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白銀美桜04

「で、言葉は通じたみたいだね」


「そういえば、日本語しゃべってたような。

 翻訳スキルゲットってとこかな」


「とりあえず、言葉は通じるっと。

 じゃあ。これからどうするかだね。

 だれかこっちのお金とか持ってない?」


 みんながポケットなんかを探るけど、なにもない。

 それに衣装だけだから、売るものもない。

 荷物とか持ってこなかったからね。

 着の身着のままって感じ、それもステージ衣装だし。

 

「でも、たべるものも泊るところとかいるよね。

 どうしよう」


 でも、ここって。

 噴水の周りには、大道芸人、楽器を奏でる人。

 そのまわりを人垣が囲んでいる。

 芸人の人の前にはコインが投げられる。

 あれだ。


「とりあえず、あれやってみない」


「そうだね。あれしかないよね」


「わたしたちのできることってこれだよね」


 みんな立ち上がる。

 そして、噴水の場所まで移動する。

 わたしたちの珍しい恰好を見て、何がはじまるんだろうって人が集まってくる。


 すこし顔をあわせて打合せをする。

 そう、前にアカペラバージョンでやったことがある。

 ここでは楽器もないし、それしかない。

 詩織から音をもらう。

 そう、詩織は絶対音感を持っている。

 

「じゃあ、始めるね」

 美羽の合図で、自分のポジションに動く。

 何度も練習した距離だ。

 身体が覚えている。

 歌を前面に押し出すときはわたしがセンターだ。


 3・2・1・0

 詩織が指でカウントして歌い始める。

 わたしのソロから始まる。

 そこにひとりひとりハーモニーやボイパを重ねていく。

 そしてダンスが始まる。

  

 わたしたちのパフォーマンスに観客が引き込まれる。

 表情を見るとわかるんだ。

 曲は最後の盛り上がりを迎え終わる。

 一拍遅れて、わたしたちを大きな拍手がつつみこむのだった。

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