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57話 大賢者である私の悪魔退治

「や、こんなところで奇遇だね」(2回目)


 なんかリリー先輩の姿を見たらなんだろう、気が抜けたんだよね。

 私の真面目モードが完全に切れてしまった。

 もう、あと10年は発動しないんじゃ無いかな。

 そして真面目モードが切れたら何よりも強烈に恥ずかしい。

 そして思わず出た言葉がさっきのヤツだ。


「え、っと その……ほんと奇遇よね!ミリーもダンジョンだなんて」


 元気になったリリー先輩が、なんとも言えない雰囲気で私の発言に付き合ってくれた。


「あー、うん。たまたまダンジョンにトンネル作りたくなってね。ほんと偶然って怖いよね−」


「ああ、そうだな……いいトンネル日和だものな」


 カリスも乗ってきた。

 でもトンネル日和って何?


「なんと言っていいか解らないけど……

 あーもう! ダンジョンで勝手にトンネル作っちゃダメじゃない。ギルドに許可取ったの?」


「許可しました」


 セバっちゃんが間髪入れずに答え、


「ノープロブレム。我に抜かり無し」


 と私も答える。

 諦めたクーンも話を合わせてくれた。

 よし、あとは難敵ミルファたんだけだった。

 全員でミルファたんを見る。

 皆に見られミルファたんは顔を赤らめた。

 さて、この無茶振りにどう答える?

 お手並み拝見だ。


「えーー? 次私!? どうしましょう?

 あ、そうだ。ミリー、掘るにしても縦掘りは危険ですよ」


「ええっと、うん今後は気をつけるよ」


 さあ、謎の挨拶は終わった。


「じゃ、ちゃっちゃとハエは潰しますかね」


 私の言葉に今まで静観していたボスが怒りをあらわにした。


「この私をハエ… 潰す……ですと?」


「まあ、潰すのは私じゃないけどね」


 私はそう言ってミルファたんに内緒話をした。

 ミルファたんは頷き、祈りを開始する。


 暫くして皆の武器が光りだす。

 ミルファたんが祈って作った聖属性の光を私がサポートして増幅し、一時的に武器にエンチャントしたのだ。


「一時的だけどミルファたんの聖属性をかけといたよ。」


 光る武器を構えるリリー達。

 その目が獲物を駆る獣の様に光る。


「了解しました」


 私の意図を察したセバっちゃんが殺意を消した。

 やっぱ暗殺者だよね。セバっちゃん。


「いえいえ、私はしがないギルド職員ですよ」


「ま、いいけどね。連れて来ておいてゴメンネ」


「貴女に振り回されるのは嫌いじゃありませんよ。それに活躍を若い者に譲るのも先達の役目ですから」


「燻し銀だね」


「無視…されるのは我慢なりませんね」


(本当は中級の)最下級デビルは腕を突き出した。

 魔法を唱えたいのだろう。

 が、発動しなかった。


「な!」


「うぷぷ、『な!』だって、キモ! 移動を封じたのに魔法だけ許す筈ないじゃないの。あんたやっぱ最下級だね、オツムがさ。攻撃、防御、撹乱、魅了、バフ、デバフ、転移その他諸々全て封じさせてもらっちゃいましたー。あ、あと呪いもね」


 私が天井を指差すと天井には大きな魔法陣が天井いっぱいに広がっている。


 悪魔魔法無効化魔法『奴らは油断ならないから取り敢えずこの手の嫌がらせは基本だ』


 である。

 私の持つ大魔法の一つだが3悪属性が使う魔法だけを無効化する。

 呪いを含めたのはハッタリだけどね。

 3悪属性者の魔法は魔力に邪気を含む。

 だから吸収はしない。

 ただ魔法発生に必要な魔力に含む邪気を浄化して魔法をコントロール出来なくするのだ。


 流石の私でもこの魔法を瞬時に且つ、広範囲での発動は出来ない。

 だから謎の会話で時間稼ぎをしつつオトブレちゃんにこっそり作らせたのだ。


『悪魔共の表情が滑稽ね』


 オトプレちゃんも自分の仕事に満足そうだ。


「ご自慢の手下もインプ召喚出来ないからねー」


「ククク、これで勝ったつもりですか? これからです。あなた方が地獄を見るのは。私が見れないのは残念ですがね」


「低階層ボスごときが心配する事じゃないよ」


 私は肩を竦めてみせる。


「随分と自信がおありだ」


『殲滅魔道士ロゼシアスタの名にかけて、スタンピードも魔王も潰してあげるね』


 私はにっこり笑う。

 最後のは念話だ。

 セバっちゃんですら聞こえる事はないだろう。


 ボスちんの表情は驚きに変わていく。

 何かを言おうとした時、オトプレちゃんがボスの喉を聖属性魔法で焼いた。


『マスター!その名を不用意に出すのは危険よ』


『ゴメンゴメン。この流れだったら言った方がカッコイイと思って』


 オトプレちゃんの攻撃がきっかけで、リリー達によるジェノサイドが開始された。

 表現するのも憚られるので割愛するよ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ボスを倒した。(リリー達が)

が、宝箱は出現せず。扉も開かない。


「あ、これ、いよいよヤバいわ」


 これはボスが即時リポップしたということ。

 スタンピード間近で意図的に我々を封じようとしているね。

 でも空間がロックされてないから無意味だよね。


「ミリーどういうこと?」


 リリーが心配そうに聞いてきた。


「詳しくは後でね。オトプレちゃん頼むよ」


 私の声に反応したオトプレちゃんは転移魔法を発動させた。

 移動先はビフテだ。

 ミルファたんの妹、サファたんがまだ待ってるかも知れないからね。


「オトプレちゃんに掴まって。で、一人づつ移動ね」


 そんな事を言っている間にボスが出現した。

 さっきと同タイプだね。


「時間稼ぐから構わず行って」


「私も戦うわ!」


 リリーは残って戦いたがった。

 困ったちゃんだねえ。

 時間稼ぎと言ってもね。

 中級デビル程度では私の相手は務まらないけどね。

 さて久しぶりに使うかな。

 かつて悪魔共を恐れされたあの魔法を。


 悪魔叩潰魔法『悪魔(ハエ)叩き』


 私の前に正方形の魔法陣2m×2mが出現。

 魔法陣には柄が着いている。

 ハイ! もうおわかりですね。

 見たまんまハエ叩きで御座います。

 悪魔を叩き潰せます。

 縮地で一気に距離を詰めると、出現したてで状況もつかめてない中級デビルをビタンと叩く。

 魔法陣に押しつぶされデビルは無残な姿に。

 魔法陣は網の目状になっており押しつぶされたデビルは……

 これも判りますよね。自主規制ものです。


「あーやっぱ私行くね」


 私がデビルを駆除した様子を見たリリーはシリアスさがすっかり抜けたこの場に、なんか、もうイイや的な投げやりな感じになってしまった。


 ミルファ、クーン、カリス、リリー、セバっちゃん、オトプレの順で転移していく。

(オトプレちゃんは5往復後ね)

 その間に私はデビルを3回叩き潰した。


 さて私が最後に残った。

 4回目のデビルを叩き潰した後で


「じゃ、バイバーイ」


 にこやかにダンジョン第3層ボスの間から脱出し、ビフテに転移したのだった。

シリアス展開に筆者も耐えきれませんでしたとさ。


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