第十二編〜第十三編
第十二編 生の傍流に
青春とは、また、生とは一体なんだったのだろうか?
虚しさに傷つく日々がまた続く。
あの至福の時は何処へ消えたのか?
かってのロマンはどこへいったのか?
世々が、糧を得るためだけの労働が
私達をこんなにも厚顔な生へと押しやっていく。
こんなことは到底耐え難い。
そして、人生の春はあまりにも早く過ぎ去ってしまうのだ。
私達のこの悲惨は癒されることはないのだろう。
救済の鐘も、たどるべき巡礼路もない。
絶対者がわき道を食っている間に
この人間たちは没落していくしかないのかもしれない。
いつの日か、己の幼年時を、葬り去らなければならないとしても、
そのときには私は一人で葬送したいと思う。
そんな死によって私たちはおそらくは、
ひとりびとりの童心に別れを告げるのであろう。
学問も、人間生活も畢竟、虚妄であろうか。
だが夕べの時鐘が鳴り渡ると、一茶愛の矛盾はこの現世で溶解し、
一つに溶け合ってまどろみの安逸に融合するようだ。
こうして次々に繰りかえしていくのであろう。
第十三編 孤独な想い
粗雑な心にはこんな荒廃の世もどろつちの喜びの中で気楽に送られていくのであろうか?
だが神的なるものが全て崩壊した今、真の喜びは果たしてあるのだろうか?
私にはわからない。
そんなままに、私はますます、孤独に陥って行くばかりだ。
このような眠り込んだ世はないほうがよいのではないか?
なぜ乏しさをおきざりにしたままで、生きてゆかねばならないのか。
そして安らかな死が私を誘って言う。
「去るが良い。
この地上はおまえにはふさわしくない。
おまえの生は、天上の神の園庭でこそ花開くだろう。」