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王女の独り言  作者: Spark
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第7話 帰るわよ

 あぁよく寝たわぁ。今何時かしら?あららもう11時を回っているじゃない。誰も起こしに来てくださらないのね。

ノックがしたわ。はいどちら様?あら、メイドさんおはよう、どうなさったの?ご相談?なにかしら、ああその前に少し待っていてくださらない?仮にも王女がネグリジェ姿で相談には乗れないわ、ごめんなさいね。構わない?いえそうじゃなくて、私が困るの。だから構わないって、いや、だから・・・もういいわ。

 何かしら?やっぱり出場しない?というか出場すらできない?どうして?エイトが出場を許さないってなぜ?ちょっと、泣いていては何も解決しないわよ。さぁ、涙を拭って全て話して。

わたくしが優勝するのだから出場する必要はないとおっしゃったの?なんてことを。女の一大決心を揺るがそうなんて。ちょっと待っていらして。エイトと話してくるから。ちょっネグリジェ破ける!どうして引き留めるの?えぇ諦める?バカ!あなた、優勝してエイトと結婚するのでしょう!そんな弱音吐いてどうするの!あっちょっと聞いてる?あらら少し強く頬をひっぱたき過ぎたかしら。白目向いて気絶しているわ。ちょうどいいからこのまま寝かせておきましょう。


 あら衛兵さん、エイトのお部屋にご案内してくださるかしら?王子なら早くから練習にお出かけになった?どちらに?地下にある練習場?あらら、すごい熱の入りようね。それじゃあそこにご案内をお願いするわ。無理?なぜ?練習をしているときは誰も立ち入りは許されない?いいのよ私は。いいからお連れして!


 それにしてもエイトったらすいぶん自分勝手なのね。そういえば私エイトの性格って全然知らなかったわ。もしかしたらとっても俺様な人なのかもしれないわね。もし本当にそうだったら顔面に膝蹴りを食らわせて帰りましょう。


 あっエイト。あら無視?ちょっと・・・ちょっ・・・。おりゃあ!よっしゃあ!目つぶしが綺麗に決まったわ!のたうち回っていないで聞いてほしいことがあるの。

私、武闘大会には出場しないで帰らせていただくわ。そんな涙目にならなくてもって目つぶしのせいかい!どうしてですかって、決まっているじゃない。わたくしには到底無理な事。そしてあなたの妃にもなれないわっていうかならないわ。もうあなたの顔も見たくないの。その掴んだ腕をお離しになって!掴むのならメイドの腕を掴んで!今なんとおっしゃったって?何度も言わせないで。あなたにはメイドという心に決めた方がいらっしゃるのに、わたくしにこんなむごい仕打ちを!触らないで!こう見えてわたくしはプライドが高いの!金輪際わたくしの前に現れないでちょうだい!


 あ〜あ、追いかけても来ないだなんて、百年の恋が冷めたわ。これまたデジャヴ?

クァイルの顔見ると疲れるからこのまま帰りましょう。あら、なぜ床に米粒が・・・続いているわね。どこまで続くのかしらってセバスチャン!あんたお城に帰ったんじゃなくて?王女を城まで送り届けますって?誰もそんなこと頼んでいないわ。お父様のご命令?なぜお父様がそんなことを?マント家とは相性が悪いから?意味がわからないわ。それならあなたどうしてちゃっちゃと言わないのよ。ギリギリのところまで黙っていようと思った?そのギリギリがわからないわよ!どこまでがギリギリなのよ?えぇ?結婚が決まった瞬間?あんたふざけすぎよ!早く言いなさいよそういうことは!


 私は先に帰るから、あなたは先に帰りなさい。誰の目にも留まることなく帰りなさい。

っていうか早く行け!そのヒゲ全て引っこ抜くわよ!あぁ行ったわ、やっと行ったわね。私も早々と立ち去りましょう。もうこのお城に未練はないわ。

 

 あら、クァイル(会いたくない奴に出会ってしまったわ)おはよう。

何をしているのって身支度を整えているのよ。そう帰るの。あっ言っておくけれど、あなたとの死合、もとい試合が怖いから帰るのではないわ。絶対負けない自信があるのだけれど、諸事情で帰らなければならないの。あなたが怖いわけでは決してないわ。ある意味とても恐いけれど。それではチャオ(死語)。


 クァイルまでも追って来ないなんて、なんだか少し腹が立ってきたわ。いいわよいいわよ太郎!太郎はどこ?衛兵!太郎・・・じゃなくてクロフォードをここに!ほら私が乗って来た青鹿毛の!

あら、エイトじゃない。なにかしら?わたくしはもうあなたの顔など見たくないと言ったはずではなかったかしら?なによ?セブンですって?あらごめんなさいね。てっきりエイトかと。

どうしたのですかって、見ればおわかりでしょうに。帰らせていただくの。どうしてなんて野暮なご質問ね。帰りたいから帰るのよ。武闘大会?出るわけがないでしょう。あなたね、この細々とした体で出場なんてしたら、骨が全て折られてしまうわ。わたくし痛いのは嫌なのよ。そういえばクァイルは出る気満々だから安心して。

ちょ、腕をお離しになって。ドレスが破れてしまうわ。いや、だから離してって、ちょっ離せや!・・・あらごめんなさいね。しつこい男性が好かれたのは何世紀も前の事よ。今は来る者拒まず、去る者追わずよ。

クァイルだけはなんとかしてくださいって、あなたねぇ、申し訳ないけれど、わたくしにもどうにもならないことがあるの。

あら、黙りこくってしまったわ。本当にクァイルがお嫌いなのね。


セブン、はっきり言った方がいいこともあるのよ。そして頬を思い切り殴られて、終わりにすればいいじゃない。まぁあのクァイルなら頬を殴るだけではすまないかもしれないけどね。髪の毛が全てなくなる覚悟で言った方がいいわよ。でもモノは考えようよ。髪の毛が全て抜ける代わりにクァイルとさよならができるのよ?髪の毛はまた生えてくるわ。

 あら、俯いてしまったわ。心の中では葛藤が繰り広げられているのね。髪の毛かクァイルか。髪の毛かクァイルか。髪の毛かって、考えなくても答えは出ているはずよ。そう、あなたは髪の毛を捨てる!あっわたくしの予想が当たりそう。あら、なんだかたくましい背中を残して消えていったわ。


 まぁこれでわたくしはそそくさと帰ることができるわね。きっとエイトもメイドさんのことをきちんと考えるでしょう。あれだけ言ったのだからね。あっ太郎。えらいわねぇ、ニンジンはたくさんもらったかしら。なんだかご機嫌ナナメね。お城に戻ったらたくさんあげるから、それじゃあ行きましょうか。




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