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#9 男子の部屋でやる定番といえば ※新垣澪視点

 私――新垣澪あらがきみおは今、10年越しに再会した幼馴染、愛徳拓也なるえたくや――たっくんの家にお邪魔している。


 家の内装は10年前とあまり変わっていなくて、すごく懐かしさが感じられた。

 それに、たっくんの妹である千紗ちさちゃんは、身長は私と同じくらいまで伸びていて、学校でもすごくモテそうなぐらいに可愛くなっていた。


 もう私の妹になって欲しいくらい!


 ……本当に妹になってくれないかな? (我ながら何を言ってるんだろう)



 まぁ、前置きはこのぐらいにしておいて、今日は男子の家にやって来たわけだし、定番中の定番である物を探そうと思います!


 さっき千紗ちゃんに聞いてみたら、探せば絶対にあると思う、と断言してくれたので、見つけるまでとことん探すよ!

 もし見つけられれば、たっくんの好みだって分かるわけだし!



 とりあえず、私だけじゃ見つけられるか分からないから、千紗ちゃんにも協力してもらうことにした。

 頼んだ時の最初の反応は「絶対に嫌!」って言って渋ってたのに、私の悪魔の囁きによって「絶対に見つける!」に変わった。


 すごく単純だけど、すごく可愛い。



「……じゃあ、千紗ちゃん。早速始めようか」


「うん。お兄ちゃんがお風呂から出てきて部屋に戻ってくる時は、階段の足音で分かると思うから、そこからは私に任せて」


「ありがとう」


 私と千紗ちゃんが考えた作戦は、まずはたっくんをお風呂に入れる。その間に2人で部屋の中を探す。

 そして、たっくんがお風呂から上がってきた時点で、もし見つかっていない場合、千紗ちゃんが足止めをして、私1人で頑張って探す。以上。


「絶対に見つけ出してやるんだから……!」



 予定通りたっくんをお風呂に入れさせてから、約15分が経過しようとしていた。


「全然見つからない! 千紗ちゃんそっちは!?」


「ダメ! こっちにもない!」


 隠せそうな場所は大体探した。


 それなのに全然見つからないってどういうこと?

 もしかして、持ってないの!?

 それともただ単に隠すのが上手いだけ?



 ミシミシ……

 ミシミシ……



「来たようだね……千紗ちゃん、頼んだよ」


「任せて(グッドポーズ)」


 千紗ちゃんが部屋を出て、たっくんの足止めをしてくれている間に、なんとしてでも探さないといけない。

 あとはどこを探してないっけ……


「あ! 布団の下!」


 急いで布団の下を見てみると、案の定たくさんの‴エロ本‴があった。

 やっと見つけた……!


 とりあえずこれを写真に収めて……っと。



 パシャリ。



 先程交換した連絡先(千紗ちゃん)に見つけたという報告のメールと、たくさんのエロ本が写った写真を送った。


 たっくんには申し訳ないけど……知っておきたいだけだから、許して欲しいな。

 とりあえず足止めしてくれてる千紗ちゃんのためにも、任務は無事成功したことだし、何事も無かったかのように証拠を隠滅して、撤収しますか〜。



 と、思ってドアを開けると、そこには千紗ちゃんが足止めしてくれていたはずのたっくんの姿があった。


「……澪ちゃん? あなたは一体、俺の部屋で何をやっていたのカナ?」


「あは、あはははは……」


 やばい! 絶対に私たちがやっていた事を知ってる!

 こういう時は……逃げるが勝ち!


「コラ待て! 澪!」


「捕まえられるものなら、捕まえてみな〜!」


 とは言ってみたけど……


「……捕まえた」


 私の逃走時間、約10秒。


 まぁ、当然だよね。

 だってたっくんは、短距離走超速いし。


 たっくんは100m11秒くらいでしょ?

 私なんて多分15秒か16秒くらいだもん。

 一瞬で捕まえられるなんて、火を見るよりも明らかじゃないか。


「……で? 澪はここで何をしていたんだ?」


「そ、その……ごめんなさい。たっくんがどんな女の子を好きなのか気になって……言うのは恥ずかしいんだけど……とある雑誌を探していました」


「はい。澪ちょっとおでこ出して」


「え? わ、分かった」


 ちょっと怒り気味のたっくんは、いつもの優しそうな雰囲気はなかったため、言われた通り前髪を上げておでこを出した。

 すると、たっくんはどんどん私に近づいてくる。


 …………怖い!


「あ痛っ!」


 おでこに走る一瞬の痛み。

 まぁ、おでこを出してと言われてやられることと言えば、デコピンしかないよね。


「……恥ずかしいからもうやめてくれ。でも、正直澪が探すとは思わなかった」


「ごめんなさい……男子の家に来て定番のことだから、やらなきゃ! って思って」


「別にやらなくてもいいじゃないか」


 そう言って苦笑するたっくん。

 確かにたっくんの言う通りだけど、気になったのだから仕方がない。うん、仕方がないのだ。


「で、もうそろそろ帰るだろ? 送ってくよ」


 帰る? 私が?


「いや、私今日ここに泊まる予定だよ?」


「…………え?」


「…………え?」


 あれ? 言ってなかったっけ……?

 私はちゃんと着替えの用意もしてあるし、たっくんの家にお泊まりする気満々だったんだけど……

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