マネージャーキリシュ06
とにかく、時間は稼いだ。
今日は王が彼女たちに手を出してくることはないだろう。
できるかぎり早く逃げ出す。
それしかない。
「あ、キリシュさん。
どうしたんですか?」
美羽が俺を見て話しかけてくる。
とにかく、まず、おっさんたちと話をして、逃亡計画を寝るのがいい。
それができてから彼女たちに話をするつもりだ。
中には短絡的な子もいる。
逃亡計画を知ったら、行動にでてしまう子。
美桜って子がそうだ。
なにも考えていないように思う。
それとリム、この子もすこし読めないところがある。
この子はあのおっさんたちと同類、いやそれ以上のものを感じる。
あんまり触れたくない感じだ。
「なんでもありません」
「そうですか。
でも、王宮の人と何か話していましたよね」
「ええ、ライブ、すごくよかったって。
王様がすごく喜んでおられるらしいです」
「よかった。
じゃあ、何か罰を受けるとか、そういうのないんですね」
「それどころか。
また、観たいと言われているみたいです」
「そうですか。
でも、なんかキリシュさん、困っておられたような感じでした」
やっぱりこの子は鋭い。
なにもかも見透かしてしまうようだ。
まあ、この個性の強いのをまとめているだけある。
「ええ、王様がすごく気に入ったみたいで。
今日はご褒美にここで歓待してくれるとのことです。
それで、ここに泊ってゆっくりしてほしいとのことなんです」
「それは困りました。
早く戻って街でのライブの準備をしないとなりません」
「そうなんです。しかし」
「断れないんですね」
俺は首を縦に振る。
「わかりました。
今日は王様のいうことを聞きましょう。
なんかやばくなったら、その時に考えましょう。
わたしがメンバーに話をします。
キリシュさんはその他のことをやってください」
美羽はそう言ってメンバーのところに戻っていくのだった。