あなたがいてくれたから…。
私を友達といってくれた優しいあの子は、いつも一人だった。
彼らが現れる前までは。
綺麗な赤色の瞳に、白い透き通る髪。
そう容姿を人間達は気味悪がった。
私は、いつもあの子の腕の中から、見ていた。
人間達があの子に何をしていたのか。
あの子が声をかける度、人は、
「魔女!」
「気味が悪い!近づかないで。」
暴言を吐いて、あの子を遠ざける。
石を投げつけられたり、泥を投げつけられたりすることもあった。
その結果、あの子は、心を閉ざすようになり、外に出なくなった。
「マリアがいてくれば、それでいい。」
それがあの子の口癖。
あの子は、私にマリアと名付けた。
あの子は、自分の好きな物語に出てくる女神様の名前なのだと教えてくれた。
私の名前。
(嬉しいわ。)
「本当?マリアが喜んでくれて嬉しい!」
私の声が、あの子には聞こえていたのだ。
普通の人間には、私の声が聞こえないはずなのに。
あの子は、人にはない不思議な力を持つ子だった。
そのせいで、人間達はますますあの子を気味悪がった。
それでもあの子は、私達〈物〉に対して、優しく語りかけることをやめなかった。これは、そんな少女が命尽きるまでの物語。