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たぶん一目惚れ

ロリコンの言い訳

はじめまして。

国立ユイナーダ学園高等部魔術科二年のライネル・F・ラピスだ。




俺は今…最大のピンチを迎えている。

高等部に入ると毎年行われる【初等部研修】に参加しているのだが、昨日…イヤ今日の夜中にクエストから帰ったばかりで、正直身体がキツイ。



俺の実家は侯爵家だが、七男で庶子の俺には爵位どころか就職先も回って来ない。

自分で就職先を探さないと、いけないのだ。

その為に無理してでも参加している。




幸いにも母親が元A級冒険者の魔術師だったので、魔術師としての才能には、恵まれた。




初等部の頃、親戚の集まりでボルネオール侯爵家に行った時、そこの姉妹に妙に懐かれた、特に妹の方に……




パーティーに飽きた2人は、俺に『隠れんぼの相手をして欲しい。』と言い、最初の頃はまともに相手をしていた。




しかしこの姉妹、シツコイのだ。

帰るギリギリまで3時間以上、隠れんぼは続いた……




その数日後の学園の休みの日、俺はまたボルネオール侯爵家に呼ばれた。

侯爵夫妻が王城の晩餐会に呼ばれた為、お守りを頼まれたのだ。




普通なら使用人の仕事だろ!




それなのにあの姉妹、どうしても俺と『遊びたい』と、我儘を言ったらしい。

兄貴達には、『羨ましい』『良かったな、モテモテだぞ♪』と、揶揄われた。




その後も事有る毎に呼ばれ、毎回【隠れんぼ】の相手をさせられるのだ。




どんだけ【隠れんぼ】好きなんだよ!

しかも毎回、俺が隠れてあの姉妹が探す役。

凄く楽しそうにしているが隠れる方もたいへんだ。




その内、俺はあの姉妹から隠れ続ける為に、《インビジブル(透明化)》の魔法を覚えた。

それなのに、何故かみつけて飛び付いて来るのだ。




まぁ、それも少し大きくなると落ち着いてきて、今度は『本を読んでくれ』と言って『分厚い魔導書』を持ち出して来た。

コレ、かなり難易度の高い本なんだけど、意味解ってる?




どうやら、俺に長く構って欲しくて『分厚い魔導書』を持って来たらしい。

姉の方は、直ぐに舟を漕ぎ始めた。




それは、俺が高等部に進学し、寮生活に入るまで続いた。




それで終わりだと、思っていた。

所詮、親戚のお兄さんに憧れる子供、大きくなったら相手にして貰えないだろう。




問題は【初等部研修】だ。

もし、彼女と会ったら、正気を保てる自信がない。




元々は『初等部の子供達と交流を持ってコミュニケーションを取ろう』と言う企画だったらしいが、いつの間にか、『就職活動』になっていたらしい。

去年は、彼女が居なかったので不参加。

代わりに俺にも親切にしてくれていた、文官科のレベッカ先輩がボルネオール家の推薦枠に入った。




彼女はそのままボルネオール侯爵家に、文官として採用され、来年の春には侯爵家の執事と結婚するそうだ。




それはさて置き、今年も【初等部研修】の季節がやって来た。




実は、去年レベッカ先輩をボルネオール家に紹介したのは、俺と2歳違いの六男だ。

因みに本人は、外交を担っているロピアー公爵家に、得意の語学力を生かして、通訳として採用されている。




俺の特技は魔法だ。 




この特技を生かして就職する為には、どうしてもボルネオール侯爵家に関わる必要がある。




侯爵夫妻はとても優しく、親戚の婿養子に入れる独身男性で、唯一の魔法の才能を持つ俺の事も気にかけてくれている。




俺は、いったいどうしたら良いんだ?

あの子の事は確かに昔から、可愛いと思っている。

だが、此処で此方から声を掛けると周りに何を言われるか……




それにしても、目が回る。

やはり、無理して出席したのはヤバかったか。

しかし、高等部と初等部では、学舎も寮も遠過ぎて偶然を装って会うのは難しい……




しかも相手は、侯爵家の惣領娘だ。




ツンツン……




ん?何だ??

誰かが、俺の制服を突いている。




ま…まさか………




そっと其方を見ると其処に居たのは……




「みーつけた♪ライネル兄様元気?」




目標達成……




チーン




俺は、彼女の顔を見た途端、それまでの無理と久しぶりに会った彼女の可愛いさに鼻血を出して倒れた。


*********************

(ケイト視点)



「きゃー!!ライネル兄様しっかりして!?

死んじゃイヤー!!」




ライネル兄様が鼻血を出して倒れてしまいました。




顔色も真っ青で、かなり無理をして【初等部研修】に参加されていたみたいです。




私は慌てて、姉に教えて貰った初級治療(ヒール)を使いました。

良かった、覚えて置いて。




私の悲鳴で大講堂は大騒ぎになりました。




直ぐに先生達や淑女科のお姉様達が、来てくれてライネル兄様は騎士科の先生に担架で、医務室に運ばれて行きました。




ライネル兄様、大丈夫でしょうか?

何か悪い病気ではないか心配です。




私は先生に事情を話し、急いで医務室に向かいました。






続きは月曜日。

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