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64話 大賢者である私はあたかも重大な用があって遅刻したように装う事にした

 ふ、やっちまったーもんはしょーがねー!


 ムッツ的思考のモノマネをしてみた。

 うん、仕方がないよね。時間が戻る訳じゃないし。

 どんどんそんな気になってきた。

 これも試練という事で、みんな頑張れ!


『オトプレちゃんとりあえず上空からの映像を見せて』


『了解、マスター』


 オトプレちゃんは、ロゼシアスタの姿から光の精霊に形を変えると、宿屋の天井をすり抜けていった。


 魔法陣に写った光景を見ながら、モンスターの数に呆れる。


『随分と溜め込んだものだね。これでダンジョン1個分か』


『もう4個分あるとなると抑えられないでしょうね』


『ふーん、そういうことか。魔王は悪趣味だね』


『マスターはどうするつもり?』


『魔王が得意満面の所で地獄に突き落とすに決まってるじゃん。それが一番楽しいでしょ』


『マスターも魔王といい勝負と思うわ』


『あちらの悪意には随分と辛酸を舐めたからね』


 私はかつての魔王討伐で数多くの仲間を失った事を思い出していた。

 仲間を失う度にアヤメは深く悲しんだ。

 そしてアヤメは仲間を失う度に、より強くなっていった。

 誰一人として仲間を失うことがないようにと。


 100名いた魔王討伐PTで生き残ったのは6名。

 勇者アヤメ、魔道士の私、ヒーラーのミラ、武闘家ティーバ、弓神アンドロウス、剣聖ウェンディシー。


 余談だけど、弓神と剣聖は夫婦で、あのバカップルにはよく誂われたものだった。


 おっとっと、思い出に浸っている場合じゃなかった。

 今回の戦いで見極めないとね。

 彼女がふさわしいかどうかを。

 合格なら、私が導こう。

 今回はこの私が誰一人として失わせない!


 と、カッコよくまとめてみた。


 まとめた所で寝坊は無かった事には……ならないよね、やっぱし。


 うーん、どうやって誤魔化すかな。

 それが最大の問題だ。

 とりあえず『エルオスの無限バッグ』の中を漁り、なにか状況を打開できる夢のようなアイテムが無いか探してみる。


 無かった。orz (ずーん)


 『マスター、悪いと思うなら魔力提供してみては?呆れる位に貯蔵してるでしょ』


 オトプレちゃんが提案してた案…………………ふむ、提供ねえ………確かに魔力ストックもプレゼダーリンの料理効果で15年分まで溜まった………でも提供するには受給魔法陣を受給者に……いや、まてよ…………


 『あった!』


 再びバッグを漁ったところそれは見つかった。


『えせ魔力エリクサー』


 『魔力エリクサー』は約1時間の間、MPがMaxになり続ける神薬である。

 制限時間付きとは言え、正に魔法を使いたい放題になるパラダイスポーション!

 私は密かにエリクサーの効果時間中の事をフィーバータイムと呼んでいるのだ。

 しかし人生そう甘くはない。

 500年前ですら超レアアイテムで、使うの勿体ないアイテムランキング、不動のNo1でもあるのだ。

 その正式な製法は私も知らないし、神が作ったと言われているのを信じる人も多いが、が私は信じてない。

 きっと古代の人々が作った物だが、何かがありロストテクノロジーになったのだと思っている。

 私がどんなに調べてもその魔力がどこから湧いてくるのか遂に判らずじまいで諦めた悔しい思い出のある薬だ。

 当然私も本物を持っている。

 しかも3本も。

 これはもう自慢していいレベルだよね。

 なんと言うかいくら私が凄いと言ってもこれ程までとはね、私ほどの美貌を持っていると魔力エリクサーの方から寄って来るのよね、使って下さいってさー。

 でも勿体ないから使わんけどね。


 因みに『生命力エリクサー』も製法不明の神薬だけど、こちらは『あるダンジョン』からよく出てくる為、そこまでもったい無くはない。

 例のランキングでは15位くらいだったかな、たしか。


 そのダンジョンは別名『エリクサー工房』とも言われていて、常時エリクサーを求めて冒険者達で賑わっていたものだ。

 アヤメと一緒にこのダンジョンで1ヶ月、生命力エリクサーを集め続けたっけね。

 いやはや懐かしい、今でも在るのかしらん。


 で、このエセ魔力エリクサーは私が作ったポーションで、コレを飲んだ者は本物と同じく、一定時間魔力がMaxになり続ける。

 本物との違いは効果時間が2時間と延長している事と、魔力の出どころが私の魔力ストックからと言うこと。

 私には全く意味の無いポーションである。

 なぜこんな物を作ったのかというと理由は2つある。


 私はヒーラーのミラには半ば強制され、魔法陣にて魔力供給を行っていた。

 だからミラは私の魔力を共有する形で私と同じくほぼ無尽蔵の魔力を有していた。

 当時の魔力ストックは実に300年分。

 魔王との一戦で100年分を使い、転生で10年分使った。

 魔王討伐の旅やなんだかんだで、転生時に残っていた魔力は100年分だった。


 転生後、魔力ストックが1年分しか残ってなかったのには焦ったね。

 魔力を食ったのおそらくオトブレちゃんの維持費だろう。

 ざっくり500年を99年分の魔力でやりくりしたんだね、オトプレちゃん。

 やりくり上手で助かるわー。


 さてエセエリクサーを作った理由だけど、一つは他の仲間の為だ。

 流石にミラと同じ様に魔法陣による付与はしたくなかったし、

 それはミラも反対した。

 しかし、魔王討伐の戦いは熾烈且つ過酷であり、魔力切れが生死を分かつ事もしばしばあったのだ。

 私はアヤメを悲しませない為の一つの手段としてこれを作った。

 効果時間が限られるということでミラをしぶしぶ納得させた。


 もう一つの理由は意地である。

 エセでもいいから魔力エリクサーを作り上げたかった。

 意地でこの形をとったのだが結果オーライだったのかな。

 魔法陣での供与と違い、受給者のタイミングで使えるし、近くに私がいなくても良いからね。


 それでも、生き残れたのが6人。

 しかし、それは魔力切れがもたらした結果では無く、実力と運の差だったんだろうね。


 ぬふふふ。

 エセ魔力エリクサー、面倒だからエセ薬と呼ぶけど、全部で30本近くポーション瓶に詰められている。


 これ、これだ!

 コレを作っていた! と言って誤魔化そう!

 ピンチに颯爽と現れる私。


 カッコよす!


 流石私だ!


 『どうやって持っていくの?』


 あ!


 オトプレちゃんが言い出しっぺのくせに呆れたような口調で輸送方法について難癖をつくてきた。


 そうだね、その場で取り出すのは流石にNGだなぁ。


 うーん……


 バッグの中に何か無いかな。


 およ? これはなんだ?

 思わず取り出してしまった。


 それは2枚の布だった。

 一枚はベッドのシーツに出来るんじゃ、という広さ。

 もう一枚はフェイスタオルのように長細いがタオルよりは長いかな。

 同じ柄の2枚の布。

 何の仕掛けもないただの布だ。


 あれ?まてよ、これは何処かで……


 あ!これは!


 そうだ、思い出した。

 それはアヤメが『大風呂敷』と『ほっかむり』って呼んでいたものだった。

 大盗賊ミリー誕生の瞬間!

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