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30話 大賢者である私はやはり流石だった1

 流石私である。

 もうその流石っぷりは留まるところを知らない。

 如何に私が流石なのかを

 フェル王子に伝えたくて仕方がない。

 届けこの想い〜(音声伝達魔法ではない)

 気を取り直して、


 はい、皆様 

『ミリーシアタアワー』のお時間でございます。

 先のオーディションでは私、ミリーが大活躍でしたね。

 皆様も楽しんでいただけたと思います。


 さて、質問など届いてはおりませんが、新コーナー『ミリーちゃんが質問に答えちゃうぞ』の始まりです。

 では早速始めましょう。

 初めての試みなので先ずは私、ミリーちゃんの質問から。


「ビフテ出身、ラブリーミリーちゃんよりの質問です。何が流石なのでしょうか?」


 いい質問ですね。流石私です。

 あ、この流石私は質問の内容があまりにも素晴らしかったからです。

 悪しからず。

 では質問への答えです。

 何が流石なのか?

 それを説明するためには、私の回想に付き合って頂く必要があります。

 覚悟は宜しいでしょうか?

 あ、覚悟が無くても進みます。

 有無は言わせまん。


 では私の回想スタート!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「巷で噂のミリーです。ヒーラーやってまーす。ヨロシクネ えへ♡ あとー、GとかG様とかグレートマムって呼んだらミリー泣いちゃう。そんなことしたら握りつぶしちゃうZo♡」


 最初は肝心である。

 だから皆と打ち解ける為、全力かつ最高の挨拶をした私。

 これで皆は私にメロメロだろう。


「毎度お馴染みセバです。皆様宜しくお願い致します」


 折角皆と打ち解ける為の挨拶もセバっちゃんの凍てつく波動丸出しの挨拶によって台無しだ。

 皆萎縮しちゃってるじゃん。


「え、ええと僕は知ってるけど、ミリーさんよろしく」


 とリッキーが最初に返してくれた。

 リーダーたる者率先して皆を引っ張って行くもの。

 リッキーも逞しくなったね。

 しかし。


「ノンノンノン!ミリーさんじゃない。ミリーね。ハイ言って」


「ミリー…」

 

「はい、もう一度!」


「ミリー」


「はい、ラスト一回!」


「ミリー!」


「オッケー!ベリーグッ!」(やたら良い発音で)


「貴女はだれですか?」


「ミリーだよ!セバっちゃんヒドイ!」


 私とセバっちゃんのハートフルトークがあり、リッキー達もだいぶ打ち解けた様だ。


「えーと、それじゃあミリー、こちらの紹介するね」


「レンジャーやってる ムッツソーだ。リッキーとは幼馴染だ。ムッツとでも呼んでくれ」


 お、ぶっきらぼうキャラだ。

 しかも コヤツもイケメン候補生だ。

 しかし、こういう手合は大抵ムッツリスケベと相場が決まっている。

 よし、ムッツリーさん、ムッツリさんね。

 覚えたぞ。


「よろしくね。ムッツリ!」


「ムッツリじゃねー!まあ一度は言われると思ったよ」


 お、中々ノリのイイヤツじゃん。


「私は魔道士のレトリーン。よく間違えられますが男でして。私もリッキルトとは幼い頃よりの付き合いなので腐れ縁と言うやつです。ともかく宜しくお願いしますよ」


 メンドーそうなクールキャラ来た。

 しかし彼は本当に華奢で綺麗な顔をしていて女性にしか見えない。

 ただし、喋らなければである。

 声はゴリゴリの野太い男声だからだれも間違えないと思うけど。

 イケメンと少しジャンルが違うが見目麗しいのはイイね。(喋らなければ)

 この場合ギャップ萌は発生しませんからね。


「よろしくね、レトリー」


 こうして一通りの自己紹介は終わった。


「ミリーもビフテの出身だよな」


「一応そだよー」


「一応?」


 怪訝な表情を浮かべるムッツリ。

 リッキーがムッツリを肘でつつき、レトリーがため息をついた。


「孤児だからね。正確な生まれまではね」


「あ、スマン」


「あ、私もビフテ出身ですぞ」


 場を察して気を使った?セバっちゃんに私は素直に疑問をぶつけてみた。


「あれ? 出身プニョンじゃないの?」


「ああ、その異名は私がかつてプニョンにてスタンピードよる侵攻を食い止めた事に由来しています」


「へー、スタンピード起きたんだ」


 え!?、スタンピード起きるの?


 ダンジョンでは時間の経過ごとにモンスターが自動発生する。

 その仕組みは古来より謎のままである。

 だから放置するとダンジョンに収まり切れなくなる。

 するとダンジョンはモンスターを外に全て放出して中身を空にする。

 そして困った事にこれも理由は解明出来ていないが、放り出されたモンスターは何故か人の都市を目指して押し寄せて来るのだ。

 まるでそういった決まり事があるかのように。

 必ずである。

 規模はダンジョンの規模にもよるが、最低でも1000匹以上はいる。

 そのモンスターが溢れ出す現象をスタンピードと言い、人類が恐れる現象の一つだ。


 余談だが、私は魔王の発生とダンジョンは関係あると思っている。

 解説はそれくらいにしようか。


 おいおい、今の時代の統治者達は何をやってるのか?

 それを起こさせないための冒険者じゃないか。

 ダンジョンの発生、消滅などの観測を含め、モンスターを間引くための冒険者の派遣もそれらは全て国家の役割のはず。

 500年前では考えられない事だった。


 兎も角、場の雰囲気は静まった。


「兎も角みんなヨロシクね」


 こうして新生『ビフテの星』を結成した私達は薬草の群生地に向かっていったのです。(ナレーション風)


「ない!」


「あるじゃん」


 リッキーが案内してくれたポイントに着いた。

 目の前には薬草Bが生えているんだけど。

 リッキーは薬草が生えてないという。


「あ、こっちのは薬草に似てるけど違うからね」


 思い切り薬草Bを否定されてしまった。

 はて、私は錬金術も薬学も多少は判る。

 この草は薬草Bで間違いないけどね。

 取り敢えず新参者なので、リーダーに従ってみよう。


「こっちも無いな」


「同じく」


「これは根こそぎ採られたかな」


「ふむ、イケマセンな。全部採ってしまっては次が育たない」


「うーん、そんなマナーの悪い輩がいるの?」


「以前からビフテにいる奴らには居ないな」


「じゃあさ、モンスターが食べたんじゃない?」


 リッキー達が探しているのは薬草Aだ。

 ポーションは薬草Aだけでも作れる。


 しかし、そこに薬草Bを1:1で混ぜた場合は、な、な、な、なんと、効果が3〜5倍になるのだ。


 さて、私が見た所薬草Aは確かにここに群生していたのだろう。

 しかし、食べられて根だけが残っている。

 私はそれとなく警告しておいた。

 この付近にまだいるかも知れない。

 薬草Aを食べるのはマッドボア、イノシシ型モンスターだ。

 Eランクなら倒せると思うけどね。


「森の中だ一応警戒しておこう。」


 リッキー、君、信じてないね。

 私を立ててくれるのは、まあ嬉しいけどね。


 セバは相変わらず無表情だ。


 やれやれ魔法起動。


 生体関知魔法『その気になればミジンコだってイケる!が、やらない事をお勧めする』


 マッドボアだとすると関知サイズは人間程度でいいかな。

 さて、感知した。

 近いね、リッキーの真後ろ20m。

 お、いるいる肉眼でも発見。


「ねぇリッキー」


「ん?どうしたのミリー」


「後ろにほら」


 とマッドボアを指差す。

 この子達は、まだまだだなぁ。

 薬草探しに夢中になって警戒を忘れている。

 特にレンジャーのムッツリは反省ものだよ。

 セバはとっくに気づいている様子。


 さぁ、このパーティーでの初戦闘だ。


 続く!!(ナレーション)

 ミリーはまともにヒーラーが出来るのか!

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