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16話 大賢者である私は目立ちたくない3

 私、ミリーシアタを巡る男達の争いが勃発しようとしている。

 こともあろうか冒険者ギルドが率先して争いを煽っている事実は私を驚愕させる。


<止めて! 私の為に争わないで!!>


 なんて健気なの?私。


「急にブリッ娘な目になってどうしたの?」


 ちっ!、リリー先輩によって現実に引き戻される私。

 もう少し夢を見ていてもいいじゃないか。


「なんでも無いよー。でもオーディションねえ。散々審査した挙げ句、全員失格でもいいのかしらん」


「鬼ね!」


「そんな事無いよー。イケメンが居たら考える」


「判断基準はそこなんだ?」


 だいぶリリー先輩も私に慣れてきた様子。

 どんどん容赦が無くなってきよる。

 ふふふ。私が聖女にふさわしくないと思わせる作戦は既に始まっているのだ。

 リリー先輩、大いに幻滅するが良い。


「それでは、説明に入らさせて頂きます」


 セバっちゃんにより、説明が始まった。


「まず、最初にこの度、ヒーラー登録されたミリー嬢を紹介致します」


 仕方なく、私も台上に上がる。


「昨日冒険者登録をしましたヒーラーのミリーです。ご先輩方よろしくお願いしますね」


 ペコリと頭を下げて見せる。


「「「「「「おおお!!」」」」」

「ちっこいぞ」

「可愛い!」

「好みだ」

 冒険者達のテンションが上がる。


 えへへ、可愛いと言われ私も悪い気はしない。


 ====================


 野次馬集団の中にて。


「ミリーの奴ブリッコ装ってるなー」


「なんというか、似合わないわ」


「らしくないですね」


 青薔薇の面々はミリーのブリッ娘に否定的だ。


 一方、台の後ろに居るリリーはと言うと。


「目立ちたくない。ねぇ」


 ミリーの言葉と態度の矛盾に呆れていた。


 ====================


「なお、ミリー嬢は現在Fランクになりたて。そこで不測の事態にギルドとして対応する為、暫くの間この私、セバとパートナーを組む事が決まっております。つまり、オーディションに勝ち抜いた冒険者様パーティーにおかれましては、私達コンビをパーティーに迎える事になります」


<ぶは!何言ってくれとんじゃー!セバァーー!!>


 危うく声に出るところだった。


「さすがはセバ。ミリー以上の突拍子のなさね。こちらで頼んでおいてなんだけど契約書を逆手にとる手腕はえげつないわ」


 台の上にいて、セバっちゃんの爆弾宣言に動揺した私は、リリーの言葉は聞こえなかった。


「おおお!あの伝説のセバさんと一緒に冒険できるのか!」


「すげー!!絶対オーディション勝ち残るぞ!」


 とか冒険者のテンションは上がっている。

 なにげにセバっちゃんは業界の有名人のようだ。


「ちょっとセバっちゃん!いつコンビになったのさ!」


「おや、まだ話しておりませんでしたな。昨日の契約書の条項を呼んで頂ければご理解頂けるかと」


「ん? 契約書?」


 私は台上にいるにも関わらず契約書を確認する。

 そしてその項目を見つけた。


『契約遂行中の冒険者は不測の事態に対し、ギルドの指示が有る時はその指示に従うこと』


 つまりはこうだ。

 私はまだ昨日の依頼の報告をしていない。

 青薔薇の戦乙女の方でギルドに依頼達成の手続きはしてもらったが、私がギルドに行って報告しないと依頼は完了しない。

 つまり、現在はまだ任務遂行中という事。

 だから先程の項目が意味を持ってくる。

 今回の騒動によりギルドは業務が出来ない事態に陥った。

 不測の事態が発生したので、ギルドの指示(セバっちゃんとコンビになりオーディションを開催すること)に従う義務が私には在る。


 わなわな!と震える私に、セバっちゃんがいつもの様に私の心を読む。


「ご理解がお早く頼もしいですな。これから宜しくお願いしますよ。」


「謀ったな!セバ!!」


「凄いな!あの娘、あのセバさんとタメだぞ!」


「ああ!セバさんの眼光に怯まないなんて、なんて強いメンタルなんだ!」


 私とセバっちゃんのやり取りに冒険者達はざわつく。


「それでは、こちらの話もまとまったので、説明を続けさせて頂きます。本日は説明会の後、この場にて参加パーティーの受付を致します。参加を希望するパーティーのリーダーは登録をお願いします。尚、2重登録が確認された場合は即時失格となりますのでご注意下さい。オーディション本戦は準備もございますので7日後となります。場所は練兵場では少々狭いので町の外に特設会場を設置致します。オーディションの内容は当日発表となります。それまでの間は依頼を受けるなり、トレーニングするなりお過ごし下さい」


 一気に説明を進めるセバっちゃん。

 

「では、最後にミリー様より一言頂きます」


 ここで私に振るか!

 しかしまたしてもリリーにヤラレタ!

 セバはお目付役だ。

 私がどのパーティーに入ろうがセバが一緒ならその情報は筒抜け。

 逃亡も阻止できるという寸法だ。

 ふふん、本気の私をセバっちゃんで止めれると思うなよ?

 今回はオーディションに興味があるから素直に従っておくとしよう。

 仕方なく覚悟を決めた私は、拡声魔道具なしに大声で冒険者達に話しかける。(当然拡声魔法を使っている)


「ヤローどもーーーー!!私をパーティーにいれたいかーーーー?」


「「「「「「「おおーー!」」」」」」」


 なかなかノリの良い連中である。


「地獄のオーディションに参加してでも欲するかーーーー?」


「「「「「「「おおーー!」」」」」」」


「私の為に地獄を見るかー?」


「「「「「「「おおーー!」」」」」」」


「マゾどもめー!だったら受付に行きやがれー!!」


「「「「「「「おおーー♡」」」」」」」


「ヒィヒィ言う様を私に見せろよー。待ってるぞー!!」


「「「「「「「イエス! マム!!!」」」」」」」


「マムじゃない!! このロリコンどもがーー!!」


「「「「「「「おお!!!!神だ!我々の女神だー!!!」」」」」」」


 どうやらここに居る冒険者共の心を掴んでしまったようだ、流石私である。

 でも揃いに揃ってマゾか!

 もう全員不合格でいいんじゃない?マジで。

 キモいし。


「流石でございます。ミリー様」


「見事に私をはめたセバっちゃんに言われても嬉しくないよ。では後は宜しく」


「かしこまりました。マイバディ」


<グフ! バディなら 若いイケメン良い!!>


 精神ダメージを受けながら私は台から降りる。

 あとはもうセバっちゃんに任せよう。

マイバディ、それは美しくも甘美な響き(Byセバ)

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