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王女の独り言  作者: Spark
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第3話 やってやるわよ

 お父様!お父様・・・!あっお父様、大変な事が起きていますわ!お姉様が庭師のジェフと結婚したいなんて言っているの!そんなことは許さんって、さすがお父様!今二人は私の部屋にいるわ!

 

 よし!お父様ったら相当ご乱心よ。このままいけばセバスチャンは解雇ね!

 あっジェフ。どうしてあなたがお城にいるの?誰が入っていいと言ったのかしら?お姉様が言ったの?残念だけど、あなた達の結婚は白紙に戻ると思うわ。当たり前じゃない、どこの王様が自分の娘と庭師を結婚させますの?あなたとお姉様は生きる世界が違うの。わかったなら早々とお城から出て行きなさい。


 あら、ちょっと言い過ぎたかしら?すっごく暗い背中を見せながら帰って行くわ。でもこれもお姉様の為よ。庭師となんて結婚したら、お姉様の人生見えてるわ。ジェフのやつめ、お姉様をたぶらかしやがって、どうしてお姉様なのよ!私じゃダメ?

  おいセバスチャン!てめぇ思いっ切り頷いてんじゃないわよ!てかお父様はどうしたのよ!あんたを捕まえに行ったのよ?え?お姉様だけを連れて行った?あんたなんでそこでお許しを〜!くらい言えなかったの?ってなんで私あんたの応援してんのよ!

 


 お母様がまだこの世にいらっしゃったら、なんとおっしゃるかしら?きっと気が狂ってセバスチャンに噛みついていたわ。きっとそうよ。普段は優しいお母様も、娘の事となると人が変わったもの。

 小さい頃私が木から落ちて足を骨折したときも、あまりの怒りでその木を張り倒してしまったくらいだから。

 セバスチャン、お父様はお母様の意志を継いでいるのよ。あなたとジェフはきっと縛り首になると思うわ。でもそれはそれで見物よね。高みの見物をさせてもらうわ。

 痛!人の足踏んで行きやがった!


 あっお父様が出て来たわ。え?勘当したって、どういうことですの?あっお姉様!勘当されたって本当なの?どうして?ジェフの所へ行くって、一般庶民になったらお姉様、こんな高いドレスなんて一生着ることできなくなるのよ!それに、パーティにも出られなくなるし、食事だって貧相な物しか口にできないのよ!それでもいいって?お姉様目を覚ましてよ!あんたにはわからないってどういう事?

 

 誰かを本気で好きになったら身分なんて関係ないって、お姉様。それは所詮身分の高い者の戯れ言よ?庶民はいいわ、結婚してもそのまま庶民なんだから。でもお姉様は違うのよ?一度でも庶民の暮らしを体験したことがあって?きっと一日で挫折を味わうことになるわ。

だってお姉様、夜は必ずと言っていいほどワインを飲むでしょう?庶民にはワインなんて高嶺の鼻、もとい花なのよ?ワインなしの夕食なんて考えられる?あら、今一瞬すっごい不安な顔したわ。もう一押しね。今の暮らしを続けていればきっとジェフよりももっと素敵な男性に巡り会うことができるわ。私が保証する。


 ってセバスチャン!てめぇどっか行ったんじゃなかったのかよ!豆腐投げんな!私に当たる前に粉々に砕け散ってるじゃないの!

 お姉様!よく考えて!ジェフと結婚なんてしたらあの訳のわかならいセバスチャンが義父になるのよ!何か嫌なことあるとああやってパン粉やら豆腐を投げてくるのよ?耐えられる?ってパン粉まぶしてきたのはお姉様だったわ!

 あっお父様!お姉様考え直すって言っているわ!ですから勘当なんてお止めになってくださいまし!えぇ!もう決めたって、お父様それでよろしいの?手塩にかけて育てた娘があんな父親のいる家に嫁ぐのよ!お姉様が決めたことだから、何も言わないってそんな殺生な。え?私?私は絶対庶民なんかとは結婚しないわ。それならいいですって?

 セバスチャン!そんなとこに隠れていないで出て来なさいよ!そして縛り首になるがいいわ!お父様!なんとか言ってやってくださいまし!

 ええ!セバスチャンとお父様って親友でしたの?知らなかったわ。でも、だからってお姉様とジェフを結婚させてもいいなんて。うぇ!ジェフなら任せてもいいって?

 

 お父様!頭がおかしくなったの?だってさっき結婚なんてさせられるかって言っていたじゃない!違う?どういうこと?結婚させなきゃいけないって?ちょ、ちょっとさっきと言ってることが百八十度違うじゃない!あんたの思考回路どうなってんのよ!もういいわよ!勝手に結婚でもなんでもすればいいわ!



 バッカじゃないの?なにこれ?なんでこんなトントン拍子に事が進んでるわけ?全然会話が噛み合わないわよ!結局私の一人芝居ってわけ?あ〜なんか腹が立ってきたわ!

 決めた!これからエイトのお城に行くわ!この際クァイルが義姉さんでも涙を飲んでやる!王女ならやってやれよ!

 衛兵!衛兵!急いでエイトのお城まで馬車を手配して!え?場所わからないって?あんたそれでも衛兵なの!セバ・・・あいつじゃ役に立たねぇ!衛兵!私場所わかるから馬車引いてこいや!


 

 ね?私の周りはみんなこんなものなのよ。誰も私の言うことなんて聞いてくれないの。ホント疲れちゃって、見てこの痩せ具合。ダイエッターもびっくりよ。あんなに綺麗なお姉様が庭師なんかと結婚してしまうなんて、世の中どうなってるのよ!

 

 衛兵!あっ馬車引いてきたのね。私が道案内するから。え?王女様は馬車よりも馬の背中に乗るのが好きなのではないですかって?セバスチャンに聞いたのね?いいわよ!じゃあこの青鹿毛のサラブレッドを貸してちょうだい。気性が悪い?気にしないわ、私は質より量派だから。名前は?た、太郎ってあんた、もっと違う名前考えられなかったの?まぁいいわ。それじゃあ借りるわね。

 

 はやーい!早すぎて足がガタガタ言ってるわ!手綱がぁ!痛い!手が引きちぎられそうよ!全然方向転換できない!まっすぐじゃないの!左・・・左に行ってちょうだぁい!

 あっゆっくりになったわ。私の気持ちが通じたのかしらねって、草食いたかっただけかい!はっ!どうして馬にツッコミなんて入れてるのかしら。危ない危ない、もう少しで友達がいないから動物に話しかけてると思われるところよ。

 まったく、天国のお母様が悲しむわ。私だけでもどこかの王家と結婚をしなければだめね。あぁそうだ、私は絶対エイトと結婚するのよ。そして・・・この世界を我が手に!夢は大きく持たないとね!太郎、お腹は満たされたかしら?よしよし、それじゃあエイトのお城まで行くわよ!あっゆっくりでいいからゆっくりで。


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