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夢の話の扉(未完成)

作者: F´

未完成のミステリーです。

今の自分では、ここまでの完成度にしかなりませんでした。話の構成も、展開もいまいち不完全が感じがします。どなたか、もっと完成度の高い作品にしてくれることを望みます。

また、本編の後に、後書きもお読みください。

バーでアルバイトを始めて1年。

常連客の話も聞きなれるようになった頃、俺はある3人を引き合わせたいと思うようになった。

3人とも、よく同じ夢を見ると言う。

それぞれの夢は違うのだけれど、話を聞いていると、繋がりがあるように思えた。


葉山さんの夢の話では。

目の前で人が倒れて、血が床に広がっていった。声をかけようとするが声が出ず、動けないでいる。

やっとのことで、「救急車を呼ぼう。」と言うが、近くの男は「やめろ!」という。「お前のせいだ、おのせいだ!」と喚く別の男もいた。

しかし、いつもその先は「よく覚えていない。」と笑いながら言って、教えてくれない。もしかしたら、本当に思えていないのかもしれない。

けど、「たぶん、笑い話だよ。」と言っている。


石山さんの夢の話では。

飲み会が二次会、三次会とあって、ずっと上司や部下の愚痴を聞き続けて心中穏やかではない状態で、ようやくお開きとなった。

最後に一杯だけ飲んで帰ろうと、行きつけの店に行く途中、言い争いをしているカップルを見かける。

女は美人だが、男は強面。関わりたくないな、と思って横を通り過ぎようとするが、男が女を突き飛ばしたのに巻き込まれてしまう。どうにか避けようと夢の度に色々試してみるのだけれど、結局は巻き込まれて、女の下敷きになってしまうそうだ。

「人の女に何しとんじゃ!」と、因縁をつけられる。弁明をするものの、男は聞く耳を持たない。

女のいい加減にしなさいよ!」と何度か諌められて治まったこともあったし、逃げて巻いたこともあった。

けど最終的には、いつもの店に着いて扉に手をかける。

そこで目が覚めるそうだ。


六谷さんの夢は・・・、今調度六谷さんがいらしゃった。

今日、うまくいけば三人が顔を合わせる。

三人が話し合えば、夢の中の男の最初から最後までが繋がるはずだ。


六谷さんが一杯目のボウモアを飲み終え、二敗目を注文しようとする頃、葉山さんが来店された。

六谷さんの近くに案内し、いつもの山崎の水割りを出すと、一気に半分くらいを飲み干した。そして、低く響く声で、最近の映画の話をする。

話がひと段落し、ウィスキーのお代わりを出した後、六谷さんに、

「また、いつもの夢は見ましたか?」

と聞いてみた。一瞬、葉山さんがピクリと反応したが、

「ああ、今朝も見た見た。」

と説く谷さんが言ったのを見て、自分じゃないのか、とうな垂れてウィスキーをちびちびと飲み始めた。


「いつもの通り、この店の扉を開けると2人の先客と2人のバーテンがいるんだよ。

 バーテンの1人は、今朝気付いたんだが、お前だったよ。もう一人はマスター。

 先客の1人は初老の紳士で、もう一人は同じく代の男性。その中間くらいに座るんだ。あれ? 調度今日みたいな感じだな。いや、同じだな。

 で、飲んでいると、これもまた同じくらいの歳の男が店に入ってくるんだ。その男が俺の隣に座るや否や店の扉が開いて強面の男とすんごい美人が入ってきて、強面の男が何か叫んだところで、目が覚めていたんだ。

 ところが、今日は目が覚めないで続きが見れたんだ。」


そこで、初老ご注文のアラビアータが出来上がり、ワインと一緒にお出しした。

「続きはどうなったんです?」

と六谷さんに聞くと、葉山さんが聞き耳を立ててるのが見えた。


「で、強面の男が叫んでたのは『なんだテメー、こんなところに居やがって! “なんとかかんとか”』って、何かいきなり怒ってんだよ。

 関わりたくないなぁ、と思うんだけど、隣にいる美人がめっちゃ好みだから、目が離せないでいたんだよ。

 強面の男は、とにかく怒鳴って、聞き取れないくらいのわけのわからないことを言っててな、お前と初老の紳士が、なだめようとしたのかな、近づいて声をかけたんだ。

 けど、強面の男は怒りが治まらなくて、初老の紳士が持っていたワイングラスを取り上げて投げようとしたんだ。ワイングラスもって怒ってる人に近づくなよ、と思ってたんだけどな。

 んで、ワイングラスをこっちに向かって投げようとしたんだけど、お前と美人に止められて、グラスは取り上げられたんだ。

 すると、強面の男は近くにあった瓶を手に取って投げようとするんだけど、やっぱりお前に止めれらるんだ。

 それから、お前を振り払って、瓶を頭上に振り上げて、お前に向かってこういう風に振り下ろす。

 ガコンっていう、何かな、瓶が固いものにあたって割れる音っていうのかな。それが聞こえた瞬間に目が覚めたんだ。

 いや~、その後どうなったか気になって気になって、今日ほとんど仕事が手に着かなかったよ。」


「その話って、もしかして・・・」

葉山さんが六谷さんに話しかけた。

ついでに、葉山さんはローストビーフを注文されたので、自分は少し厨房に行かなければならなかった。

今日の六谷さんの話を聞くまでは、夢の話は自分に関係のない話だと思っていた。

けど、倒れてる男性ってもしかしたら・・・。


カウンターに戻ると、

「え!? そうなの? なんだ~」

と六谷さんと葉山さんに笑い合っていた。

葉山さんの話通りなら、この後、自分は・・・。


ローストビーフと、追加注文の宮城峡の水割りを出した時、店の扉が開いた。

「座れますか?」

疲れた声を響かせて、石山さんが入ってきた。

「いやね、すんごい変なような話なんですがね、さっきね、」

としゃべりながら六谷さんの隣に座ろうとした。

店の扉が再び開いた音がした。

あれから二日。シフト通り、今日もアルバイトに入っている。

あの日、救急車を呼ぶこともなく、そもそも誰も怪我さえなかった。

自分は、正義感だけは強いほうなのかもしれない。あの話を聞いた後でも、何故か話の通りに体が動いてしまって、瓶を持った強面の男と取っ組み合った。

振り下ろされた赤ワインの瓶は、自分に当たることなく、床に打ち付けられて割れた。

けれど、自分は殴られたと思って、ショックで気を失って倒れてしまったようだ。

マスターに起こされ、

「おい、いつまで寝てんだ。さっさと起きろ!

 それと、予備の服が奥のロッカーに入ってるから着替えてこい。」

と言われて起き上がった。

服が赤くべっとり濡れただけで、体は全然なんともなかった。

強面の男は出禁。

葉山さんは、「いや~、夢の通りだったよ。」と笑っていた。大笑いしていた。

「本当のことを言うとね。今日のここまでが夢で見たことなんだよ。ごめんね。」

全然申し訳なさそうに謝っていた。

「でもね、もう一つ見る夢があってね・・・」

若干怯えながら、けど、仕事だと諦めをつけて、また夢に巻き込まれるのだった。

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