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秘密の狼王女は冒険する  作者: らい。
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1章 2.森での生活

よろしくお願いします。

師匠と出会ってはや4年。

私は7歳になった。












「師匠ー!!!グリフォン親子がいたー!」


『グリフォンか。久しいな。相手には丁度いいのではないか?。』


「そうだよね!私行ってくる!」


『あまり遅くなるなよ。』




ビュンビュンと風を切り森を駆け抜ける。この4年で私はもはや猿にでもなったかのように木々を移り進み、素早く動くことが出来るようになった。もう、森に怖いものなんてない!

少し開いた所に出ると、そこにはグリフォン親子がいた。


「グリフォンたち!ルイだよ、ルイ!久しぶりだね!」


私が呼び掛けると、グリフォンたちはその大きく美しい翼を振るわせた。


『ルイ!久しぶりね。』

『ルイ。元気か。』

『ねーちゃんだ!!久しぶり!』

『ね!あそぼ!あそぼ!』


私は再会のハグをし、親グリフォンは私に頭を擦り付ける。子グリフォンはまだ足(やいば)が覚束無いのか、てくてくとゆっくり歩いてきて私の足元でスリスリと頬を擦り付ける。


「ちょっ!くすぐったい!」

『すまん。つい、な。』


親グリフォンとは半年ほど前に修行の相手をしてもらった仲だ。子グリフォンとは風魔法で飛行するすべを教え、遊び相手や子守りをしたりして、楽しかったのを覚えている。









私は基本的に森の動物と仲がいいのだ。普通の人間には聴こえないという動物の言葉を理解することが出来る。それだけで皆は沢山おしゃべりしてくれる。時には遊んだり助け合ったり、楽しく暮らしている。4年で出来た友達は森全体にいる。数えきれないほどだ。でも、名前はしっかり覚えてるもんね!皆とても大事な友達だ。


ただ、私には同族の友達がいない。人間の友達がいないのだ。師匠に友達という人間の言葉を教えてもらってから、どんなものなのかとても気になった。だから街に行きたいんだけど、まだ行ったことはない。


友達っていうのがどういうのかはまだよく分かんないけど、多分合ってると思う。かけがえのない仲間ってことでしょ?。



「そうだ。久しぶりに相手して欲しかったんだ!」

『ああ、いいぞ。半年の成長を見せてみろ。』




この世界には動物の中でも 獣、魔獣、聖獣がいる。

違いというと、獣は普通の動物。

魔獣は獣が魔法を使う為の力「魔力」が解放されていて、魔法を使うことが出来る。ちょっと不安定ではあるが。

そして聖獣は魔獣より強く、「魔力」が安定している存在。

つまり、聖獣が1番偉くて強い。次が魔獣。その次が獣。

生まれつき獣か魔獣か聖獣かは決まってはいるのだが、それぞれ誇りを持って生きている。とても凄いことだと思う。

グリフォンは聖獣。とっても強い。









しかし、例外もある。


人間だ。


人間は獣に分類される。だが、知能が他の獣や魔獣よりも高く強さがその個体によって違うから、王が獣の域か魔獣の域かはたまた聖獣の域なのか判断する。魔獣の域に入る時は、個々の持つ「魔力」の瓶の蓋を開けてあげるんだって。聖獣の域に入る人は相当努力して強い人らしい。おかげで「魔力」が安定している。



私は聖獣の域に入れて当然だ。だって師匠の弟子だもの。









師匠はーーーーーーーーー地上界の王なのだ。


師匠は地上界の十五代目の王。王とは聖獣の中でもトップに立つもののことである。代々王様たちは弟子をとり、弟子の中から次期王を決める。すなわち弟子である私が次期王だ。弟子が、私しかいない師匠の後を継ぐのは必然的に私になるわけだ。


王たるもの、聖獣の中でも最も強く賢く凛々しくなければならない。

そのために師匠と共に修行を積んでいる。








今日はグリフォンと修行をする。半年前の練習試合では惜しくも負けてしまった。今度こそは…。






『なら、心配は私!』

『父さんも、ねーちゃんもがんばれ!!!』

『応援!応援!』


武器を持って位置に立つ。私の武器は2本の刃が短く軽くてそれでいて硬い特殊型ナイフ。愛用品である。人間の私は動物のように鋭い牙や長い爪などの武器がないし、そこまで体も強くないからね。スピードや軽さを重視する。




『よーい。』








『はじめ!!』




ビュンッッッ!!!!

強く地面を蹴る。ザワザワと風で森の木々たちがざわめく。

グリフォンの得意とするのは風魔法だ。その風魔法を使って空を飛ぶ。空で足場の作れない私には空中戦は不利だ。飛び立たせる訳にはいかない。

そして最大の武器は足の爪。

この2つをどうにかしないと勝ちはない。




ギィィンッッ!!!!

グリフォンの爪と私の刃が重なる。



キンッ!!!!キンッ!!!!キキン!



暫く打ち合いが続く。



サッ!弾きあって両者元の位置に退く。



『行くぞ!』

きた!。風魔法の風が刃としてとても素早く飛んでくる厄介な攻撃。

半年前は避けられず、かといって防御も出来ず苦労した。でも今は違う。防御も回避も可能なはず!。


「身体強化!」

グリフォンの攻撃を軽々と避ける。


『ほう…。』


グリフォンが風魔法を使って飛び立とうとした。

「させるか!」


水魔法の魔力練度を上げ、氷魔法を生み出す。

(地面と足よ、離れるなーー!)

バチバチバチッ!!!!


地面に氷が張り付いた。

『なっ…!』


そして刃に雷魔法を乗せ、一気にグリフォンに詰め寄る。


『そこまで!』


私は強化魔法をかけられた翼のガードの前で静止した。


『強くなったな。』

「ああ!」







『勝者、ルイ!!』

『おめでとー!!』

『凄かった!凄かった!』


子グリフォンたちが飛びついてくる。やった!勝てたんだ!!


「ふふっ!ありがと!やっと勝てた!」


『凄まじい成長だな。ルイ。』

『打ち合いの時も風が凄かったもの。』

『飛ばされるかと思ったー!』

『氷、バチバチ、凄かった!』


グリフォンに勝てたからといって浮かれてはいけない。まだまだ師匠には程遠いのだから。まだ無駄な動きが多いし、氷魔法も完全ではない。




『今回は完全に負けだな。』

「今日はお祝いだ!皆で夕飯食べようよ!」




少し位この喜びを分かちあってもいいのではないか。

そう思って、私はグリフォンと共に師匠の元へ帰ったのだった。

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