの脳みそと比べて格段に大きな脳を持っている。
それにわしが忘れるのは、ごはんを食べたかどうかとかどうでもいいことばかり。
昔のこととジュエルボックスのことはよく覚えているのだ。
昔にいじめられたこととかいじめられたこととか、いじめられたこととか。
え、わしの青春ってこんなんだったっけ。
まあいい。
こういうときにはわしの有能さを見せてやらないとな。
あんな簡単な手加減もできないバカどもとの違いをな。
そうしたら、次からわしにしか仕事がこないことになる。
もちろん、ジュエルボックスの感謝はわしに集まるのだ。
さて、今回は狂戦士オスナと黒血将軍ガーランド。
B級だが、なかなか強いフィギャーだ。
わしは、ジュエルボックス以外にも死者のコレクターをしている。
強い死人を集めて軍隊を組んでいるのだ。
その中でも小隊長クラスの2体を呼び出したのだ。
将軍クラスを出したら、鳥どもと同じようなことになるからな。
この2体なら、そこまでの強さはない。
わしの墳墓に踏み込んでも5層くらいの実力だ。
それでも、ここの兵士くらいなら100人くらいは簡単に殺せる。
「それでは、兵士を殺さない程度に暴れてください」
わしはフィギャーに命令をする。
「理解不能。
命令をやり直してください」
どういうことじゃ?
あ、命令はシンプルなものしかないのか。
殺せとやめろ。
あ、そうだったっけ。
まあ、殺せでいいのかな。
相手もばかじゃないし、そこまで弱くないだろ。
たかが小隊長クラスだからな。
「殺せ!」
「御意」
そう言って、2体の骸骨剣士は衛兵のところに突っ込んでいく。
そのとたん、血煙が舞い、首が飛ぶ。
え。
そういえば、忘れてたこの2体ってやばいやつらだった。
戦闘狂で人を殺すために軍に入ったとかいうやつら。
嬉々として槍と剣を振り回している。
「やめろ!」
わしは一度やめるように命令する。
「命令が理解できません」
え、命令が効かない。
もしかして、壊れてるの。
しばらく使ってなかったからな。
わしが命令を取り消そうとやっきになっている間も、2体の骸骨は衛兵たちを殺しまくっているのだった。