感想戦
先輩とのデートを終えた私はベッドの上でくつろいでいた。
今日の出来事を思い出すと、ついニヤニヤしてしまう。セッティングしてくれた朱莉には感謝しかない。
「えへへー、なんかいっぱい褒められた気がする」
先輩はそんなに人を褒めるタイプの人じゃないし、この先生という立場は役得かもしれない。
次は先輩とどんなことしようかなーなんて考えていると電話がかかってきた。
「もしもーし!」
「おお、テンション高いね花音ちゃん」
電話をかけてきたのは朱莉だった。きっと今日のデートの事を聞きたいのだろう。
「今日は先輩とのデートだったからね!」
「お兄ちゃんとのデートはどうだったー?」
「楽しかったよー」
「だろうね。声を聞いてたらすぐにわかったよ」
「今の私ってそんなに分かりやすい?」
電話越しに声を聞いただけで浮かれてるとバレるのは少し恥ずかしい。
「で! どんな感じだったの?」
「どうって…別に普通だよ」
「アタシがこの舞台をセッティングしたんだから、協力者の私には教えてくれてもいいと思うんだけとなー」
「うぅ…分かったよ」
1番の協力者である朱莉にそう言われると私も話すしか無くなる。
なんたって彼女は先輩の妹なわけだから、この先も手伝ってもらう必要があるのだ。
なので私は今日の感想や出来事を彼女に話した。
「なるほどー。結構攻めたね花音ちゃん」
「思い出したら恥ずかしいよー」
さっきまで先輩と一緒にいて、手を繋いでいたのを思い出すと顔が熱くなってきた。
「お兄ちゃんはどんな感じだったの?」
朱莉に聞かれて、先輩がどんな様子だったのか思い出してみる。
「分かんない」
「またまたー」
「だって…わ、私も恥ずかしくてそれどころじゃ無かったし…」
「ああー、なんとなく想像出来る。花音ちゃんってモテるけど恋人がいたこと無いからね」
「な! それは朱莉もじゃん!」
「アタシはお兄ちゃんがいるから歳の近い男との生活に慣れてるもん」
「兄弟はノーカウントでしょ!」
「そんなことないもん。それで、次はどうするの花音ちゃん?」
「え、次か…」
「お兄ちゃんは基本的に家に引きこもってアニメ見たり漫画読んでるだけだから、いつでも予定は空いてるよ」
「先輩がそういう生活をしてるのは知ってたけど、改めて聞くとなんというか自堕落だね」
「そうそう。だから花音ちゃんが外に連れてってあげてよ」
「うん、頑張ってみるよ」
「それでさ、次のデートにオススメの場所があるんだけどさー」
オススメの場所?
朱莉のオススメの場所ってどこだろ?
「この前2人で話してた場所があるじゃん!」
「2人で?」
全然思い出せない…
どこだっけ?
「先週の火曜日にカラオケ行ったじゃん。その帰りに見つけた場所」
「先週の火曜日……あ!」
「思い出した?」
「ちょっと待って朱莉。それはハードルが高くない?」
「えー、今日の大胆な花音ちゃんはどこにいったの?」
「そ、それは…」
「それにお兄ちゃんに意識させるチャンスだよ!」
「それはそうかも」
「じゃあ決まりだね!」