嬉しい誤算とピンチな誤算
大変遅くなりました、すとむみずみです。
それでは、あとがきでお会いしましょう。
理由はなんだったっけ。
「暇そうだから」だったっけ。いや、とてつもない量の宿題を出しといてさすがにそれはない。
「仲が良さそうだから」だったっけ。やば、ちょっと……嬉しいかも。
いきなりの頼み事の内容は、「依頼のあった老人ホームの清掃作業」つまりゴミ拾いのボランティア。
週三回だけど一ヶ月続けなきゃいけない。
「それじゃ、もう一回確認するぞ」
先生の言葉に、あたしと陽樹くんは手渡されたプリントに視線を落とす。
「毎週月、木、土曜日に清掃作業がある。それぞれ都合がある場合、必ず連絡し合うように。俺にも伝えてくれ」
先生からしてみれば、何気ない、かつ当然の話。
「ん? 花篭も本宮も、ケータイ持ってるだろ?」
でも。でも! 陽樹くんと連絡先を交換するなんて、考えてなかった。そして先生グッジョブ!! 今までで一番尊敬してます。
「あ……本宮くん、あとで連絡先を」
「おう、あとで交換しよう」
やった! これでたくさんお話できる。
「花篭とは、それ以外にも言っときたいことあるし」
――え?
「あ、いや……なんでもない」
なんだか、不思議な気持ち――
「……おい、花篭? 聞いてるか?」
「あっ、先生、聞いてます聞いてます」
先生、お話が頭に入りません! 助けてください、お願いします!
その日の夜は、やっぱり当たり前にやって来た。
いつもと違うのは、ケータイに陽樹くんのアドレスと電話番号が入ってること。
先生との話が終わったあと、さりげなく交換した連絡先。
――そういえば、陽樹くんは「話したいことがある」って言ってたけど。
このままじゃ、気になって眠れそうにない。まだ九時だし、起きてるよね。メール――してみようかな。
多分考えるより先に、指先が勝手に動いていた。
メールボックスを開き、件名には「テストメール」と書く。うん、これなら自然だよね。
『テストメールです。
ちゃんと届いてるかな?』
何回か迷ったあと、送信に対応するボタンを押す。
――返事は、少し遅かった。
『うん、届いてる^^
そいやさ、登録名「心葉」で登録していい?(笑)』
え? コノハデトウロクシテイイ?
混乱して頭が真っ白、いや真っ黒? 真っ青? になる。よくわかんないや。
『よかった。
うん、いいよb
じゃ、こっちは「陽樹」で登録しとくね(笑)』
『よろしく^^
そうそう、先生から電話あったんだ。
えと、急に明日作業するらしいけど……大丈夫?』
どうしよう! このままじゃ恥ずかしくて顔も合わせられない!
どんだけ時間かかってんだよっつーね。
ゴホンゴホン。
さてさて、ここまで読んでいただきありがとうございました。お楽しみいただけたなら幸いです。