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王女の独り言  作者: Spark
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第9話 丸め込むのも一苦労よ

 瞬間移動大成功ね。

ここがジェフの家なの?まったく、本当に民家ね。良くも悪くもない民家ね。まったくもっての民家ね。そこら辺の民・・・痛い!なに?痛!ボールペンが飛んで来る!?

セバスチャン!本当に危ないから!よい子が真似したらどうするのよ!誰も見ていない?見てるわよ!何千、何万というよい子が・・・痛いから痛いから!もうわかった!誰も見ていないわよ!

もうなんなのよ!頬にインクがついちゃったじゃない!ちょっとしたホクロよ!あっでもこれって、泣きボクロ?やっぱりわたくしは悲しい運命を背負っているのね。ちょっと聞けやセバスチャン!っていうかあっちに消えなさい!



 お姉様!お姉様いらっしゃるんでしょう?ここを開けてくださらない?少しお話をさせていただけないかしら?少しでいいのよ。

あっ鍵を開けてくれたわ。お姉様!あらジェフもいたのね。

申し訳ないけれど、お姉様と二人きりでお話がしたいの。少し外へ出ていてくださるかしら?ありがとう。



 さっお姉様、身支度を整えてらして。

どうしてって、お城に帰るのよ。お姉様がいるべき場所はこんな庶民の匂いがプンプンする民家ではないわ。お姉様だってわかっているのでしょう?さぁお城へ戻って一緒にワインを飲みましょう。よろしければワイン風呂も用意してよ。

帰らないって、お姉様は何もわかっていないわ。庶民の生活がどれだけ苦しいか。

・・・内職やらなんやらよ。私にだってわからない苦労がいっぱいよ。お姉様はきっと後悔するわ、宣言してもいい。今まで仕事などしたことのないお姉様に何ができて? 

セーターを編んでいる?それがなに?お金につながるとでも?言っておくけれどお姉様の手先はものっすごい不器用よ。売れる物を編める訳がないじゃない。

ちょっと見せて・・・ほら見てみなさい。編み目がぐちゃぐちゃで、とても売り物になんてならないわ。お姉様は体育会系なのよ。そういうのはわたくしみたいな文化系にしかできなくてよ。それならジェフと一緒に庭師をする?


・・・甘ったれるのもいい加減にして!お姉様ははっきり言ってなにもできない赤子と一緒よ!

私?私はわかっているわ。私だって何もできないわよ。だからどこぞの王子と結婚をして幸せに暮らすの!そうすればお父様だってお喜びになるし、一石二鳥よ!それが嫌なのってどういうこと?親の敷いたレールの上を走るのが嫌?だから、それが甘えだと言っているの!

朝はメイドに起こしてもらって、気づいたら朝食を食べて、メイドの用意したドレスを着て、少し庭を散歩なんてしたりして。自分では何もできないじゃない!これからがんばる?お姉様、それこそ甘い、甘すぎるわ。

 

ジェフ!ジェフいるのなら入ってくださるかしら!あぁいたのね。セバスチャンは入らないで!どうして入って来るのよ!ここは自分の家なんだからいて当然だろうって、誰に向かってそんな口を叩いているの?もういいわ、いてもいいわよ。


 それではジェフ、お姉様は心を改めたわ。一緒にお城へ帰るけれど、いいわよね?

ダメです?あなた、父親と一緒で頑固なのね。でも私だって「頑固の女王」と呼ばれて早5年なの。甘く見ないで。

 

 

 空気が重いわ。少し臭う上にこの空気の重さ、耐え難い苦痛ね。このままここにいたらこの悪臭がこびりついてしまうわ。さぁお姉様、とっとと帰りましょう?

痛い!お姉様!なぜ頬を叩いたの?あぁ鼻血が!一国の王女が鼻血を出してしまった!明日の新聞の一面は決まったわ!

『王女、姉に引っぱたかれ鼻血を出す』よ!お姉様はきっと悪者呼ばわりされるわ!それが嫌なら一緒に帰りましょう!

ぐはっ!セバスチャンに叩かれる義理はないわ!ホントに痛い!執事に頬を叩かれる王女なんていないわよ!この事はお父様に報告させてもらうわ!


 

 ちょっと待って、携帯電話が鳴ったわ。え?携帯電話って何ですかってジェフ・・・。

そうだわお姉様、これは貴族しか持つことのできない代物よ。庶民になってしまったら見ることすらできないわ。それでもよろしくて?

あぁもしもし?クァイル?なにかしら?ってその前にあなた私の電話番号知ってらしたの?教えたはずないのに・・・セバスチャン!あんた教えたわね!あっもしもし?武闘大会?まだでしょう?出るの辞めた?あぁそうなの。それじゃまた。 


お姉様、帰りましょう。帰ったらお父様に頼んで新しい携帯電話を買ってもらいましょう。そして色々な王子と電話番号を交換しまくりましょう。きっといい出会いが待っているはずよ。あっちょっと顔をしかめたわ。あともう一押しね。

ってジェフ!ちょっと、お姉様をお離しになって!お姉様はもうお城へ帰るのよ!

僕が王子になります?頭おかしいんじゃないの?

養子になる?ちょっといい?私とお姉様が他の国の王子と結婚をすれば、ランラン家はますますの発展が期待できるの。あなたが養子に入ったからといって、ランラン家に何の得があって?なにもないわ。ただ庶民を婿養子にしたと笑い者になるだけ。わかったらあっちに行きなさい!そして二度とお姉様の前に現れないで!



 

 馬車の中もすごい暗い雰囲気ね。お姉様は夢見る少女の様に外の景色をずっと見ているし。もうそんなお年頃はとうに過ぎたはずよ。まぁ私も人の事は言えないけれど。


あら?何か後ろからものすごい轟音が聞こえてくるわ。何かしら?

セバ・・・ジェフ?うわぁすごい必死の形相ね。でもお姉様には教えてはいけないわ。せっかく帰る気になってくれたんですもの。また心変わりをされてはいけないもの。

お姉様、お城に着くまで少し眠っていたらどうですの?着いたら起こして差し上げてよ。とても疲れているのか、目の下のクマがすごいわよ。眠っていないんでしょう?いいから眠ってくださいまし・・・おりゃ!綺麗なボディブローが決まったわ!


ぐっすり寝ているわね。とっても心地よさそうな寝息を立てているわ。ちょっと、窓を少し開けてくださるかしら?ありがとう。

よっこらしょ、顔を出すのも一苦労ね。

ジェフ、どうして追いかけてくるのかしら〜?もうお姉様はあなたとは結婚しないわ〜。あらセバスチャン、あなたもついてきたのね〜。申し訳ないけれど、お父様も過ちに気づいたの〜。今あなた達を捜しているかもしれないわ〜。もしお父様に捕まったら極刑はまぬがれないわよ〜。

それが嫌なら身支度を整えて、この国から去りなさい!私はこれから冷たい王女として生きていくわ!

さぁ早々と止まりなさい!早く立ち止まらないとお父様を呼ぶわよ!どうやって呼ぶって?あなたさっき見ていなかったの?わたくしは携帯電話を持っているのよ。ピポパでひとっ飛びよ!


あっジェフが転んだわ。そりゃそうよね。馬車の速度に人間が追いつけるはずがないわ。

・・・セバスチャン、あなた人間じゃないわ。どうしてずっと全力疾走しているのに息が少しも上がっていないのよ!あんた悪魔か何かじゃないの?

痛い!ヒゲ抜いて投げるな!なんかチクチクするわ!きゃあ!ヒゲが、ヒゲが動いている!気持ち悪い!

あっ違った、風で揺れてるだけだったわ。あっ転んだ。なんだか間抜けな親子ね。二人して転ぶなんて。

まぁでもこれでお姉様もお城に戻っていただけることだし、めでたしめでたしね。



追ってくる気配はないわ。ゆっくり走ってくださるかしら?もう焦ってお城へ帰る必要もないから。ええありがとう。



 それにしても、お姉様もおかしな方ね。どうしたら庶民と結婚をしようなんて思えるのかしら。まぁ考え直してくださったからいいけれど。私は間違っても絶対そんなことはしないわ。

痛い!お姉様起きてらっしゃるの?あれ?寝ているわ。眠りながら顎にアッパー喰らわすなんて、さすがね。

あら・・・お姉様、瞳から心の汗が・・・そんなにジェフのことを想っていらしたの?

あっ違った。ハイヒールで思い切り足を踏んづけていたわ。ごめんあそばせ。


 なんだか私も疲れてしまったわ。ちょっと衛兵、着いたら起こしてくださるかしら?起こさない?どうしてよ?

この前起こそうとしたら目つぶしを喰らった?知らないわよ、寝ぼけていたのだから仕方ないじゃない。過去の事にこだわりすぎているとロクな大人になれなくてよ。

あなたよりずっと大人だって?そりゃそうよ、私は永遠の美少女だもの。っておい!今鼻で笑ったろ?

もういいわ寝るわ!あなたに起こされなくても自分で、自分の意志で起きてみせるわ!



肩コリが回復に向かいそうです。更新が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。

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