最強の剣士
僕たち2人はグリッドさんの案内で会場に行くことになった。そして到着した。
「ここが毎週開催される大会の会場だ。約3000人が参加している。大会が始まったのは昨日からだからエントリーできるのは来週になるだろう」
「グリッドさんも大会出場者じゃないんですか」
「本当は出たかったところなんだが練習に夢中になってしまってエントリーし損ねてしまってね。ハッハッハ」
そんなことありえないだろとか思いながら僕とレインさんは愛想笑いをしていた。
「君らを連れていたのは訳があってね、この大会は出場者じゃない人でも自由に観戦ができるんだ。さあいこうぜっ」
しばらくして僕らは席に座った。現実世界でのスポーツ観戦などはスタジアムがあって周りに席がある。ただこの世界ではタッチパネルを使って試合をしている人を観戦できるみたいだ。
「ではランキングカップのルールを説明しようか。まずランダムマッチングで対戦相手を決定する。その後戦うわけなんだが普通ならもちろん切られて死んでしまうが、この大会はダメージが通らないようになっている。ではどうやって勝ち負けを決めるか。それは始まった瞬間ランダムに"ウィークポイント"が3つでてくる。相手の"ウィークポイント"はもちろん見えるが自分のは見えない。だから自分が狙う場所によって相手に位置がバレてしまうと言う駆け引きもある。それが面白いところだ」
「つまり相手より先にウィークポイントを3個落とせば勝ちってことね」
「その通り!勝てば順位は上がるし負ければ順位は下がる。簡単なことだろう?」
「もうすぐ現在ランキング1位の女剣士が試合を始めるみたいだぜ」
女性でランキング1位とは驚いた。
画面をタップしてみると名前や顔などが見えるようになっている。この女性の名前はフォルテと言うらしい。またフリックをすることで様々な角度から観戦できる。これは凄いシステムだ。
レインもじっと画面を見ていた。するとグリッドが語り出した。
「あいつには誰にも勝てん。半年前からこの大会に参加していたが負けることは無い。俺も何度が戦ったことがあるがあいつは最強だ。手も足も出なかった」
グリッドがどこまでの実力があるか分からないがあの家の豪華さから見て強い位置にいるのは分かる。そのグリッドが勝ったことのない相手
だ。全く想像がつかなかった。
まもなく現在1位のフォルテVS現在102位のダリアの対決が始まろうとしていた。そして試合が始まった。その瞬間ダリアが斬りかかった。僕にはウィークポイントにしっかり当てたように見えた。だがウィークポイントは消滅しておらず残ったままだ。つまり当たっていないことになる。
「回避したのか…全く見えなかった」
「同じく私も見えなかった。」
その瞬間ダリアのウィークポイントは3つとも消滅していた。
「あれがランキング1位の力か…」
僕は唖然とした。
「な?あれに勝つのは不可能さ。」
だが僕には少し違和感があった。普通の人間にあんなことが出来るとは到底思えないようにみえた。
「もしかしてこの人今僕らが持ってるオブジェクト・スキルとか使ってたりしてないですかね。例えば相手がどのような攻撃を仕掛けてくるか先に見えるとか」
「私も思った。剣士とはいえ普通の人間があの動きをできるはずがない」
「確かにあいつは当たったと思えば当たっていないし攻撃も早すぎて手に負えない。その可能性は十分にありえるがなんてったって自ら明かさないかぎり証明のしようがない」
最強の剣士フォルテ。一体何者なんだ。