私が降臨する
私の名前は、ベルモント•フォン•イングラム。勿論私の真名、つまりは、天が授けてくれた本当の名ではない。
ベルモント以下略、という名は、あくまで偽名。世の中を上手く渡るための偽物の、仮の姿でしかない。
まあ、世間での私は、ベルモントで通っているがな。
さて、今回は特別に、君達には、私の真名を教えてあげよう。
私の真名それは、牧太一である。
読み方は、まきたいちだ。
もしものためのルビも忘れない、さすが私、少しの配慮も欠かさないその姿、天晴れである。
さて、そんな私だが今、非常にまずいことになっている。私は、知らない天井で目覚めていた。
何が起きているか混乱しているだろう。安心しろ。それは、私も同じことだ。
状況を整理する為に少し時間を巻き戻し、どんなことが起きたか共に見てゆくこととしよう。
私、ベ…ベルー……まあいい。
我が学舎である野坂高校から下校中、私は、いつも通りだった。
通り慣れたホームまでの道を一人孤独に往く。共に、同じ道を歩む者は、おらず常に一人であった。
平たく言えばボッチだが、良くいえば、我が道を往く私は、他と隔絶した存在であり理解することの出来ない上位者である。
故に誰も近づくことが出来ないのだろう。
そんなこんなで一人で学校を出て、一人で家まで歩いていた。
交差点で信号待ちをしていた。
ふん、信号機め。私が本気を出せばこの場で止まる必要など無いと言うのに。
まあ、弱者の作ったルールだが、従おう。
本来ならば車など片手で止められるが、私は、上位者、強者が心得なければならない最後のブレーキ、それがルールだ。
とまあそう言う事由で信号機の機嫌が青くなるのを待っているとき、事は起きた。
スマホとか言う石板を操作していると、流線形のフォルムの漆黒の黒馬が、私に向かって突っ込んで来たのだ。フッ、愚かなものだな。とも思ったが、避ける事はしなかった。
できなかったの方が正しい。何故なら、私は尻もちを付いてへたり込んでいたからだ。
いくら強がっても、自分の本性は騙しようがない。
避ける事もできず、悲鳴も上げれずに自分の最後を感じていた。
時間の流れが遅く感じる。訳もなく、一瞬で僕の意識は消えた。痛みも恐怖も感じれず、最後の瞬間は、ただただ現実を受け入れられなかった。
そして目が覚めると、そこは見知らぬ天井だった。
木目の素朴な素材の天井と、ゴワゴワした布団の感触は、私の知っているものではなかった。
「ん?なんだこれ。ゴワゴワしてて気持ち悪い…」
「ああ、起きたか。お前ずっとうなされてたぞ。悪夢でも見たのか?」
知っている声がした。この声は、父のものだ。
うん、自分の頭がおかしくなったのかとも思ったが、父の声が分かるのだからそうではないらしい。
ならばこれは夢か。なら、夢から醒めなければな。
横になったまま、利き手で握り拳を作る。今なら岩をも砕ける気がする。
硬く握ったその拳を、自分の頬に目掛けて振るう。
これで現実に強制送還だ。
「いっってぇぇぇぇえ!!!」
拳が突き刺さった頬には、強烈な痛みが走った。
という事は、ここが現実?
最後まで読んでいただきありがとうございます!!!
ここまでスクロールしたら読んだって事ですよね?下まで来たんですもんね?
いやー、これで僕も人気になっちゃったらどうしようかなー友達に自慢しちゃおうかなー。
そういや友達居なかった。