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王女の独り言  作者: Spark
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第16話 なによこの仮面は

 お姉様は夜までベッドに寝かせるとして、私はドレスを見に行きましょうか。

セバスチャン、あなた王女が着替えるところを見たいわけ?ついてこないで。ってどんだけ素早い身のこなしよ!・・・一瞬で姿を消したわ。


 

 ああここね。あらあらドレスが何百、何千とハンガーに掛けられているわね。どれにしようかしら。

この真っ赤なドレスなんて素敵じゃない?いいわねこれ。うんこれにしましょう。

あっそういえばドレス屋の店主が私に似合う仮面を用意していくれているはずよね。どれかしら?


ってボケェ!なんでデストロイヤーマスクじゃ!似合うか!!こんなの似合うか!

ああもうどうしたらいいの!?はっ!お姉様の仮面で妥協するしか方法はないわ!

・・・誰もツッコミを入れてくれないわね。ちょっと寂しい。


ドレスはあれでいいとして、仮面よ仮面。どうしましょう。あっセバスチャン。

その手に持っている仮面はどうしたの?わたくしに差し上げるって?あなた実はいい人なの?

今頃気づいたかってなぜ上目線?

でもありがとう。わたくしがお礼を言うなんて滅多にないことよ、友達に自慢してもよろしくてよ。自慢にもならない?あんた一言多いのよ!



でもこれでパーティに行けるわ!まだお昼か。時間はたっぷりあるけれど・・・。



ない!時間ない!パラリ家まで馬車でスッ飛ばしても最低5時間かかるわ!

パーティは午後の5時21分からでしょう?なんでこんな細かいのよ!はっそんなことを言っている場合はないわ!


 お姉様!お姉様!風邪は大丈夫なの?大丈夫じゃない?それじゃあ行くわよ!どこってパラリ家のパーティよ!風邪で苦しいから今回は見送るって?

ドレスを買って仮面まで用意したのに、そんな風邪を引いたくらいで諦めるの?それでもお姉様はランラン家の長女、ガラファント・メロロリンリ・ランランなの!?

お姉様の名前がやっと言えたわ。この20数年生きてきて、初めて一度も舌を噛まずに言い終えることができたわ!絶対にいいことがある前触れよ!さぁ行くわよお姉様!鼻水はいいわ!仮面で隠れるから!



 衛兵!衛兵!今からパラリ家に行くから馬車を引いて!ってお姉様!あなたセバスチャンと行くんでしょう?なぜこの馬車に乗っているのってセバスチャン!あんたもちゃっかり乗ってるんじゃないわよ!

パラリ家までの道のりがわからないから同乗させてもらいますって?あんたねぇ。

もういいわよ、衛兵!大急ぎでお願いね!なによその嫌そうな顔は!お姉様も乗っているのよ?

って思い切り走り出したわ。なにこのお姉様ビイキは。




 ふぅもう少しでせっかくメリリが招待してくれたパーティに遅刻するところだったわ。気づいてよかった。ってお姉様!鼻水がドレスに!仮面をつけるから大丈夫?ドレスは隠れないわよ!

セバスチャン!ティッシュ!ティッシュを!ティッシュってなんですかって、ちり紙!ちり紙よ!あんたの隣りにあるそれ!そうそれ!それをお姉様に!

まったくお姉様、ドレスの替えは用意していなくてよ?少しは考えてくださらないと。

汚い!鼻をかんだティッシュを投げるんじゃないわよ!汚いから!

ゴミ箱がないから?私はゴミ箱か!!セバスチャン!あんたも無理に鼻をかんでんじゃないわよ!


着いたら起こすから少し眠ってくださいな!セバスチャンも寝てろや!あんたいるだけでうるさいのよ!



 やっと二人とも寝たわね。イビキがうるさいけれどこの際気にしないことにしましょう、ってこのイビキお姉様の口から発射されているわ。セバスチャンだったらノドに手刀を喰らわせているところよ。



 今日のパーティで私の未来の旦那様も見つかるかしら?今までどこぞの王子と話をしてきたけれど、誰も私の目に留まる男性はいなかったわ。今回こそは!ランランという名字を捨て、新しい私に生まれ変わるのよ!

痛い!足踏まれた!お姉様!っててめぇかセバスチャン!あんた起きてんの?・・・寝てんじゃないわよ!




ちょっと衛兵!どうして止まるの?パーティまでもう時間がないのよ?えぇ?山賊が通せんぼをしている?通せんぼって・・・。


ちょっと山賊さん達?今わたくし達急いでいるの。申し訳ないのだけれど道を空けてくださらない?

金目の物を置いていけば通してやる?何もないわよ。言ったでしょう?急いでいるのよ、あなた達に構っている暇はないの。ごめんあそばせ。


きゃあ!ちょっと!こん棒を振り回さないでちょうだい!危ないじゃないよ!この美しい顔に傷がついたらどうしてくれるの!結婚してやる?お断りよ!!

衛兵!衛兵・・・って逃げてんじゃないわよ!あんた王女を残して逃げるってどういう神経・・・ちょっと止まりなさいよ!


逃げ足だけは素早いのよねうちの兵って。あぁどうしましょう。セバスチャン!あんた起きてるんでしょう!?馬車から降りて来なさいよ!

何よその今まで寝ていましたみたいな顔は!ちょっとこの山賊共をどうにかして!わたくしをこん棒で殴ろうとしたのよ!重罪よ!


っておいやぁ!あんたなんで拍手してんのよ!ブラボーじゃないわよ!いいから行けやぁ!


あっ。


バカねぇ。こん棒を持っている人間に真正面からぶつかって勝てる訳がないじゃないのよ。お前がフッ飛ばしたんだろうってなぜ山賊にそんなことを言われなければいけなくて?わたくしはか弱き少女・・・もとい女性なのよ?


あっお姉様、どうしたのって見ればわかるでしょう?悪い山賊に足止めを食っているのよ。

離れててって一体どうするおつもり?



一瞬の出来事だったわ。お姉様は悪い山賊共をバッタバッタと蹴り倒したの。

セバスチャン!あんた何もやってないクセになにその自慢気な顔は!


でもこれでお城へ行けるわ!あぁでも衛兵が!馬車を引く衛兵がいないわ!

王女は馬車を引くのがうまいでしょうってセバスチャン、あんたの六郎が引く馬車とうちの馬の馬車を一緒にしないで!速さが違うのよ!

お姉様!お姉様が引く?さすが体育会系!よろしくお願い致しますわ!



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