第14話 売り切れって何よ
ごめんあそばせ。あらあなたまたヒゲが口の中に入っているわよ?気にしないでください?あなたは気にしなくとも私は気になって仕方がないわ。
何をしに来たのってずいぶんなご挨拶だこと。
いえね、昨日こちらで買った黄色いドレス、とても気に入ったんですけど、違うドレスを着たくなったの。それで今日もこちらへ・・・え?
全て売り切れ?どうして?目の前にあるこの大量のドレスは何?全て売れた?誰が買ったの?
・・・クァイルね!あの片っ鼻から鼻毛出してる女が買っていったのね!?なんてこと!
あなた!この辺に他にドレスを扱っているお店はあって?ないって何よ!
ここから10キロほど行った所にある?わたくしウソと湿気は嫌いなの。本当ね?それじゃあわたくしは今からそこへ向かうわ。せいぜいクァイルのライオンパーマを拝むことね。
クァイルの奴、私にパーティへ行けないように仕向けたわね!案外やるわねあの女。
でもいいわ。お陰で違うお店を紹介してもらったんだから。さあ早く馬車へ戻りましょう。
っておいやぁぁ!馬車ねぇって何だよ!衛兵!衛兵は?!何よこの仕打ちは!馬車はどこへ消えたの!あぁもう何がなんだか・・・これもクァイルの差し金なの?あの女一体どこまでやれば気が済むのよ。
・・・何よセバスチャン。あんた消えたんでしょう。小走りでこっち来ないでよ邪魔だから。
私の馬車に乗ってください?あんた馬車なんて高額商品持ってたっけ?昨日買った?あららあんたうちのお城をクビになったっていうのにいい暮らしをしているわね。年金で買った?もっと違う物買えや!
でもまぁ仕方ないわね。そこまで言うのならば乗ってあげてもよろしくてよ。なぜそこで嘔吐してんのよ!何よ乗せたくないの?乗せる?じゃあさっさと馬車持って来てよ!
っておらぁ!どうして私が馬引かなきゃいけないのよ!そしてあんたはどうして馬車の中でくつろいでいるの!自分の馬車なのだから当然でしょうって。・・・いいわよ私が引くわよ。
って遅ぇ!なにこの馬!あんたちゃんとニンジンあげてるわけ?これじゃあ歩いた方が速いわよ!
そこにニンジンあるからあげてくださいって腐ってるわよこれ!何を考えているのよ!あんたは年金でこんな馬車買って、馬には腐ったニンジン?あなたが腐ってるわ!ってなんであんたに言われなきゃいけないのよ!それはこっちの台詞でしょうが!
もうはいや!そいや!まったく走る気を出してくれないわ。まぁ時間はまだまだたっぷりあるからいいけれど、こんな所をクァイルに見られた日にはもう表に出られないわ。
っどわぁ!あれはクァイルの馬車!やばいわ!なにか顔を隠す物!セバスチャン!あんたちょっと代わって!って寝てんじゃないわよ!あぁもうどうしたら!あんたもっと速く走って!走って!
あーあ、見つかったわ。めちゃくちゃ笑っているわね。そんな笑顔もブサイクよ。
どうして馬をあなたが引いているのってあなたには関係ないわ。ちょっ、ついて来ないでくださるかしら?わたくしはこれから行くところがあるの。
ドレスは買ったのってよくそんな言葉が言えるわねぇ。誰のせいでこんな事態になったのかしら?私のせいではない?あなたねぇ、え?あなたもドレスを買おうとしたら全て売り切れと言われた?
それじゃあ誰が・・・。
お姉様!あの女・・・何を考えているのよ!わたくしがパーティに行けるようにしてあげたというのに、なぜこんな酷い仕打ちを!
何よセバスチャン!あんた寝てたんじゃなかったの?自分の解雇を取り消さないから?は?あなた自分の都合のいいように話を作るつもり?
朝にお姉様からメールがあって自分の解雇を取り消さないならば全てのドレスを買い占めてしまいなさいとおっしゃった?
ふざけんじゃないわよ!あんたの解雇解消くらいお安いご用よ!だからドレスを!わたくしにドレスを!
何よその顔!ムカつくわねそのおちょぼ口!
じゃあさっきのドレス専門店に戻れってなぜ命令口調なのよ!あんたがドレスを買ったわけじゃないでしょ!どうせランラン家に領収書が送られるんでしょ!
馬!戻るわよ!セバスチャン!この馬の名前は!?六郎?次郎から五郎までどこに行ったのよ!