時間制限
目の前におかれているアナログ時計には、あと何分なのかがはっきりと示されている。
何の時間なのかは、明白だ。
私の目の前には、筒に入った爆弾が3本、それにつながっている時計だ。
どうしてここにいるのか、私には考える暇がない。
ただ、目の前の爆弾をどうにかしなければならないと言う話だ。
手足を縛られてはいないようだから、問題はない。
部屋は明るいが、電燈がある様子はない。
ただ、窓もドアもない。
目の前には、ニッパとはさみが置いてある。
時間は刻一刻と減っていく。
どうやら、私が爆破処理をする必要があるようだ。
意を決した私は、ニッパとはさみを手に取り、爆弾に近寄った。
構造は単純だ。
それぞれの筒から伸びているケーブルは、直接時計につながっている。
時計は分針と時針に銀色をしたアルミ箔が巻かれていて、どうやらそれらが接触したら爆発する仕組みのようだ。
携帯はないから、遠隔で起爆することはない。
また、それ以外にケーブルは見えないから、純粋な時限爆弾のようだ。
だったら簡単だ。
私は簡単にニッパで筒と時計をつないでいるケーブルを切った。
「正解だ」
声が聞こえて、ドアができた。
「おめでとう、君は試験にクリアした」
何が何だか分からない。
「君は試験にクリアした。こっちにおいで」
いわれるがままに、ドアから外へ出る。
外は何かの研究所のような、殺風景な白い壁が続いている。
「これで、実験は成功だ」
「実験?」
私は聞き返す。
「君は、人造人間だ。我が国では、Z計画に基づいて、優秀な兵士、恐れず、勇敢で、忠実な兵士を人工的に作ることにした。それが、君たちだ」
人造人間と言われても、ピンとこない。
「君たちは、生涯にわたって衣食住が確実に保証されている。一方で、兵士や士官として、国家に尽くすと言う義務もある。教育はこれからだけどね」
そう言われて、私は部屋にいれられた。
「ここで待っておきなさい。後で迎えをよこそう」
そう言われたところには、何人かいた。
これから、私はどうなるのか。
その心配だけがずっと心の中を渦巻いていた。