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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

肉の概念

作者: 灰色の猫
掲載日:2016/05/18


 前に勤めていた会社での出来事。



 8月に入るかどうかの時期に札幌へ同僚5人で旅行に行ったんだ。だいたいの金は経費で落ちる社員旅行でね。1泊2日。



 男3人で女2人。まあ特別何かを楽しみにしていた訳じゃなかったんだ。入って間もなかったし、ススキノで遊ぶつもりもなかったしね。



 ここで大事な事を言っておくけど、旅行に行った5人の中で盛り上げ役と言えるポジションの人がいなかったんだよ。女性2人は俺より若かったけど、社内では大人しい子達だったから俺は頑張ったんだよ。




 でも頑張るのは1日目だけになってしまった。




 経費ということで夕食は豪華に焼肉。最近できた高級店。この社員旅行、2グループに別れていて前半組は蟹を食べたみたいで、後半の俺達は自然と焼肉になった。




 店は広い通りの目立つビルの4階だったかな。店内は狭かったけど、客層も高級店らしくアホみたい騒がない人達で落ち着いた空間だった。


 極めつけは対応してくれた女性が着物。田舎丸出しの俺達は肉の値段も相まってビビってたね。




 最初はビビって安めの肉で胃袋を満たし、事件はやっとこさ慣れた中盤に起きた。



 受容と供給のタイミングが合わない中盤戦。テーブルの上は色々な種類の肉達が置かれていた。しかも高級店をホームと勘違いし始めたために、牛や豚、鳥などの1番高額な商品が並んでいた。さらにさらに、店員は持ってきた肉の種類を伝えてくれない。やっぱり高級店は違うぜ。




 とりあえず、全てを消化するために豚肉を焼く事に。人数分準備し、焼きすぎに注意した。



 みんなの皿に配りほうばる。



 安い肉とは違い、脂が邪魔にならない。タレに負けないほど肉本来の味がしっかりしている。俺は感想を短い言葉でまとめた。




「豚肉の概念が変わった」



 同僚達も俺の言葉を上回る感想がないのか、無言で肉と俺の発言を噛み締めていた。



 やっぱり高級店は違うね。




 早くもそんな雰囲気でまとまりそうだった。だけど。





「はあ〜い、豚お待たせしました」




「??!!」




 店員が去ってから同僚の女の子がメニュー表とさっきの豚と思わしき肉を比べた。


 まだ誰も発言はしていない。


 まだ慌てる時間じゃない。



 俺の脳裏にはツンツン頭のあの人が現れて、俺を落ち着かせてくれ

「さっきの牛肉でしたね」



 速攻のカウンターを決められた。



 可愛い顔した女子社員は、仕事中と変わらないテンポで淡々と事実を述べた。




 俺、絶句。


 他のみんなは1回ずつ「豚肉の概念が変わった」と繰り返し述べ、俺は焼きすぎた肉の様に小さくなっていた。




 それからというもの、旅行だけじゃなく帰ってからの仕事でも俺の発言がみんなの耳に届く事はなかったよ。




 でもね、高いお肉って結局みんな似てくると思うんだ☆



 皆さんも高い店に行ったら、食べる前に何の料理か確かめてから食べましょうね。

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