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内戦

2027年

日本の海上戦力は大きく強化された


まず魔法の導入による造船能力の大幅な向上によって、最大で1年早く就役が前倒しとなった艦もある

現在は第1護衛艦隊群から第4護衛艦隊群に加え、旧米艦隊(第17機動護衛隊)の第5護衛艦隊群、そして新たに第6護衛艦隊群が設立された。


新しく作られた第6護衛艦隊群には新型FFM(もがみ型護衛艦能力向上型)が配備された。

もがみ型護衛艦と同じ川の名前が充てられた

しなの、きよかわ、とね、せんだい、あしだの5隻だ。

そして第6護衛艦隊群には戦後初の本格的な空母 DCVあかぎが2028年に就役する。

また、艦隊防空艦としてあきづき型護衛艦の能力向上型のはるづき、なつづき型護衛艦が2隻の合計8隻だ


海上戦力も配置換えが行われ、ロカタリ共和国に第1護衛艦隊群、オーベルゲン王国に第3護衛艦隊群、アシニア王国に第4護衛艦隊群。そして佐世保は変わらず第2護衛艦隊群、横須賀には第5護衛艦隊群と第6護衛艦隊群が配備される


ちなみに同盟国が保有する艦艇数は以下の通りだ(Mはモンキータイプ)

もがみ型護衛艦のモンキータイプは1型フリゲート艦と呼ぶ

ロカタリ共和国・・・もがみ型M4隻、旧あさぎり型護衛艦3隻

アシニア王国・・・もがみ型M6隻

オーベルゲン王国・・・もがみ型M2隻


勿論、その他艦艇も保有しているが割愛する


日本の軍事費負担軽減策によってもがみ型のモンキータイプの売却と退役が決定していたあさぎり型護衛艦3隻が供与されている



日本政府はこれで何とかなる・・・と安心していたのも束の間

衛星写真に1940年代で言う巡洋艦、戦艦相当の艦船が数隻停泊しているのを確認したのだ


国会では野党が「戦艦を作るべきでは?」と発言したのに対し、塩屋防衛大臣は「戦艦大和がどうなったか知っているか?航空優勢やミサイルの時代に戦艦を作るのは現実的ではない」と反論し、現在建造中のあかぎや護衛艦いずも、護衛艦ひゅうがなどで十分に対応できると説明した


それより最近問題視されているのが防衛費の増加による財政圧迫である


最近は好景気によって税収も上がり、出生率も増え、人口が増加傾向にあるのだがそれでも防衛費の増加は財政圧迫を招いており、国会でも最近はかなり自衛隊に対して穏便になった日本労働党も「流石にやりすぎ」と黒田内閣を批判した


航空戦力はロカタリ共和国にP-1哨戒機の爆撃機型B-1爆撃機が20機とF-15JXが35機、新型輸送機のC-3が4機、ロカベニクスの航空基地にはF-2Cが20機

日本本土にもB-1爆撃機が30機とC-3が10機

とB-1爆撃機は明らかに過剰戦力となっている



いくら74式戦車H型や24式装輪装甲戦闘車の輸出などで稼いでも、それで誤魔化すことはできない


また陸自も水陸機動団がもう1部隊増やされ、師団も1師団増えた



マスコミも黒田総理の軍拡方針を批判し始める


与党の国民党内でも防衛予算を削って経済に投資するべきだと声が上がり、金食い虫となっていた第5護衛艦隊群と一部護衛隊を予備艦隊として運用を中止し、コストを削減。



「ちっ、別に国が破産するわけでもないのにいい加減なこと言いやがって!」

「黒田さん、落ち着いてください。防衛省の見込みじゃこれ以上拡大せずともデンベル中央国との戦争には勝てますから!」

周りの者が機嫌が悪く、机にあたる黒田総理を落ち着かせる


「あーぁ、宝の持ち腐れねぇ・・・どっかの戦争に介入できねぇかな?」

「やめてくださいよ。縁起悪い」




2027年3月14日

ロカタリ共和国沖

海上保安庁巡視船ちとせ


巡視船ちとせはロカタリ共和国に派遣されてから海賊対処を任務として今日も活動を行っていた


「船長、あれ」

「あん?」


船員が見つけたのは大戦時の戦艦に酷似した船である

「国旗からデンベル中央国か?」

「えぇ、デンベル中央国です。魔導通信で呼びかけますか?」

「あぁ、頼む。ここは一応公海だから何もできないが、進路があれだからな」


デンベル中央国の旗を掲げる戦艦らしき艦の進路にはロカタリ共和国がある



デンベル中央国を出港した戦艦オーギリは試験航海と日本への圧力を込めてロカタリ共和国沖へと向かった。


戦艦の設計者であるナオはデンベル中央国では珍しい女性の研究者である


38.5センチ2連装砲を前2門、後ろ1門に12センチ単装砲を副砲として左右に4門を搭載している


黒煙をモクモク吐くその姿はデンベル中央国の新たな時代を象徴しているようであった


艦橋で1連の試験を行っていると、魔導通信機が反応した


もしかして本国で何かがあったのかと艦橋が静まり返る


艦長が魔導通信機に手を伸ばすと、それは予想外の相手だった。

我々の仮想敵国ニホンからの魔導通信だった


ニホンからの通信は艦長によって即座にスピーカーモードになる


『こちらは日本国海上保安庁巡視船ちとせである。貴艦の航路を知りたい』

艦長が『こちらはデンベル中央国海軍、戦艦オーギリだ。貴艦の質問には答えられない』

『こちらちとせ。了解した。ロカタリ共和国に近すぎないように注意して航行せよ。以上、貴艦の安全を祈る』


何事も無くて艦橋一同、ほっとする


「何もなくてよかったですね」

しかし艦長の顔は明るくない

「奴らはどこから我々を見ているのだ?」

そうつぶやくと、再び艦橋の空気が凍り付く


「だが、任務を中止させるわけには行かん。できるだけ挑発行為は避けろ」

「はっ!」


ナオはいつ攻撃を受けるかわからない恐怖に怯えていた



「船長、戦艦オーギリはそのまま進路をまっすぐ進んでいきます」

「自衛隊に連絡、直接横についてけん制する」


報告を受け、巡視船きそが出港する


巡視船ちとせが20mm機関砲のみなのに対して巡視船きそは20mm機関砲のほかに40mm機関砲も搭載している。

だが、それも装甲がある戦艦の前では無力なのだが・・・




暫くして、フル加速した巡視船ちとせが戦艦オーギリに追いつく


左舷側に大体100mぐらい間隔をあけて並走する


「船長、ロカタリ共和国の領海まであと21海里(約40㎞)です」

「分かった。そろそろ電光掲示板をつけて警告するぞ」


ちょうど同じころに進路上で待機していた巡視船きそと合流する


同じころ、P-1哨戒機が海域警戒のため離陸する


第一護衛艦隊群の護衛艦いかづちも戦艦オーギリへと直行する



「頼む、引き返してくれ」


一方で戦艦オーギリの艦橋はかなり大騒ぎとなっていた


気付けば左右を日本国の船に挟まれ、撤退しろと警告してくるのだ。

部下は艦長に「引きましょう」と訴えるが艦長は拒否した


(ここで引き返せば、本国で処罰される)


「安心しろ、彼らの船を見てみろ。あんなちっぽけな砲じゃこの艦に損害を与えることはできない。今頃彼らは悔しがっているだろう」


一方で巡視船の乗組員は悔しがっているより、これ以上進まないでくれ!という思いが強かった


魔導通信で呼びかけるが反応しない


「残り11海里です!」

「了解。領海内に侵入したら警告灯、サイレンならして放水銃だ」


彼らから10キロ離れた場所には護衛艦いかづちも到着しいつでも攻撃できる状態となった


戦艦オーギリは領海に侵入する直前に旋回し、デンベル中央国へと戻っていった。


この事件は隠蔽されることなく、全世界に発信され、日本国内でも報道された。


いや、報道させたが正しい

黒田総理が軍縮世論を動かそうとしたが、日本人の悪い癖が出てしまったのか距離が遠いので、対岸の火事ぐらいと思い込んでしまったようだ。



一方で、日本は探知能力があるが、攻撃力は低いとデンベル中央国海軍は報告した

これ以降、ロカタリ共和国沖での活動が活発化していくことになる



一方で魔王大陸

魔王らの定期報告会が開かれ、リスカラは日本との諸々を報告していた。

そしてイルアスの番になると


「あなたには失望したわ」


デーモンの体が氷によって串刺しにされ、椅子に刺しつけられた後、デーモン城に大規模な氷魔法を展開する

「んン⁉」

デーモンはびっくりして声を出す

そしてようやく状況を理解したのか

「イルアス・・・モースに何か影響を受けたな!」

デーモンが体に刺さった氷の矢をすべて破壊して立ち上がる


オーベルはやばいと思ってその場から逃亡し、ハウベは助太刀する。とデーモンの援護に向かおうとした

デーモンはその大きな体を動かしてイルアスに渾身の一撃を加え、その後ろからハウベが援護する形で彼女の体を押さえつける


イルアスはデーモンの攻撃によってゲホゲホとせき込み苦しそうにしていた

デーモンがイルアスの顔を持ち「お前には失望した」

するとイルアスがニヤリとした後「こっちこそ」


ハウベは嫌な予感がして彼女を放す

その瞬間、デーモンの体が凍り付く


そして扉からイルアスの部下が突入してくる


「何入ってきてんの!」

リスカラがイルアスの部下を相手取る


「リスカラ!撤退するぞ」

「でも!」

「数が多すぎだ!」


その時であった。

ハウベの後ろからイルアスが強襲し、ハウベ対イルアスとその部下と言う構図が出来上がる


「ニホンに知らせろ!増援を」

リスカラが去ると同時にイルアスが笑う


「ふっ、あなたはニホンをよく知らないようだね」

「なんだと?」

「ニホンは自分らに害が無いと介入はしてこない。私はニホンに何かをしたわけではないし、これから何かをするわけではない。つまりニホンは介入してこない」

「だが、モースの時は介入したではないか」

「あれはニホンが攻撃されたからよ。デーモンが色々と交渉したってのもあるけどね。あー、よかったわ。リスカラが居なくなってこれで優位に戦える」

「だがまた戻ってくるだろう」

「あなたは馬鹿みたいね。壊せばすぐには戻れないわ」



魔王大陸でまた戦争が起こったと聞いた政府は安全保障会議を開いた

黒田総理は「自衛隊の派兵を行おう」と提案する

「しかし派兵による我が国へのメリットは無いのでは?」

これに別の官僚が「いや、リスカラ国含め日本に対し融和的な彼らを支援した方がいいだろう」

「パイプがリスカラにしかないのが問題だ」


「デンベル中央国で手一杯なのに敵を増やしてどうする」と言う話もでる




国会でも議論されたが、自衛隊の派兵には至らなかった



魔王大陸ではオーベルとリスカラ、そしてイルアスの3か国のみとなった。

ハウベは行方不明。デーモンは死亡と言う扱いだ。


ハウベ領は既にイルアスの支配下に置かれており、魔王大陸がイルアスの手に渡るのも時間の問題となっていた。

しかし魔王大陸を統一するにあたって邪魔な存在となっているリスカラ。

現在日本は介入しない姿勢を見せているが、リスカラを刺激すれば介入してくるかもしれない

そんな地雷地域である


一方で政府は支援の名目で戦闘機が離着陸できる1200m級滑走路の建設に入っていた


防衛省情報特務隊からの情報によればイルアスの目標は魔王大陸の統一と報告がされているからだ


F-2戦闘機やF-35B改戦闘機などの離着陸を想定して作られている



裏で手を回していつでも派兵できるようにするぞ!

って考えていた時になんと黒田総理の汚職が発覚したのである

防衛装備品を供給する企業から賄賂をもらっていたことが分かり、黒田総理大臣、塩屋防衛大臣のほかに5人の官僚が摘発された


しかし黒田総理は不起訴だろと余裕ぶっていたのだがまさかの起訴


総理含む7人は収賄罪で起訴され、与党内で干され、総辞職するべきと言う声が上がったため、内閣が総辞職した。


国民党の支持率は急激に下がり衆議院選では民主党が政権を取る


新たに総理大臣となった新田氏は2025年に作られた黒田計画と呼ばれる黒田元総理が製作した計画書を持て絶句する



そこには就任当初掲げていた世界の警察計画とほぼ同じ内容が記されており、半分以上は実行されていたものだった。


・円の基礎通貨化 ・世界中の天然資源の利権を確保 ・軍事大国化 ・魔王大陸への進出 ・防衛費のGDP比5パーセント


以上は既に実行されており、他にもアシニア王国経済の完全支配、テール海峡の独占なんかも計画されていたようだ。


このことが世間に公表され、国民党は野心的と叩かれてしまい、支持率が労働党に追い抜かされてしまった。



ちなみに自衛隊の戦闘記録などはすべてJDIによって消されている



新田総理は自衛隊の支出を減らそうとしたが、既に手遅れであり、実行されることは無かった



デンベル中央国の北の方にオーストラリアより少し小さい大陸がある


そこにはネハン連邦共和国と言う国がある


アシニア王国やデンベル中央国と同じ人族の国だ。


だがこの2か国と違うのが、魔法ではなく技術で進化したことと、鎖国していることだ


理由は? 争いを避け、技術の進歩に重視するため


現在は日本に近いようで近くない技術を保有し、人工衛星なんかも保有している


しかし彼らは外の世界なんて興味もないので衛星写真なんか取ろうとは思わなかった。


しかしここ最近、ネハン連邦共和国の戦艦が正体不明の通信を傍受したと発表


遂に宇宙人か!と国内は興奮に包まれた。


しかし政府はこれを外の世界の技術が進歩したと捉え、鎖国を辞めるためにデンベル中央国へ潜入調査員を送ることになる








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