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転移した日本国の隣国は魔王領でした  作者: 洗濯一郎
第一章 人族との友好
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防衛出動


11月17日午前9時 銚子沖

第2護衛隊群と第11護衛隊が領海に向かっている船団を捉えていた



「ニホンの軍船は奇抜な形をしていますね」

「はは、そうだな。ここでの面倒ごとは避けたい。無視して上陸するぞ」

「了解です。ベイリス様」



午前9時半より護衛艦隊群は威嚇射撃と共通語での呼びかけを開始


「奴らは当てるつもりはないようだな!」

「ベイリス様、当てるつもりがないのではなく当たらないのですよ」

「そうだな、所詮見かけだけのものだろう」



「やばいぞ、早く攻撃するんだ」

「CIC、やめろ。攻撃はまだだ。奴らが武力攻撃に該当する行為を確認しないと攻撃できない」

「でも・・・」

「よく見とけ。上陸した瞬間、武装していたら直ぐに攻撃しろ」

「分かりました」




午前10時。ベイリス隊が銚子市に上陸した

「お前らー行くぞ!」

「うおおおおお!」


兵士らの咆哮と共に船から兵士がどんどん上陸していく


「うわぁ!」

「ぎゃっ!」


付近にいた民間人が次々と殺されていく


「逃げろお!」

住民たちは車を走らせ逃げていく



「てーっ!」


ドン、ドン、ドン


護衛艦隊が武力攻撃を確認し、一瞬で十数隻を沈めていく

「おい、CIC!CIWS使え!」

「了解」


護衛艦に搭載されている20mm高性能機関砲がどんどん放たれていく


「SH-60Jをはよ発艦させろ!」


護衛艦いせよりSH-60J 3機が発艦する


直ぐに銚子上空に移動し、74式機関銃(7.62mm)を撃ち始める


地上にいた兵士らは上空に響く爆音と乾いた音と共に倒れる仲間を見て恐怖を覚える


「ふん!あんなの我がさっさと始末してやる!」

ベイリスが足に力を入れ高くジャンプする


そしてジャンプした先にあったSH-60Jに思いっきりパンチを加える。

彼の手は燃えており火魔法がかかっているのが分かった。


攻撃を食らったSH-60Jは側面に大きな穴が開き、衝撃によって飛行が不安定化。

機長は飛行継続不可と判断し、ふらふらしながら銚子付近にあった学校の運動場に不時着した


銚子市が攻撃を受けていたころ

国会では防衛出動を発動するか議論が行われていた。


議論になっていたかは不明だが野党政党から「それは大げさだ」「戦争をする気か!」などと意見が飛び交い一向に議論は進まなかった。


そんな中入った銚子攻撃。

議長が議論を中断し、即座に採決に入った。


「緊急であるため、防衛出動措置に賛成である者は起立しろ」


満場一致で全員が起立した


即座に防衛出動が出され、千葉県東部だけでなく衛星で監視中のほかの船団が行く予想ルートである鹿児島県と北海道東部に避難指示が出された



航空自衛隊百里基地


基地内に警報が鳴り響く

「緊急出動!繰り返す、緊急出動!これは訓練ではない!」

隊員らが慌ただしく移動する

F-2が続々と離陸する

『諸君、防衛出動がたった今発令された。銚子市が敵軍による攻撃を受けている。海上自衛隊によると、どうやらヘリが飛行する高度まで飛びヘリを攻撃する人間がいるらしい。先にそいつを始末してから爆弾を投下してくれ。諸君らの健闘を祈る』


『HQ、民間人の避難は済んでいるのか?』

『それはこちらも把握していない。だが、ここで止めなければさらに人が死ぬ。覚悟を決めろ』




「うむ?なんだ?」


ベイリスが反応する

「上空にまたか。しかも先ほどの奴とは比べ物にならないほど高い」

ベイリスはダメ元でジャンプする。


『こちらブラボーワン、例の奴を視認。本当に人間だぜ』

『攻撃を許可する』


「機銃で行けるか?」


ピピッ!


「なっ、ロックオンできるだと⁉」

『FOX-2!』

AAM-3(90式空対空誘導弾 )を放つ


AAM-3は国産の近距離空対空ミサイルである


「あん?」

ベイリスは飛んできたミサイルを粉砕しようと火魔法で包んだこぶしを向ける。その火魔法で包まれたこぶしは戦闘機のエンジンに相当する熱さである

「なっ!」

ミサイルはこぶしとぶつかり合い爆発

「ぐっ!」

ベイリスの体に爆発により吹き飛んだミサイルの破片が直撃する


『ブラボーワンより、全機へ。例の人間はミサイルによるロックオンが可能だ!』


その後ほかの機体からもAAM-3を撃ち込まれる


『ガン発射!』

ミサイルで仕留めきれないならと20mmバルカン砲を発射する


「イデデデデデ!」

ベイリスは地に着くまで合計4発のミサイルとバルカン砲を食らい、所々切り傷ができたがそれでも無事であった。


第3飛行隊はその後上空を旋回するも例の人間が上がってこないため一旦帰投した




「総監、防衛省からの情報が更新され、岸良海岸付近に上陸する可能性が出てきました」

「了解、第43普通科連隊と第42即応機動連隊に出動要請」

「はっ、直ちに」

「西部方面戦車隊はどうなってる?」

「指宿、大崎に1中隊ずつ、本部管理中隊が南大隅に待機しておりますが」

「指宿にいる中隊は間に合わんだろう」

「えぇ、大崎と南大隅にいる中隊だけで何とかするしかないです」

「まぁ、大丈夫だろ」



防衛省は10式戦車が魔法に耐えれることから、もし有事が発生した際に速やかに防衛できるようにと訓練と称して予め西部方面戦車大隊を鹿児島県内の上陸予想地域に配備していた


午前10時半

「エネモさん、敵の船でしょうか?」

「あぁ、そうだろうね」

「ですが何故攻撃してこないのでしょうか?」

「分からない。撃っては来るがまだ被弾していないな」



エネモとネーマを追跡しているのは第4護衛艦隊群と第13護衛隊、そして海保船4隻だ


「全艦艇に告ぐ、あの船団が警告を無視し、領海内に侵入したら攻撃を開始せよ。既に防衛において武器の無制限使用は許可されているが、砲撃でしとめよ」


午前11時、約100隻のロカタリ教国船団は日本の領海に侵入。

本格的な攻撃を開始した。


広い海に響く乾いた音

その音が鳴るたびに船は一隻、また一隻と沈んでいく。



やっとの思いで上陸したときには30隻まで減っていた


「ネーマ、とにかく上陸しましょう」

「はい」


ネーマは反撃できずに沈んでいく味方を見ながら不安の表情を見せていた。

そして自分の魔法が届かない事に罪悪感を感じていた


「大丈夫よ、彼らは魔法を使えないし、上陸したら奴らの攻撃も届かない」


約2000人の兵士が安全な場所を求めて移動する


『87式偵察警戒車より第1戦車中隊へ、予想通り敵軍は森の中を突破中。作戦通り全軍が田園地帯に侵入してから攻撃』


10式戦車と96式装輪装甲車は迷彩柄な上に木の枝や葉っぱをたくさんつけ偽装しているため、ロカタリ兵らから見ればただの植物に見えてしまう



「皆の者!この川を突破すれば民家があるぞ!がんばれ!」

エネモは兵らを鼓舞する


森を抜けた兵らは目の前に見える建物を見て一目散にかけていった。

ゆっくりできる場所はあればそれでいい


使徒の2人も建物を見て力を振り絞る



しかし目の前に現れたのは巨大な緑の怪物


「魔物だ!」


タタタタタ・・・


という機関砲の音と共に兵士がどんどんと倒れていく


「障壁魔法展開! みんなここに逃げて!」

ネーマが張った障壁魔法に兵士がどんどんと逃げ込む


「くそっ、この魔物風情が!」


エネモは闇魔法を使い、10式戦車に攻撃を加える


エネモの攻撃は10式戦車に傷をつけた。しかし攻撃を受けた場所が10式戦車の正面であり一番装甲が厚い場所である。もしこれが装甲車や74式戦車などであれば搭乗員は全員死亡していたであろう


『機銃が効かない。恐らく魔法を使用しているAPFSDS弾(徹甲弾)を使用しろ』

『被弾した戦車は一旦下がれ』

『了解』



10式戦車の44口径120mm滑腔砲からAPFSDS弾が放たれる

爆音が周囲に木霊する


「ぐっ!」

ネーマが力む

障壁魔法に衝突したAPFSDS弾はエネルギーを失いその場に落ちる


その場にいた全員が喜ぶのも束の間

障壁魔法は2発目には耐えきれずそのまま貫通。ネーマやエネモにあたることはなかったが、後ろにいた兵士らの鉄の鎧を貫いた。


そして無慈悲なことに再び殺戮が開始される


「ネーマ!駄目だ逃げるよ」

「分かりました!」


使徒には非常用の魔道具が配布されており、それを取り出し魔力を込めることによって転移が可能で、今回はアシニア王国のロカタリ教国大使館に設定されている


「ぎゃあ!」

ネーマが足に被弾し、その場に倒れ込む


「ネーマ様を助けろー!」

周りの兵士らがネーマに駆けつけようとするがどんどん殺されていく


「ぐっ、この野郎!」


エネモが96式装輪装甲車に攻撃を加える。


被弾した96式装輪装甲車は沈黙。


『おい、1両やられたぞ!』

『あいつを徹底的にやれ!』


APFSDS弾がエネモの近くに着弾

「うわっ」

泥がエネモに飛び散る。


「すまないネーマ!」


魔道具は起動者しか転移できない


エネモとネーマはかなり離れている。このまま助けに行けばいつか自分も攻撃を食らってしまう

そもそもネーマが魔道具を起動できるかわからない


「クソっ!」


エネモは上空に浮かび広範囲に及ぶ闇魔法を使う


「ふふっ、闇の業火で燃えて死んでしまえばいい!」


その熱に10式戦車は耐えられたのだが96式装輪装甲車は危ない

『今すぐ後退!』




海上では殲滅を終えた海自の護衛艦が待機していた

「レーダーに反応あり!」

「敵の兵士か?」

『操舵室よりCICヘ、空中に浮かんでいるのは敵だ』


『こちらCIC了解』

「総員対空攻撃用意!」


護衛艦らの主砲は既に空中で浮かんでいるエネモを捉えていた。


「うちーかたー始め!」


主砲から次々と砲弾が発射される


ピュン!


エネモは自分の脇腹に何かが掠ったことに気が付いた。

「くっ、せっかく楽しんでいたのに・・・」

後ろを振り返るとそこには軍船が自分に攻撃を加えているわけだ

「うっ!」

そして激しい痛みを脇腹に感じた

「う、うう!」


脇腹の肉が抉れている


そして燃やしているはずの巨大な緑の魔物は離脱しており陸と海から攻撃を加えられることになった


「くそっ!なんとかネーマだけでも」


闇魔法が目隠しになっている今なら・・・と、砲弾を避けながらネーマの下へと向かう


しかしそこには足から血を流し目から涙を流しながら気絶したネーマの姿があった。

しばらく痛みに苦しんでいたのだろう。彼女の服は泥まみれになっていた


「くそっ、本当に済まない!」


いくら揺さぶっても意識が戻らない


(もうすぐ闇魔法が切れる・・・)


エネモは使徒2人がやられるよりはマシと考え、魔道具を使った。


苦渋の決断であった。




戦闘シーンを書くのが一番楽しい


2025年1月13日修正

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― 新着の感想 ―
日本って不思議な国だよね?被害が出ないと攻撃出来ない、誰か死んでから攻撃しろって、それを決めた奴等を前面に出して戦って欲しいはですね
 日本の戦車は74式が38トン。90式が50トン。10式が44トンなので、ヘリコプターでの輸送は不可能ですよ。戦車を輸送するとすれば、専用輸送トラックや輸送船もまたは列車しか有りません。  空輸は重…
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