第15話 メリエス様、ジレを信じる
連載化競争の件ですが、こちらを連載化させることに決定しました。
ポイントでは少し負けていましたが、理由などは活動報告で書かさせて頂きましたのでそちらを確認して頂けるとありがたいです。
結局俺とメリエス様はマリーと夕方に何度か行ったことのある飯屋の前に集まるという約束だけを取り付け別れることになった。
去り際のマリーの目がとても冷たかった気がするが俺としては常識的な事しか言っていなかったので恐らく気のせいだろう。
どうやらマリーは久々に武器屋巡りにするらしい。
休養日にしたというのに勤勉なやつだ。
「むがーむがー」
おっと、忘れてた。
むがむが音でメリエス様に手のひらの匂いを嗅がせっぱなしにしたままだったことを思い出した俺はメリエス様の口元に添えていた手をそっと離した。
「誰が貴様の手のひらの匂いが大好物な変態じゃー!」
開口一番メリエス様はそう叫び声を上げた。
誰も変態とは言っていないし、そもそもあの時はこれしか手段がなかったので、俺は何も悪くない。
「落ち着いてください。メリエス様。マリーをこの街に引き留めるにはこれしか手段がなかったのです」
「嘘を吐け! 別に一日一緒に過ごそうと言えばよかったではないか!」
メリエス様は続けざまに俺に非難の声を上げた。
俺としてもそれが出来るならそうしていた。
だが、それは無理だ。
なぜなら俺は今日この街でメリエス様とデートをすることを決めていたからである。
それを分かって言っているとするならばメリエス様はとんだツンデレ美少女ということになる。
だが、俺はそれをわざわざ指摘するような無粋な男ではない。
「そうですね。このジレ、その考えには至りませんでした」
自分のミスかのように演じメリエス様を立てる。
これこそ俺の紳士たる所以なのである。
「む、まぁよい」
あ、いいんですね。
「ところであの女は頭がおかしいのか? 魔人の癖に自分が冒険者だのなんだの。お前に匹敵する妄想家じゃの」
いや、多分マリーもメリエス様の事を魔王を語るサイコ美少女だと思っていますよ。
そういう意味では2人は似たもの同士なのかもしれない。
とはいえ、メリエス様の攻略難度はマリー程高くはないだろう。
メリエス様は単に俺が四天王に勧誘しているのだから魔人なのだろうと勝手に思い込んでいるにすぎない。
俺が四天王に勧誘しているという事実さえ除けばここは人間界なのだからそこで知り合ったマリーを人間だと思うのが普通の思考なのである。
「メリエス様、マリーは思い込みが激しい節はありますが、妄想の気はありません。何度も言いますが、彼女は正真正銘この街のB級冒険者です。私の目を見てください。この私がメリエス様に一度として嘘を吐いたことがありますか?」
そう言って俺はメリエス様を真剣な眼差しで見つめた。
ちまちまと理屈をこねるよりこの方がメリエス様には効果的だろう。
俺という魔人を信じる事でどんなに受け入れがたい真実だって信じることができる。
最高ではないだろうか。
正に信頼し合う配下と主君の関係だ。
俺の真剣な思いが通じたのかメリエス様は心のこもった声で俺の問いを返した。
「うん。そうじゃなー。お前が言うのならそうなのじゃろーなー。きっとそうに違いないわー」
こうして俺はメリエス様にマリーが人間だという事を納得させることに成功させたのだった。




