表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】キスの練習相手は幼馴染で好きな人【連載版】  作者: 猫都299


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/67

39 写真に絡む真相


「…………柚佳から聞いた。柚佳じゃなくてオレに渡せよ……」


「ははっ。一井さんに揺さ振りをかけたくてね。ショックを受けた一井さんが俺に靡くかもしれないだろう?」


 相変わらず、篤は飄々と笑った。


「……とは言え、沼田君が喋ってくれたから代わりに俺も知っている事を教えよう」


「オレが喋った? 何かオレ言った?」


 篤の発言に、途端に不安になる。会話しているうちに篤にとって有益な情報を与えてしまったのか――?


 篤はそんなオレを見てニッコリしている。オレの質問には答えず『知っている事』とやらを話し出す。


「写真に写っていた子……、あの子は『情報屋』と名乗っていた。二週間くらい前……放課後に呼び出された事があって、隣の校舎の空き教室へ行った。そこへ写真の子が現れて『一井さんの好きな人って興味ない?』って言ってきたんだ。『ああ、それは知ってるから別の話がいい。君について知りたいなぁ』って俺が話を逸らしたら、その子は『沼田君について教える』と言ってきた。髪の毛が長くて綺麗だったから手に取ったら本当に嫌そうに言われた。『やめて、アンタに興味ないから』って。『君の目的は何?』って聞いてみたんだけど『場所を変えましょ』と言われて廊下に連れ出されて、階段を下っているうちにその子はいなくなってた」


 オレは篤の話を呆然と聞いていた。それじゃあ、あの写真の子は少なくとも二週間前には既に暗躍していたという事なのか? 以前からオレと柚佳の関係を壊そうとしていた……?


「それから」


 篤が再び口を開く。顎に手を当て目を細めている。


「俺が呼び出された空き教室には……もう一人いた。教卓の下で声を押し殺していたみたいだったけど。写真の子が見当たらなくなって戻った時にはいなくなってた」





「…………それ、私だわ」


 花山さんが言いづらそうな雰囲気をまとい小さく手を挙げた。


 放課後……今日は土曜なので今は昼なんだけど、クラスメイトも疎らな教室でオレと柚佳、花山さん、和馬が集まっていた。と言っても花山さんの机の前の席に柚佳が座り、オレと花山さんと和馬はいつものように自分の席に座っていた。


 昨日約束した通り、花山さんはあの写真の子について知っている事を話してくれようとしていた。オレが先に篤からの話を三人に伝えた。すると花山さんが狼狽えた様子を見せた。そして篤の言っていた空き教室に潜んでいた人物は自分だと認めた。


 残りの三人が彼女を見る。花山さんが挙げていた手を下ろし俯いた。


「やっぱり桜場君にバレてたのね、隠れてた事。何か恥ずかしい~!」


 両手で顔を覆った花山さんは首を横に振っている。


「え? 美南ちゃん……何でそんなとこにいたの?」


 和馬が質問を投げ掛ける。指の隙間から片目で和馬の方を見て花山さんは言う。


「だってマキちゃんが……ここに隠れててって」


 マキちゃんというのはあの写真の子の名前らしい。花山さんの話では、彼女は『情報屋』と呼ばれる謎のグループの一員。この学校の色々な情報を握っていて、会いたい旨をある手順を踏んで伝えると会える事があるらしく花山さんもその方法を半信半疑で試したのだそうだ。


「桜場君の好きな人は本当に柚佳ちゃんなのか知りたくて聞いてみたんだけど、手筈は整ってるってあの空き教室に連れて行かれたの。ここで聞いててって。マキちゃんと桜場君がどこかへいなくなった後、その教室から慌てて逃げたわ」


 花山さんが昔を振り返るような遠い目をしている。


「それでその……」


 花山さんは何か言い難そうにモジモジしながらオレに視線を移した。


「沼田君とマキちゃんの写真を撮ったの、私なのっ。ごめんね!」


追記2024.5.19

「見た花山さん」を「見て花山さんは言う」に修正しました。


追記2025.11.4

改行を調整しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ