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犯人逮捕大作戦編-7

「ハァ、千尋さん超かっこよかったわ」

「あのね、あなた、色ボケも大概にしなさいよ」


 事件が解決し、数日がたつ。こうして夕飯のあとリビングで、ポテトチップスを栗子と亜弓で二人で平和に食べていた。


 事件が解決したのは良いが、こうして再び千尋に助けられてしまったため、亜弓はますます千尋に夢中のようだった。


 そんな亜弓をみて、栗子はため息しか出ず、キムのところで買ったバーベキュー味のポテチをサクサクと音を立て食べる。少し味は濃いが、いかにも外国のジャンクフードという味でいくらでも食べられそうである。健康に悪いと思うとかえって美味しく感じてしまう。


「牧師さんは『隣人』が助かってよかったってこなえだ言っていたわよ。たぶん、あなたの事がそれ以上の感情は無いと思うけど…」

「まあ、それは仕方ないですけどね…。あのフケだらけの陰謀論者よりはいいじゃないですか」

「フケだらけなの?」

「ええ、お湯でしか髪の毛洗っていないみたいです。支配層の作ったシャンプーは使わないそうですよ」

「うぇ、汚いわねぇ。まあ、あれでもファンはいるのよね…」


 今回の事件で、陽介は再び注目の的で陰謀論執筆で忙しいようだった。


 ただ、あの男が録音していたICレコーダーの犯人の音声が動かぬ証拠となり、もう貝塚も円香も言い訳ができない良いである。


 草生教は信者が勝手にやった事だと無言を貫いていた。どうやらトカゲの尻尾切りで終わってしまったようだが、あれだけ大きなカルト教団はそうそうすぐには解体しないだろうという話だった。


「そういえば、幸子さんのカフェでまた読書会のイベントがあるみたい。栗子先生も参加しますか?まあ、今度は、陰謀論好きを集めた読書会みたいですが」


 商店街の嫌がらせをしていた犯人もつかまっていたため、カフェの方も順調に運営しているようだ。なぜか陽介のファンにも気に入られtらしまったため、そんな企画を石田店長と企画したと幸子が笑っていた。


 まあ、感染症対策をしっかりして引きこもったり怖がる人をターゲットにするより、命知らずな陰謀論好きをターゲットにするのは、今の時勢では悪くないかもしれないと思う。彼らが好みそうな無農薬栽培の材料を使ったスイーツやお茶を陽介と共同で作ると幸子はやる気を見せてた。客も徐々に増えているのだという。


 悪くない結果に着地しただろう。


「栗子先生、亜弓さん。ちょっといい?」


 そこに夕子が入ってきた。


 あれ以来、夕子はメゾン・ヤモメで暮らしていた。すっかりこの家に馴染み、部屋も空いているし、夕子も住人になったらいいんじゃないかという話も出ているぐらいねだった。


「どうぞ座って」


 栗子に促され、夕子はソファにゆっくりと座る。


「どうしたの? 夕子先生」

「ええ、事件が本当に解決して良かったなって思って」


 夕子は心底安堵したような笑顔を見せた。


 貝塚も円香も捕まったため、少女小説レーベルはしばらく大混乱だったが、すぐに代理の編集長が建てられた。カルトとは全く関係のない人物で、十年前にも一度少女小説レーベルの編集者だった人なので安心である。円香の分の仕事は亜弓がしなければならなくなったので大変ではあるが、無事に栗子の没にならず出版出来そうだった。もちろん、コージーミステリの方も問題無い。


 夕子の担当も亜弓に変わり、もう問題無いと思ってたが。


「私、しばらく仕事は休もうと思っているの」

「え、どうして?」


 夕子の事は問題ないと思っていたのでその発言はちょっと残念だった。


「なんというか、もうちょっと疲れちゃったわね」


 しかし、その笑顔はさっぱりとそていた。特に執着がないようだった。


「私、あの近所の教会に行ってみたんだけど、奉仕活動とかやっていて結構楽しいわね。ふふ、余生は聖女として暮らそうかしら」


 夕子はあの事件以来、教会に興味を持ち、たまに亜弓と一緒に通っていた。


「そっかぁ。でも夕子先生だってファン多いですよ。残念です…」


 亜弓は夕子の決断にちょっと残念そうn顔を見せる。


「まあ、仕方ないよね。魂を売って仕事していたんだから、それなりの報いはあるわ…」

「おうちはどうするの?」


 栗子はこのままこの家に住んでもいいと思っていたのだが、この夕子のさっぱりとそた笑顔を見ていたら、もう帰るような気がした。


「うん、帰りわ。もうカルトの嫌がらせも無さそうだそね」

「そっかぁ。寂しくなるわね…」

「そんな事言わないで。近いし、いつでも会えばいいじゃない」

「そうですよ。一生の別れじゃないんですから」


 亜弓にもそう言われて、一瞬胸に宿りそうになった寂しさも消えていった。


「栗子先生のコージーミステリの新作が楽しみね」

「期待していて! とってもいい作品になっているから」


 栗子は少々ドヤ顔をして胸を張った。


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