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第1話 目覚めると其処は……

不定期更新です。



息抜きに書いたので完結するかは現時点では不明ですが、頑張っていきたいと思います。



 


「ふわぁ〜あ……もう朝か」


 窓から差し込む日の光で目が覚める。


 ベッドから起き上がると、見覚えのない部屋であった。


「ん?此処は何処だ?昨日は自分の部屋で寝て居たはずだが?」


 声も何時もとは違う様に感じてベッドから出ると、近くに姿見があったので近付くと、其処に写っていたのは闇の様に漆黒の髪の色に、血の様に紅い色をした瞳に端正な顔立ち、そして少しポッチャリとした肥満体型の5、6歳頃の少年の姿であった。



「な、何だと!?」


 大声で叫んでしまったので、部屋の外からバタバタと複数の足音が聞こえて来る。


 扉がノックされる。


「アドノス様!如何されました!?失礼します!!」


 そう言って扉をあけて入って来たのは、白と黒のコントラストのメイド服を着た女性と、執事服を着た男性に、革鎧を着て腰に剣を差した兵士と思われる男性が入って来た。



 兵士は素早く室内を見回して異常がないか、鋭い目で確認する。


 異常がない事を確認したのか、ふぅと一つ息を吐いて臨戦態勢を解くが、いつでも抜剣が出来るように剣の柄には手を添えてある。



「いや、何でもない。少し寝惚けて居ただけだ」


「そうでございますか?」


 心配そうに問いかけてくるメイドに頷く事で答える。


「わかりました。ではお着替えをお手伝いします」


(やっぱりこの姿はアドノス・ラドフィードか。確かパンタシア・クロニクルに出て来る登場人物だったな。高スペック、高ステータスで更には珍しい三職業(トリプラー)であった筈だ。そして主人公の敵対キャラとして幾度と無く出て来たな)



(そう言えば、俺は此処がゲームの中だと認識出来ているが、前世?の記憶があまり無いな。まあ、いいかな。そんな事よりはこれからはアドノスとして行動するんだからな。え〜と他にアドノスに関する事は何だったか。そうそうアドノスと言えば悪役貴族だが、元々はそんなに悪い奴ではなかった筈だ。サイドストーリーでアドノスの過去に付いて触れられていたな。元々ラドフィード侯爵家はこの国クロッカス王家有数の名家であり、文官のトップの宰相と武官のトップである大将軍を輩出した事もある家柄である押しも押されもせぬ大貴族である。そして領民には決して圧政を敷いては居らず、寧ろ慕われている方である)



 アドノスが考え込んでいる間にも、メイドは慣れた手つきで服を着替えさせて行く。


 執事と兵士はいつのまにか部屋から消えていた。


(そうか、確かアドノスが10歳頃に両親は王都から街に戻って来る間に、盗賊に見せかけられた刺客の手により亡き者にされる筈だったな。それで元々口調や態度は尊大であり誤解されやすいアドノスだったが、何かが決定的に壊れてしまう。それからは民に圧政を敷いたりする横暴な性格の領主になった筈だ。だが、作中では没落した描写や背景は描かれて居らず、ラストのエピローグでいつのまにか没落してたんだよな。そんな未来は断固拒否である!手始めにこの肥満体型を何とかしないとな)



 そう思いお腹に手を当てると、お腹が空いてるのかとメイドに勘違いされた。


「既に朝食の準備は出来ています。食堂に参りましょう」


(いや、確かに少しお腹は空いてるけど?俺ってそんなに食いしん坊に見える?……まあ、見えるよな。今までは食べては寝て食べては寝ての不規則かつ不健康な生活を送って来てたもんな。まあ、何はともあれ良い考えを思いつくにも頭に栄養が無ければ考えも纏まらないだろうし、大人しく食堂に行って食事を取るとするかな)



 メイドに案内されて食堂に到着する。


 食堂にはアドノスと似てポッチャリとしているが、端正な顔立ちをした黒髪青目の男性がいた。


 彼こそアドノスの父親であるオトマール・ラドフィード侯爵である。


 オトマールの対面にはスラリとした体型であるが、出るとこは出ている銀髪赤目の綺麗だが、冷たい印象を与える女性が座っていた。


 彼女はオトマールの妻であり、アドノスの母親であるイザベラ・ラドフィード夫人である。


「大声が聞こえて来たけど大丈夫かい?」


 入って来たアドノスに優しくオトマールは声を掛ける。


 そして対面に座っていたイザベラは席を立ち、アドノスに駆け寄り抱き締める。


「大丈夫?怖い夢でも見たのアーちゃん?」


 アーちゃんとはイザベラだけが呼ぶアドノスの愛称である。


「寝惚けていただけだよ母様」


「そうなの?今日は一緒に寝る?」


「大丈夫だよ」


 心配そうにアドノスの顔を見つめて、両頬に手を添えてくるイザベラ。


 正直こんなに絶世の美女に心配されて嬉しくないわけが無いが、不思議と情欲などは湧かなかった。


 もう一回アドノスを抱き締めてから漸くイザベラは名残惜しそうにアドノスから離れる。


 イザベラは実はこう見えて大の親バカであり、アドノスを溺愛している。



 普段のイザベラは冷静沈着であり、自ら商会を立ち上げて手広くやっており、クロッカス王国有数の大商会にまで発展させている。


 平然とライバル達には酷い手や容赦ない手を使い、蹴落としたりしているがアドノスに関わる時だけ、些か冷静さを失う。




 ひと段落したところで、席に座り朝食を食べる。



 朝食を食べ終えると両親二人は仕事があるので食堂から退室する。


 アドノスも部屋に戻ると動きやすい服装に着替える。


 普段と違う行動をするアドノスに戸惑った表情を一瞬見せた、お付きのメイド達だが其処はプロなのだろう。


 すぐに表情をいつも通りに戻している。


「アドノス様。これからどちらかにお出掛けでしょうか?」


「軽く外を走って来る」


 そう告げると、ひどく驚いた顔をメイド達はする。


 内心失礼なやつらだ。と思ったがアドノスのこれまでの事を思い返すと仕方がないか、と一人納得する。


 20分掛けて入念にストレッチをしてから軽く走り始める。


 五分も経たずに息が上がって来た。


「ゼェ……ゼェ……ゼェ……」


(ヤバイ!まさかこれほどまでに動けないとは!足が重い!まるで鉛になったかのようだし、胸が苦しい息が出来ん!)




 少しばかり休憩を入れてから、またアドノスは走り出す。




 それから毎日二時間は走り一月後見事にダイエットに成功する。





 ■■■


 オトマールもアドノスが見事にダイエットに成功した後に、イザベラにアーちゃんを見習って痩せなさい。と言われて強制的に走らされ見事ダイエットに成功した。

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