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読書会大作戦編-1

「おめでとうございます! 栗子先生、コージーミステリの企画が通りましたよ!」


 その知らせを受け取った時、栗子は夢でも見ている気がした。


 徹夜明けの朝、10時過ぎの事だった。


 今は西洋舞台の少女小説の新作を練っているところだったが、ライトミステリの企画コンペにも参加していた。コージーミステリはニッチジャンルなので、企画が通るかどうかはわからなかったが、祈るような気持ち10個も企画を作って提出した。


「本当ですか?」

「本当ですって。それで僕がこれから栗子先生の担当になりますからよろしくお願いしますね」


 新しく担当になった編集者が、昼出版の常盤純(ときわじゅん)と言った。声の様子では元気の良い30代ぐらいの男で一度会った事もある。


 コージーミステリをデビュー作以来執筆できる事に栗子は夢見心地で聞いていた。


「僕は他に田辺先生も担当しているんですが」

「あぁ、そうね。一度みんなで会った事あるわね」

「あの人はちょっとクセが強いので大変ですよ。奥さんも」

「そのな風には見えないけど。文花さんは良い人よ」


 作家の田辺もその妻・文花もよく知っている人物だ。メゾン・ヤモメでもクリスマスパーティーをしたり、新年会も一緒に行った事がある。一度文花とはシュトーレンも一緒に作った事があるが、地味で芯の強そうな雰囲気の女性ですごくクセが強い人物には全く見えなかったものだが。


「それはともかく、一緒に頑張って作品を作りましょうね」

「ええ。でも本当に良かった。田辺先生の『愛人探偵』がそこそこ人気だからライトミステリの企画を募集するって聞いたわ。私は、田辺先生に足を向けて寝れない」

「ハハ…」


 そこで何故か常盤は苦笑していたが、栗子は首を傾けるばかりだった。


 今後詳細にプロットを作ったり、執筆スケジュールが決まった。少女小説の仕事も始まっているが、これは急ぎではないのでまだスケジュールは余裕がある。


 常盤からの電話を切ると、栗子が再びニヤニヤと笑った。


 ようやく自分が好きだったコージーミステリが書ける!


 ある意味デビューが決まった時以上に栗子の胸はドキドキと高鳴っていた。


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