革命家マルクス03
「それは本当か?リヴァイア氏」
「本当だ。今度王宮でライブがあるのだ」
わたしの問いにドル活仲間のリヴァイア氏が答える。
王から使いが来て、王宮でライブをやってほしいってことらしい。
これはまずい。
この国の王は超わがままだ。
ジュエルボックスのことだ。
たぶん、王も満足するだろう。
ただ、もしそうならなかった場合、まずいことになる。
彼女たちにはなんらかの罰が下されるだろう。
それより、もし王に気に入られたら。
あのかわいい、美羽たんのことだ。
絶対そうなるに決まっている。
王は後宮に入れようとするだろう。
それを断ったら大変なことになる。
どっちにころんでもいい結果にならない。
「リヴァイア氏、それをやめさせることはできないのか」
「どういうことだ。
もしかしてマルクスは、そのライブも観たいと思ってるんじゃないだろうな」
「いや、違う。
この国の王宮はやばいんだ」
「それなら、心配はいらない。
我はマネージャーにスタッフとして一緒に王宮に行くよう依頼されている。
我がついていくかぎりやばいことはなにもない」
自身満々に胸をはるリヴァイア氏。
その自信はどっからくるんだ。
確かにリヴァイア氏はなかなかいいガタイをしている。
たぶん、元冒険者かなんかなんだろう。
しかし、それくらいで王と戦えるものではない。
王の八本剣や侍従長たち。
そんな化け物に勝てるわけはない。
「おたく程度じゃ。王の側近にひねりつぶされるだけだ。
悪いことはいわない。
マネージャーのキリシュさんにライブをやめるように働きかけよう」
「それが、断れないみたいだ。
まあ、我もいるが、じじいも鳥もスライムもいる。
なんとかなるだろう」
だから古参のドルオタでどうにかなる問題ではないのだ。
「わかった。
ではわたしもできるかぎり動いてみます。
ジュエルボックスは命をかけても守って見せます」
わたしはそう言ってリヴァイア氏と別れる。
そして、家に帰って革命の同志たちに連絡を取るのだった。