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ストレンジ・グルーヴ  作者: 清正正宗
覚の心は模造品
3/11

02

話を考えて、それを文章にするのってとても難しいですね。

「うん、えっとね……。私のお父さんを探してほしいの、もう一週間も帰ってきてなくて」

 明冬は首を傾げる、ただの人探しならばウチに依頼せずに警察へ捜索届を出せばいいのではと思う。

「もちろん警察には行ったよ、でも話を聞かれて失踪届を出して終わりだったの……。最近、失踪事件が増えてるようで手が回らないみたい」

 俯くユキの瞳から涙がぽろぽろとこぼれ落ちている。

「言いづらいんだけど、家出の可能性は考えてないの?」

 そう言い終わるより早く、ユキはガバリと頭を上げ、涙を浮かべる目で明冬を真っすぐ見つめる。

「お父さんは家出なんてしない! 家族仲も良かったし仕事は大変だけどやりがいがあるって言って頑張ってた。家を出ていく理由なんか無いの」

 ユキにボックスティッシュを手渡す。

 明冬は悲しみや怒り等の強い感情を、自身に向けられるのが苦手だった、今もユキに対してどう声を掛けて良いか戸惑っている。

 いつもだったら幸やエミリーが事務所におり、依頼内容等の聞き取りをしてくれていたが、今日はタイミング悪く二人共外出しており明冬がその役をしなければならなくなっている。

 目の前で女の子が泣いている。しかもその子は従妹の友人だとくれば、どうにか力になってあげなければならない。

「家出じゃないなら、何らかの事件に巻き込まれたと考えてる、それも能力者が絡んでいると?」

 ストレンジ・グルーヴを訪ねて来た事からもユキは今回の件には異能が関与していると思っているのだろう。


 能力者による犯罪は増加傾向が続いていて、その対策は追いついていない。

 国民は十五歳になると異能の検査を受け、その強さでランクが付けられる。白・グレーは非異能者、そこから緑・黄色・青と上がっていく。住所・氏名が記載された自身のランク色の身分証が発行される。

 事件が発生すると情報を基に刑事部捜査第五課が捜査する、捜査第五課は異能犯罪を扱う部署である。

 異能は多岐にわたるので犯人特定は難しい、犯行の手口も様々で厳しい状況が続いている。

 そこでストレンジ・グルーヴのようなトラブルシューターの出番だ。捜査がなかなか進展していなかったり、事件性が無いと判断されたり、そもそも警察の介入を嫌う後ろ暗い者だったりから依頼がくる。


「受けるよ、その依頼。ストレンジ・グルーヴにお任せを」

 するとユキの表情は、安堵からくる笑みを浮かべながら「ありがとう」と涙に声を詰まらせながら言った。

 明冬は握手の手を差し出し、ユキもそれに応じる。


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