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第16話 メリエス様、駄々を捏ねる

「なー、本当にあの女を四天王に迎える気かー?」



俺とメリエス様は防音魔法の結界の外を出てベーンヘルクの町を歩いていた。


遂に待ちに待った念願のデートである。


手を繋ごうとしたらなかなかの勢いで手を払われてしまったのは少し残念だったが、メリエス様は極度のツンデレなので仕方がない。


緊張もしているのだろう。


とても可愛いメリエス様である。



「おい、聞いておるのかー?」



「はいはい、聞いていますよ。メリエス様」



少し相手にするのを疎かにしただけで俺を求めるとはデレの部分を隠しきれなくなってきているようだ。



「それであの女を本当に四天王に迎える気なのか? 先程も言ったが兄上にお願いした方がいいのではないか? どうも私にはあの者が強いようには思えんぞ」



メリエス様はデート中だというのに他の男の話をし始めた。


何度でも言うが、アレは絶対にダメだ。


クソの役にも立たない上に、上から目線が鼻につくイケすかない野郎選手権というものが存在するのなら間違いなく世界を取れる逸材なのだ。アレは。



「まぁお兄様の事は置いときまして」



「なぜ置いておくのじゃ?」



だってそうしないとゴリ押ししてくるんだもの。


なぜメリエス様があの兄上様を慕っているかは未だに謎だがアレの話はするだけ時間の無駄だ。


だから俺はメリエス様のゴリ押しにはゴリ押しで返す事にする。



「とにかくお兄様の事は置いとく事に致しまして、——マリーは強いですよ。恐らく白兵戦だけに限れば現勇者の次くらいには」



俺は実際そう思っているし、恐らく事実そうだろう。


そう言うとメリエス様は半信半疑そうな表情で俺を見た。



「本当か? ていうかなぜ人間界基準で言ったんじゃ?」



「マリーは今はまだ冒険者協会所属ですからね。人間界基準で話してもおかしくはないでしょう?」



「あ、そういえばそういう設定じゃったな。なんだか分かりにくいのう」



何が分かりにくいのか俺にはまったくもって分からないがとりあえず俺は話を続ける事にした。



「魔人で探せばマリーより強い者もいなくもありませんが、そういう奴は大概どこかの魔王かその幹部かです。流石に新参者であるメリエス様の引き抜きには簡単には乗らないでしょう。その点、マリーなら俺の知り合いですし強いし引き抜きも比較的容易です」



「その割にはあっさりと断られておったみたいじゃが?」



そう言ってニヤリと俺を見るメリエス様はもちろん愛らしい。


衆人環視の目がなければ抱きしめてあげたいくらいだ。


そんな欲望に駆られつつも俺はメリエス様の言葉を肯定した。



「確かに今のままでは厳しいかもしれませんねー。なにかマリーの気が変わる出来事でも起きれば別なのですが何か起きませんかねー」



俺がそんな希望を口にするとメリエス様は俺の顔をジト目で見つめてきた。


なんだろう? 愛の告白的な展開だろうか?


ちょっと急すぎて俺の心の準備ができていない。


そもそも俺とメリエス様は主人と配下の関係である。


だが禁断の恋なんて逆に萌えるではないかバカヤロー。——と俺が魂の叫びを心の中で叫んだ時だった。



「貴様、ヤッたな?」



「はて? 何の事でしょう?」



「惚けるでない! 貴様この町で何をする気じゃ! 勇者と戦争をおっぱじめる気か? それとも魔王を召喚する気なのか!? さぁ吐け! 今すぐ吐くのじゃ!」



そう言ってメリエス様は俺の胸倉を掴みブンブンと振りまわそうとするが体格差がありすぎて傍からは保護者に駄々を捏ねる美少女にしか見えない。


ていうかそもそも魔王なら既に1人この場に降臨しているのだが。



「そう言われましても私にはなんのことやら」



本当に俺は何もする気はないのだからそう答える他ない。



まぁ事件から勝手にやってくるかもしれないが、それは俺とは関係ない話なのである。


メリエス「はっはー! ポイントでは負けておったが、コメッコの独断と偏見で連載をもぎ取ってやったわー!w ニート如き私の敵ではなかったということじゃな!」


ジレ「メリエス様? 何を訳の分からない事を仰っているのですか?」


メリエス「ふふふ、こっちの話じゃ。気にするでない。どうしても気になるというのなら活動報告でも確認しておくことじゃな」

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