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37話 大賢者である私は切実に勝利を誓う

 ヤバい!ヤバいですぜ!奥さん。

 そんなフレーズが頭の中を駆け巡っている。

 私、ミリーシアタはシラフで歓迎会に参加中。


 現在、歓迎会はただの飲み会に移行していた。

 リッキーは酔い潰れている。

 セバっちゃんはギルドに戻った。

 プレゼの姉御とレトリー、トンちゃん、ジッちゃんは、いい感じに酔っぱらい話し込んでいる。(レトリーはシラフ)


 ムッツは項垂れていた。

 彼がそうしているのには訳があるが、理由はリリー先輩にあった。


 そして何より、現在私はリリー先輩に捕まっている。

 背中には脂汗。

 私、ミリーシアタは現在戦慄中であります。

 正にかつて無い程の身の危険を感じております。


「あのーリリー先輩」


「なぁに?ミリー♡」


 私の耳元で囁く。

 私の腕にはリリー先輩の胸の感触が。

 というか故意に押し付けられている。


 くっ!自慢か?自慢なのか!?


「ちょっと近いかなーって」


「赤くなっちゃってミリー可愛い♡食べちゃいたい♡」


<話、聞いてねー!!あとセバー!リリーの酒癖知ってて逃げたな!>


 目でプレゼの姉御に助けを求める。


<プレゼー!たすけてー!>


<どうにもならん。諦めな!>


 プレゼの姉御は哀れみの目と共に首を振ったのだった。

 ぐはー! リリーはガチなのか!

 ガクガクブルブル。


「あのさー。素敵な女性は私以外にいっぱいいるじゃない?クーンさんやカリスさんややミルファさんとか。特にミルファさんをオススメだなぁ」


「私は意外性のある人が好きなの。ミリー!貴女は完璧よ!貴女の行動はいつも私をドキドキさせるわ」


<ギャー!告白キター!>


 2回の人生合わせて生まれて初めて受けた告白は、同性からでした。orz


 初めての告白は、ロマンティックなシチュエーションでイケメンから受ける。

 それが私の夢でした。

 そしてたった今、その夢は砕け散ったのでした。


「私、ミリーだったらいいわよ?」


<何をーーー!?>


 おちおちと感傷に浸る暇も与えられないとは。

 私、お持ち帰りしませんよ?


 何故こんな展開に?

 リリー先輩とは普通の恋愛談義だったはず。

 それが、だんだんリリー先輩の目がとろんとしてきて、距離が近づき、現在では0距離だ。


「私お子様だからー。何の事かわかんなーい」


 こうなったら最後の手段。

 禁じ手ではあるが今は緊急事態だ、致し方無し。


 私のターン!


『無垢なお子様』発動!


「あら、じゃあお姉さんが教えてあげる♡」


<ぎゃー!リリー先輩襲う気満々だー!私、お持ち帰りされちゃう!>


 リリー先輩のターン!


『お姉さんの誘惑〜大人の階段を登る手助け〜』によるカウンター炸裂。

 ミリーの精神に300のダメージ!


 禁じ手をこうも簡単に返してくるとはリリー先輩恐るべし。

 もう二度と言一緒にお酒は飲むまい。


 リリー先輩は両手で私の顔をホールドしてきた。

 強制的に見つめ合わさせられる私。

 そして近づいてくるリリー先輩の顔。

 私のファーストキスが狙われてる!


 ヤバい!ヤバいですぜ!奥さん。


 そんなフレーズが頭の中を駆け巡っている。

 どうにかせねば!


 その時、魔力の気配が頭上からした。

 誘眠魔法『いつ寝るの?今でしょ!』だ。

 どうやらオトプレちゃんが助けてくれた模様。

 リリー先輩はスヤスヤ眠ってしまった。


「た!助かった!」


『世話がやけるわね。マスター。』


 オトプレちゃんからの念話。

 そうだった、オトプレちゃんがいたんだった。

 ナイスプレイだ。


『ありがとー!マジで助かった。まだそういうのはご遠慮したいからねー』


『どういたしまして。私は作業に戻るわね』


 どっと疲れた。

 リリー先輩との勝負、私の貞操を守る為にも勝たねばならぬ。

 私は戦慄と共に気持ちを新たにするのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーー



 眠ってしまったリリーの対応の為、ギルドに戻ったセバっちゃんを呼び戻し高級宿に連絡を取ってもらった。


 リリーは王女様だからね。

 戻らないとなると問題になるかも知れない。

 果たして、直ぐに迎えの馬車が来たのだった。

 セバっちゃんにそのまま送ってもらうことにする。


「セバっちゃん。わかっていて逃げたね。後で覚えてろよ!」


「はて、何のことでしょう?私にはサッパリですな」


 いつもの様に無表情のセバっちゃん。

 しかし馬車が来るのが早すぎるから、前もって手配していたと思われた。

 一緒にいる時間が長いためか忘れがちだけど、1番の要注意人物はセバっちゃんなのだ。


 とはいえ現在は、例のポーションが広まるのを待っている状況。

 これ以上こちらから動く気はない。

 ボロを出さないようにだけ気をつけておこう。



ーーーーーーーーーーーーーーー



 朝。

 またプレゼの姉御の店に戻ってきていた。

 リッキーは興奮気味だ。

 二日酔いも無く、元気溌剌。

 その様子を見ていたセバが一言。


「愛のなせる業ですな」


 プレゼの姉御も続く。


「だな、愛の奇跡だわ」


「さっきから愛って何?」


 リッキーが不思議がっているがこれ以上この話題は禁止ね。


「何でもないよ。今日は依頼取れたのかな?」


「そうなんだ、今日は何だか身が軽くてね。ゴブリンの討伐依頼を受けれたよ」


「へー討伐依頼か。イイネ!」


 昨夜、酔い潰れたリッキーに鈍痛軽減魔法と共に身体強化魔法もかけておいたのだ。


「へー すごいな」


 死んだ魚の様な目をしたムッツが抑揚のないトーンで反応した。

 リリー先輩の『真実』が相当ショックだったようだ。


 昨晩リリー先輩と恋愛談義をした訳であるが、当然、好みの男性の話になるよね。

 そしたらリリー先輩は爆弾発言をしたのだ。


「私、男性は好みでは無いのよね」


 そこれからリリー先輩は徐々に私に近づいて…

 ガクガクブルブル。

 恐ろしい記憶だったため、ここまでしか再現できないようだ。 


「この事は他言無用な。漏れたら命は無いと思いな!」


 あとでプレゼの姉御に釘を刺された。 


「どうりであれだけ美しいのに浮いた話が出ない訳ですね」


 その発言を受けてレトリーは冷静に分析していた。

 なんて事があったのだ。


 今、リリー先輩のターゲットはズバリ、私である。

 今後は転移魔法を使って、安全エリアに逃げ込んでから寝ることにしよう。


「ムッツ、あんた大丈夫?」


 こんな状態では命がいくつあっても足りない。


「ムッツ、無理は良くないな。今日は休んでおくか?」


 リッキーも事情が分からないなりに気遣っている。


「いや だいじょうぶ」


 全然大丈夫そうでない返事が帰ってきた。

 やれやれ。


 燃焼系?魔法『超激辛!奇声のファイヤー!』起動!


「キョエーーー!! 辛れーーーーー!!!!!!」


 突如、奇声を発して飛び上がったムッツ。

 ぐへへ。この魔法は一種の気付けである。

 一瞬ではあるが奇声を上げるほどに激辛に襲われるのである。

 ふむふむ、ムッツは 『キョエー』派か。

 ナルホドね。

 どうでもいい知識が一つ増えてしまった。


「どうした! ムッツ!」


 驚く皆。

 狂ったと思われても仕方がないけど効果は抜群。

 ま、見てなさい。


「あれ?辛くない」


「気分はどう?ムッツ」


「ミリーの仕業か!コノヤロー!」


「ムッツリ怒った。こわー!」


「ムッツリじゃねー!」


「いつものムッツに戻ったな」


 レトリーが冷静に分析している。


「ああ、落ち込むのがバカバカしくなったぜ。それに体がカッカとしてるし、この鬱憤はゴブリンで晴らさせてもらうさ」


「よし、じゃあ行くか!」


 リッキーの号令で立ち上がる皆。


「気張ってきな!」


 私達はプレゼの姉御の激励に送られ、店を出たのだった。

 レッツ、討伐!

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