ミス・シープル爆誕編-4
・草生教の勧誘はしつこい
・断った人は干される
・信者はコネでごり押し?
亜弓は、猫子先生に家からメゾン・ヤモメに帰ると、今日知った情報を書いたメモを凝視していた。
猫子先生たちと一緒に過ごすのが楽しく帰ってきた時にはもうすっかり夜である。桃果も幸子ももう寝てしまっていた。
栗子が機嫌がよくすっか事件の事を忘れて、リビングに再び酒を持ち込もうとしていた。さすがにこのままではまずいと水だけをグラスに注ぎ、リビングのテーブルに置き、今日知った情報について栗子に話す。
「これだと夕子先生空美子先生もカルトのトラブルに巻き込まれた可能性もありますよ。栗子先生は、何か知ってないですか?」
夕子も空美子も亜弓の担当作家ではなく、さほど親しいわけでもない。どちらも編集長である貝塚の担当だ。その点では栗子の方が詳しい気がした。
「そうねぇ。でも空美子先生の彼氏はエンジェル万歳教っていう似たようなカルト信者なわけでしょ?そっちで揉めた可能性もあるわね。その彼氏とうまいところ接触できないかしらね?」
「それが名前すらわからないんですよね。空美子先生のSNSでもそんな話題無いですし」
「だったら彼女の裏アカは?何かあるかも?文花さんにそこは調べてもらいましょうか?」
その点でが栗子も亜弓も意見が一致し、文花に頼む事になった。どうやら栗子あげたサイン本が、文花の夫である田辺の作品作りの参考になったようで、ふたつ返事で文花は空美子の裏アカを探す事を引き受けてくれた。
「裏アカが見つかったら、その彼氏とも接触できそうね。あとは、夕子先生だけど」
栗子夕子との接触も考えてみたが、退院後、仕事が溜まっていてしばらく家にこもって仕事をするというメールを受け取っていた。
「夕子先生とはとりあえず接触できませんね。この後、どうしますか?」
「そうねぇ。でもまだ少女小説ファンのみんなと接触したわけじゃないし、彼女達をあたってみようと思うわ」
特に彼女達を疑っているわけではないが、あのサイン会がこの事でめちゃくちゃになってしまった事には罪悪感もあった。それに当時の事の詳しく聞き、さらに彼女達に犯行は不可能だと証明したい気持ちもあった。
「わざわざ一人ずつ会うのもめんどくさいですね。いっそ再び読書会開きません?」
「いいの?」
読書会という提案に栗子の黒い瞳がキラリと光る。
「まあ、幸子さんにも許可を貰わないといけませんが」
「そうね。でも嫌がらせは大丈夫かしら?」
そう思うと本当に再び読書会をやっていいものやら自信が揺らぐ。
「だったら島崎さんや、真凛ちゃんなど少女小説読者だけ個人的にこの家に呼ぶのはどうかしら? 幸子さんのお店の儲けにはならないけど、やっぱり事件のあったカフェで再び集まるのは気が引けるわ」
「そうですね。そっち方がいいかもしれなせんね」
こうしてメゾン・ヤモメで読書会が開かれる事が決定した。




