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異世界アイドル転生譚 転生したら魔王たちに推されて最強です  作者: PYON
4章 ジュエルボックスと市民革命
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パトリック王国国王アンディ15世01

 わたしはパトリック王国国王アンディ15世だ。

 今日は最近、王都で流行っているパフォーマンスを見せるといわれている。

 どうせ、つまらない芸なんだろう。

 芸事というのは、長年の研鑽を経て完成するものだ。

 高級なものはワインのように年月を経て熟成される。

 音楽も舞踊も演劇もそう。

 だから、わたしは今日の茶番にあまり期待はしていない。

 わたしのように耳や目が肥えているものには下々の芸は下品にしか思えないからだ。

 なんでも、若い女が肌を露出して歌ったり踊ったりするというではないか。

 そういえば、だいぶ前になるが、芸人が裸芸とかいうのをやった。

 これも、王都ですごく人気のある芸だったらしい。

 宮廷侍従の一人がわたしに取り入ろうと連れてきたのだ。

 結局、王の前で緊張した芸人がお盆を落として、局部をわたしの前にさらした。

 つれてきた宮廷侍従と一緒に彼は斬首された。

 その首を斬られる前のみっともない命乞いがいちばん面白かったわけだ。

 同じようなことにならなければいいのだが。

 わたしは別に血をみるのは好きではないのだからな。

 今回の芸はわたしに取り入って側室のひとりにでも加えてもらおうというのだろう。

 つまらん。

 そういうのは飽き飽きした。

 どこかに、わたしの心を本当につかんでしまうものはないのだろうか。

 わたしは本物を知っている。

 そして、それを見飽きている。

 だから、わたしは何を見ても心を動かされることはないのだ。

 ただただ、退屈なだけなのだ。

 今日もわたしの前で粗相をしたはしための命乞いを見るだけなのだろう。


 それより、わたしの心をとらえているのはガニア帝国の動きだ。

 最近、すごい勢いで勢力を広げている。

 もう少しで我が国にも宣戦布告をしてくるかもしれない。

 やつらは旧勢力には容赦しない。

 首を斬って衆目にさらす。

 そう、これからの支配者は誰であるかを示すのだ。

 もちろん、王宮は略奪され放題になるだろう。

 そんなのは絶対にダメだ。

 500年も続いてきたこの王国をわたしの代で終わらすわけにはいかないのだ。

 ただ、この国には代々王を守るものがいる。

 ひとりひとりが一軍に相当する一騎当千の武人王の八本剣。

 それから、魔導の頂点である5人の王宮侍従長たち。

 これらがあるかぎり帝国といえど簡単には攻めてこれない。

 現に一本の剣がガニア帝国の小隊を退けたことがある。

 それも最弱とされる一本だ。

 やつらを動かすのは王の権力だけでは足りない。

 多少の忠誠心はあるが、なにぶんわがままなやつらだ。

 それを維持するのに多大な金がかかる。

 それだけじゃなく、騎士団の整備も必要だ。

 やつらを退けるだけで、今の数倍の軍隊がいるだろう。

 そのためには増税しかない。

 新たな産業を起こしている時間もないのだ。


 まあ、今日は楽しもう、まあ血なまぐさい命乞いのショーにならないことを祈るのだけどね。

 しかし、それはそれでいいとしようか。 

 

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