ケイトと勇者シルバー1
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いします!
ネズミ年にネズミ退治の話www
おはようございます。
ケイトです。
朝…目が覚めると、私はなるべく枕元を見ない様に起き上がります。
何故なら枕元にはたいてい、シルバーのお土産があるからです。
頻繁に持って来てくれるので、つい適当に褒めていたら、2日程帰って来ず3日目の朝、胸が苦しくて起きてみるとシルバーが呑気に寝ていました。
苦しいので何とか退いて貰おうとして、気が付きました。
私の枕元に何か灰色の大型犬程の物体がある事に……
いったいどうやって部屋に運び込んだのでしょうか?
なるべくそちらを見ない様にしながら、シルバーを抱き上げて起き上がり、そっとベッドから離れました。
おそらく、この2日の間に狩って来た獲物でしょう。
私は、アレを知っています。
この間、【身近にいる危険な生物(魔物含む)】という授業で習いましたもの……
アレは下水道等にいる、【ドーブラット】という魔獣です。
授業で習ったのより随分大きい気がするのですが、ボスネズミでしょうか?
シルバーの気持ちは解りますが、流石にアレは無理です。
何時もなら、ミリアが起こしに来るまで、ベッドから出ないのですが、今日は私が彼女を起こし、事前にアレの存在を知らせなけばなりません。
そうしないと、彼女は確実に悲鳴をあげ、騒ぎを聞き付けて来た人達に、シルバーが見つかってしまうかもしれませんし……
ところで、アレの始末はどうしましょう?
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(アーク視点)
おはようございます。
アークです。
俺は早朝からお嬢様に《急いで部屋に来る様に!》と呼び出された。
部屋に着いてみると、何時も気丈なミリアが真っ青な顔で扉を開けてくれた。
凄く嫌な予感がする。
応接間には、相棒を抱いたお嬢様がいた。
「早朝から呼び出してごめんなさい。
実は今朝、この子がお土産を持って来てくれたのだけど……。
大き過ぎて困ってるの。
片付けてくれるかしら?」
猫のお土産かよ……
まぁ、女子供に片付けさせるのは可哀想だからな。
どうせ、ネズミか鳥だろう。
と、思ってお嬢様の寝室の扉を開けた途端、俺はそっと閉め直した。
アレ……【キングノーネズミ】の幼体じゃね?
1匹で数万匹の【ノーネズミ】を操り、食える物なら何でも喰いつくし、国さえ滅ぼすSランク魔獣。
まさか、アレを猫が獲って来たのか?
て言うか、アレが猫の足で往復2日の所に居たなんて、重大案件だよ!
お嬢様は内緒にして欲しそうだが無理だからな!
直ぐ旦那様に報告だ!
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(侯爵視点)
こうしてユイナーダ王国の危機は、1匹の猫によって防がれた。
この出来事は私から国王に報告し、侯爵家にキングノーネズミ討伐の褒賞金白金貨10枚が支払われた。
シルバーは王国から表彰され男爵位を貰う事に。
(そう言えば『猫に金貨』とかいうことわざがあったな。)
王国からの公式発表では、
《勇者シルバーによって、キングノーネズミが倒され、王国の危機は未然に防がれた。
よって、かの者に褒賞金白金貨10枚と男爵位を与えるものなり。》
表彰式は辞退した。
まさか猫を表彰式に出す訳にはいかないだろう。
だがそれが【勇者シルバー】の名が一人歩きする事になるとは……
曰く『勇者シルバーは筋骨隆々の大男らしい』
曰く『勇者シルバーは銀髪の美青年らしい』
曰く『勇者シルバーは高位貴族の庶子らしい』
全部違っているけどな……
それにしても、私の娘達はどうしてこうも次々と騒動を起こすのだ。
いったい誰に似たのだろうか?
あゝ胃が痛い……
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*1
この世界の貨幣価値
白金貨 1枚1億円相当
大金貨 1枚1000万円相当
金貨 1枚100万円相当
大銀貨 1枚10万円相当
銀貨 1枚1万円相当
大銅貨 1枚1,000円相当
銅貨 1枚100円相当
石貨 1枚10円相当
なのでシルバーが貰った褒賞金白金貨10枚は、
10億円相当になります。
だが『猫に小判』ならぬ『猫に金貨』で意味がない。
続きは月曜日。




