第13話 嫌な奴に立て続けに会うなんて
本当なんなのよ!なんでまたドレス買いに行かなきゃなんないのよ!あの黄色いドレスすっごい気に入ってたのに!ってこんな朝早くから店開いてないってのよ!
馬車を引いて来てしまったけど行く所がないわ。どうしましょう。まだ朝の9時よ。
あっそうだ、近くのカフェレストランが開いているわね。衛兵!行ってちょうだい!
なによ?場所がわからない?あなたそれでも衛兵?私が道案内するから行って・・・私だってわからないじゃないよ!もういいわよ!時間までどこかブラブラ散歩するから!
なんで止まってんのよ!進みなさい!散歩は歩くものです?いいわよ降りるわよ!
まったくうちの衛兵ときたら役立たずばかりでイヤになってしまうわ。お父様もそこら辺をちゃんと考えてくださらないと、敵が攻めてきたら5分でランラン家は滅びてしまうこと間違いなしよ。
散歩っていっても何もすることがないし・・・。あぁドレスを着たまま田舎道を散歩って、絵にならないわね。
って誰!?今あっちで鼻で笑われた気がしたけど。空耳かしら?そうよね、こんな朝早くからこんな所で暇つぶしをしている人物なんてそうそういないわ。
ってセバスチャン!あんたこんな所で何してんのよ!?
王女がどうしているか心配になって?それってお姉様の事?えっ私?
どうしてあんたに心配されなければいけないのよ?独り言を言うから?何!?独り言のどこがいけないってのよ!
友達がいないと周りに思われる?
いるわよ友達くらい!でもみんなどこぞの王家の人だからそうそう会いになんて行けないのよ!
友達の名前を言ってみろ?あんたブン殴るわよ!みんな名前長くて覚えていられないのよ!長い名前は王女だけだって?それはお父様に言って!
もうこっち見ないでよ!わたくしは今一人で考え事をしているの!邪魔しないでちょうだい!
・・・痛い!あんた王女に向かって輪ゴムを飛ばすんじゃないわよ!痛い痛い!ピシピシ痛いわ!
何よ?ランラン家に戻らせてください?どうして?ジェフはもうお姉様の事は諦めたのでって、理由にならないわよ。
それは私ではなくお父様に聞いてらして。わたくしには判断しかねるわ。
お父様にはもう許してもらった?ウソでしょう?本当ですって、お父様ったら何を考えていらっしゃるのかしら。お姉様の事を全く想っていないようね。
いい?あなたの顔をお姉様が見たら絶対にジェフを思い出すでしょう?傷口を広げる気?ランラン家にはもう戻らないでちょうだい!
お姉様にも許してもらった?ウソでしょう?本当ですって、二度も言うの面倒くさいわ!いいわよ勝手にしたらいいじゃない!
いいからこっち見るなや!あんたのそのヒゲ見てたら吐き気をもよおすわ!
こんな朝早くに何をなさってるんですかって、今それ聞く?普通ならばもっと早く質問するところでしょうが!
あなたには関係なくってよ。ドレスを買いに行くのでしょうってあんたどんな能力持ってんのよ。衛兵に聞いた?あの野郎、帰ったら減給処分にしてやるわ。
言っておくけれど、ついてこないでね。あなたがいたら5分で終わる買い物も、1時間経っても終わらなくなるから。
行くわけがない?ついてくんなよ!絶対ついてくんなよ!
本当について来ないわね。いつものあのヒゲだったら絶対についてくるのに。もしかして改心したのかしら?
あぁでも時間が余って仕方がないわね。カフェもまだ準備中だったし。
・・・痛い!腕を叩かれた!真っ赤になっちゃったじゃない!誰よ!?クァイル!?
こんな朝早くから何をなさっているのって、その言葉そっくりそのまま返してもよろしいかしら?
お久しぶりね。あれからセブとはどう?頭を丸刈りにした?見たところあなたのそのライオンパーマは健在だけど。セブが?丸坊主に?なぜ!?ってあぁそうだ!私の言葉を鵜呑みにしたからだったわ!
あなたこそどうしたの?パラリ家の仮面舞踏会に行くからドレスを買いに来た?
・・・あなた行くの?仮面は半年前から用意してた?アホね、いいえなんでもないの。
セバスチャンはどうしたのって何突然?あの男の名前を口になさらないでいただけるかしら?聞いただけで鳥肌が立つの。
そういえばなぜ武闘大会に出場なさらなかったの?自分にはやはりムリだった?あなたもでしょう?って?わたくしは優勝できるつもりだったけど、気分が優れなくて帰っただけよ。それは言い訳と言うのよって、あなた!いつからそんな勝ち気な女性に変態、もとい変身したの?
パラリ家の王子がとても格好いい?どうしてこう話が逸れるの?あなたパーティに行く前に会話の基本を勉強なさったら?
でもパラリ家の王子・・・ちょっと待って、私見たことないわ。戦争でずっと遠くへ遠征していた?それでパーティに合わせて戻ってきたって、どんな戦争なさっているのよ。
私もそのパーティに行くのよ、お姉様もご一緒に。
あぁでも申し訳ないけれど、パーティではお姉様に近付かな・・・話しかけないでいただけるかしら?ちょっと傷心なの。きっとあなたが声をかけた瞬間、そのライオンパーマが爆発するわ、って元から爆発していたわね、ごめんあそばせ。
わかったって?物分かりがいいわね。その代わりにパラリ家の王子には近付かないで?何それ、言っておくけれど、パーティでは仮面をつけるのよ?誰が王子だかわからないじゃない。それにそういうことはわたくしではなくその王子におっしゃって。向こうから声をかけてくるかもしれないから。
あららなんだかとても睨んでいるわね。いい度胸よ、わたくしだって人を睨んで早3年なの、甘く見ないで。
あっもうそろそろドレス屋さんがオープンする頃ね。せいぜいその体に似合うドレスをお探しになって。
私?私はどんなドレスでも着こなすことが可能なの。それではごめんあそばせ。
クァイルも来るのねぇ。なんだか一気に疲れが増したわ。
まぁでもいいわ!パラリ家に王子がいるって事がわかったし!あとは・・・あぁそうよ!
お姉様に殿方をとパーティに行くんだったわ!仕方がないわ。私は涙を飲んで今回は引きましょう。
痛い!豆が!豆が!
セバスチャン!何するのよってあんたどっかに消えたんじゃなかったの!?
鬼は外?うるさいわ!
何よ!?パラリ家の王子はやめておいた方がいい?ジェフよりはマシよ!痛い!
あんたには何も言う権利なんてないわ!あっちへ消えなさい!私はこれからドレスを見に行くの!
さっきも言ってた?あんた本当にうるさいわよ!