剣士の国レクア
僕はその場でうずくまっていたが少しずつ痛みが和らいできた。少しずつではあるが回復しているように感じた。
「ほう。1発食らって立ち上がるか」
アレムは蔑んだ目で僕を見つめていた。
僕はここで倒すことしか頭になかった。もう一度同じように攻撃を仕掛ける。
「オラァァッ!」
その瞬間目の前からアレムが姿を消した。
「え?」
僕はテレポートされたのだ。すると目の前にいた男にそのままの勢いで蹴ってしまった。
「グハァッッッッ!」
鈍い音がなりその男は倒れ込む。
「あっ!あのっ。す、すみません!大丈夫ですか!」
「あはは、全然大丈夫だから」
その男はそのまま倒れ込んでしまった。しばらくして男は起き上がった。
「俺はグリット。よろしく。急に呼び出して悪かったね」
「僕は奈津影悠火です。助けてくれてありがとうございます」
「私はレスト・レインよ同じくお礼を言うわ」
グリッドは金髪の若い青年だった。
「もしかしてグリッドさんって右手にチップとか入ってたりしますかね」
「ああそうだ。俺のオブジェクト・スキルはチップを持つ人の位置がマップみたいに脳内にインプットされる能力。もうひとつはチップを持つものの視覚と聴覚を共有することが出来る。だからアレムが目の前にいること、現実世界を破壊するということを知ってオブジェクト・アビリティで2人をテレポートさせたって訳だ」
「ちなみにその能力ってどうやって手に入れたんですか?」
「それが全くもって覚えていないんだ。気がついたらやり方も知っていたし覚えていた」
よく分からないがグリッドの助けがなければ間違いなくやられていた。それにレインさんが連れ去られていたら危うく現実世界が大惨事になるところだったかもしれないと思うとゾッとした。
「ところでここはどこなんでしょう」
レインが言った。
周りを見渡すと剣道場のような場所だった
「ここは俺の家の地下の練習場さ。俺は剣士だからな。その理由を説明しよう。さあ着いてきて」
階段を上がって外に出ると素晴らしい光景が広がっていた。建物がどれも神々しく綺麗な街並みだった。
「あの〜この国って安全なんですか?またアレムが僕たちを探知して来たりしませんかね…」
「それに関しては問題ない。この国には特殊な結界が張ってある。だからアレムは俺らのチップを探知することも出来ない。それにアレムの目的は現実世界を滅ぼすことだと言っていたし大丈夫だろう」
「ではこの国について説明する。ここはレクアという国なんだ。剣士が数多くいるには理由があってね、1週間に渡って開催される剣士のランキングカップがあるからなんだ。そのランキングカップは最終順位が高ければ高いほど収入が増えてお金が多く貰えるようになっている。もちろん他にお金を稼ぐ方法はあるけどお金の単価が大きいのもメリットだね。」
「なるほど…グリッドさんは毎週そのランキングカップに参加していてそれの練習をしていたって訳ね。」
「そう正解!だから君たちも参加してみないかな!いずれ敵と戦うってなった時に役に立つかもしれないし!」
「もちろん参加するよ。楽しそうだし今実力をつけておけば絶対役に立つだろうしね」
「私も参加するわ。チップの力だけじゃ戦えないから」