テール王国訪問
世界連盟魔族対策条約代表国会議
「ニホンとの国交締結は済んだのか?」
「えぇ、しかし魔族対策条約の締結には至りませんでした」
「ニホン国ですが我々より高度な文明を持っているとのことです。しかし、魔法の存在がなく、また、あちらの公用語はテール語と同じでこの世界の共通語は通じないそうです。それとニホン国の憲法によると戦争ができないらしく、軍に近い自衛組織を持っているとのことです」
「自衛組織の規模はわかったのか?」
「不明ですが、今度の10日、テール港に自衛組織の海軍船が外交官を乗せて入港するそうです」
「それについては世界連盟軍の調査官を派遣する。引き続き調査を継続しろ」
リスカラは報告に頭を悩ませる。
既に島には人族の支配下にあり、我々の攻撃が通じず一瞬で破壊されてしまったのだという
リスカラは海軍を出動させ、テール海の制海権を取り、島に上陸するプランを立てた。
「これなら大丈夫でしょ」
テール海上にある島を占領できればそこから人間の大陸へと進出できる。一方でその島を人間に取られてしまっては我々の国の安全が脅かされてしまう
9月10日
貿易品の選別や世界連盟加盟の手続きのために巡視船あきつしまに乗船。護衛としてイージスシステム搭載艦である護衛艦きりしまが一緒に航行する。
テール港に入港すると、木造船の中に巨大な鉄の船が現れたといって港は大騒ぎであった。
特に護衛艦きりしまはレーダーが目のように見えるおかげか、魔物と呼ばれるようになった。
世界連盟軍とテール軍の幹部は2隻をみて開いた口がふさがらなかった。
外交の場に着くとテール軍の幹部が質問した。
「貴国にはあのような艦艇が何隻あるのかね?」
「我々は白い船を巡視船、灰色の方を護衛艦と呼んでいます。巡視船を保有しているのは海の警察である海上保安庁で、護衛艦を所有しているのが自衛組織である海上自衛隊です。現在、わが国は55隻の護衛艦を保有しており、その種類は多岐にわたります」
「なんと、あの大きさの船が55隻もあるのか!」
「えぇ、あれより大きい艦もございます」
「それでは本日の本題に入らせてもらいます」
「はい。我々が貿易品として求めるのは食料です。それと、燃える水のようなものや、鉄鉱石などがあれば輸入したいと考えております」
「燃える水ですか?」
世界連盟の担当者が反応する
「それならばテール王国の隣国であるアシニア王国にて湧き出しておりますが」
「我々テール王国がアシニア王国との国交締結を援助しましょう」
「ありがたいです」
「それでニホンからは何を輸出してもらえるのでしょうか?」
「こちらのリストの中にあるものが現在輸出できるものとなっております」
リストの中にはイチゴや桃などの果物や衣服、塩、砂糖、しょうゆであった。
特に日本政府は塩や砂糖などの調味料に目を付けた。
砂糖は特定の地域でしか取れず、塩は生産量が少ないためどちらも高価であったが、日本に小麦を輸出するだけでそのような高価なものが輸入されるのはテール王国にとってメリットしかなかった。
テール王国は即決し、貿易協定に同意した。
11日にはアシニア王国の外交官がテール入りし、国交を締結、同じ条件で貿易協定に同意した。
ちなみに、アシニア王国はテール王国が属する大陸の中で一番の大国である。
アシニア王国の国交締結によって次々と大陸の国々が訪問し、国交を締結していった。
そんな中
9月14日
リスカラが派遣した海軍は日本海(テール海北部)に展開していた。その数約30隻
既に自衛隊は船団を確認しており第3護衛艦隊群を派遣していた。
午前11時に船団と接触した。
死を覚悟で巡視船でわを派遣し、立ち去るように警告した。
「へへ、あれが俺らの仲間を殺したやつか」
「俺たちは逃げるような腰抜けじゃねぇべ」
船団は巡視船へ攻撃を始めた。
巡視船でわは直ぐに射程外に逃げ、40mm機関砲による反撃を開始した。
機関砲の攻撃を受けた船は大破し、沈んでいく。
「やばいぞ、もうあっという間に3隻が沈んでやす」
慌ただしくなる船団に恐怖が訪れる
第3護衛艦隊群が姿を現したのだ。
彼らは護衛艦ひゅうがの大きさに恐怖し、撤退を始める
勇敢な司令官は攻撃を命令するもほとんどの船が撤退していく。
司令官を乗せた船団の旗艦は護衛艦隊に一矢報いてやろうと突撃するも、護衛艦による艦砲射撃にてあっという間に木っ端みじんにされた。
流石にこの出来事は隠せまいと日本政府もこの事件を公表した。
また、世界連盟にもこの件を伝え、今後の行動について意見をもらおうとした。
世界連盟会議
世界連盟の本部はまた別の大陸にあるデンベル中央国に置かれている。
日本政府の外交官はデンベル中央国とも国交を締結し、世界連盟に担当官を派遣した。
日本国は世界連盟にて加盟の挨拶を行う。そして14日の件について報告した。
すると会場はざわめき、議長が「静まれ」と言うまでざわめきは続いた。
彼らにとって衝撃だったのが犠牲を出さずに魔王軍の船団を退けたことである。
世界連盟の国々は「この国ならば魔王軍に勝てるのでは?」と希望を持たせた。
しかし日本国は続けてこう言った。
「我々は魔王の国から攻撃を受けない限り魔王の国を攻撃することはない」と述べたのだ。
そこで怒ったのがデンベル中央国含む4大国家である。
4大国家とはデンベル、アシニア、オーベルゲン、ロカタリの4か国である。
デンベルの担当官が口を開く「貴国は魔王の国に対して何とも思わないのか?」
「一部戦闘になりましたが、わが国は魔王の国との国交締結を望んでおります」
「それはこの星の全人類を敵に回すことになるぞ!」
「我々は戦争を望みません。もし我が国に危害を加えるのであれば、たとえ同族の国であっても容赦はしません」
日本の担当官はそう言って一旦会議は終了したのである。
ある会議室
ここには4大国家の担当官が集まっていた
アシニア王国の担当官が口を開く「ニホン国の軍艦を見ましたが異質な形をしていた。しかも帆を使わずに航行するのだ。油断してはならない」
ロカタリ教国の者が言う「私はニホンの意見を尊重すべきだと思います。魔王軍が我々を攻めるのならばニホンを制圧してからでしょう。そうすれば共闘することができる」
「ニホンが寝返ることはないのか?」
「ニホンには憲法で戦争ができないようになっているので寝返ることはないと思いますし、我々を攻撃しないと宣言していますから問題ないでしょう」
「しかしな・・・」
4大国家の中では日本側のアシニア、ロカタリと反対派?のデンベル、オーベルゲンに分かれた。
魔王リスカラは船団が撤退し逃げて帰ってきたという事に大激怒する
「なんでなのよ!」
「ヒッ!お許しください魔王様。突如海上に要塞が現れたんです!向かっていった司令官も戦死しました」
「もういい!私が直接行く!」
魔王リスカラは船団を率いて再び向かう。
「魔王様。遭遇したのはここらへんでございます」
「よろしい」
リスカラは浮遊を開始する
護衛艦あたご
ピピピピピピ・・・
艦内にアラームが響き渡る
「艦長、未確認飛行物体を検知」
「まだ攻撃はするな。心の準備をしておけ」
リスカラは空中を浮遊しそれらしきものを探す
前に進んでいくと
「ふふっ、あれか」
リスカラの人差し指に真っ黒な球体が生成される
そしてそれを護衛艦ひゅうがに向かってはじく
ビービービー
「飛行物体から何かが飛んできます!」
「総員戦闘準備!」
護衛艦あたご含むすべての戦闘艦が反応する。
「主砲発射。CIWSは射程内に入って発射を許可する」
護衛艦隊に弾幕が形成される
「なっ!」
リスカラは突如目の前に形成された弾幕に驚く。
そして発射した球体は護衛艦に到達する前に爆散してしまう
「護衛艦あたご、対空目標をロック、SM-2発射」
「SM-2発射!」
VLSからSM-2ミサイルが発射される
「そんな攻撃が当たるわけないでしょ」
リスカラは余裕の表情でそれを避けようとする
「なっ、ついてくる!」
ミサイルはリスカラについてくるのだ。直ぐに魔力を形成し、追撃する。
ミサイルは魔力球とぶつかりその場で爆散する