マネージャーキリシュ03
それから、その酒場は惨劇の場となった。
あの冒険者たちは、一瞬で全員殺されていた。
やっぱ、逃げたほうがよかったよな。
しかし、逃げきれる可能性は限りなく低いが。
まあ、俺には関係のないことだ。
と思っている俺のほうに、少年は歩いてくる。
べつに俺は関係ないんだけど。
「おじさん、あなたのほうが面白そうだね。
戦ってみる?」
やっぱ、こいつはバトルジャンキーだ。
戦うことに喜びを感じる変態だ。
それに、ムサシのような剣技を極めるとかいう理由もない。
ただ、戦って殺す、それだけを楽しんでいるのだ。
「いや、いい。
俺はそんなに強くない」
「またまた。
おじさんの強さはみただけでわかるよ」
「しかし、ドラゴンに負けていまは抜け殻だ」
「たしかに、いまのおじさんなら簡単に勝てそうだ」
「そう、俺は負け犬だ。
もう、冒険に出る元気もない」
「そうだね。今のおじさんを倒してもおもしろくない。
でも、なんかまたどこかで戦えるような気がするんだ」
「いや、それはないだろう。
昼間っから俺は酒でも飲んでいるのがお似合いだ」
「じゃあ、今度ね」
少年は手を振って出ていった。
それが、俺が見た王の八本剣の一人だ。
あんなのが8人もいるのだ。
まず、勝ち目はない。
だが、ひとつだけ方法がある。
王宮にやつらを連れていくのだ。
そうすれば、八本剣と渡り合えるかもしれない。
わたしは、あの白いはっぴの大男を探す。
すぐに見つかる。
それくらい目立つのだ。
「リヴァイアさん、ちょっとお話が」
俺は彼に話しかける。
「キリシュか。
我に用か」
美桜推しのおっさんは、振り返って俺のことを見下ろすのだった。