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転移した日本国の隣国は魔王領でした  作者: 洗濯一郎
第一章 人族との友好
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オーベルゲン危機

今年最後の投稿です

「なんですかねあれは・・・」


ある隊員が空母らしきものから上がっていく竜のようなものを見つめながら言う

「人が乗ってますね」

双眼鏡を持った隊員がつぶやいた


「CIC、上空の様子は?」

「レーダーには20個ほど表示されています。速度はヘリコプターぐらいですかね」

「分かった。万が一のために撃墜準備を」



護衛艦いずも

護衛艦いずもに爆発音と衝撃が走る


「何があった⁉」

「被弾しました!上空の竜からの攻撃です!」


「近接防護火器機動!」

「全艦に告ぐ、空中の竜のみ攻撃を許可する。繰り返す・・・」


「再び衝撃がいずもを襲う」


「状況確認!」


「甲板に目立った損傷はありません!」

「撃ち落とせーっ!」


護衛艦の主砲とCIWSの発砲音が空に木霊する

音が鳴るたびにワイバーンが撃墜され海に落ちていく



その様子を見ていたワイバーン母艦の艦長と司令官はワイバーンがあっけなく落ちるのをただ見ていることしかできなかった。


「ほ、砲弾装填!」

全艦にそう指示する


「司令!輸送船団を追っていた艦艇があっという間に沈められ、撤退を開始したとのこと!」

「なんだと!」


「哨戒船団の司令より、撤退することをお勧めすると来ておりますが?」


「うぬぬぬ・・・」


司令官は歯を食いしばりながらも撤退を指示する





日本国とデンベル中央国は互いにこのことを発表することはなかった。

このことはのちにオーベルゲン危機と言われた



テール王国王城


ここで日本国とテール王国の官僚が話し合っていた。

それはテール王国における空港建設である


自衛隊・テール王国の合同で使用する飛行場となる。

拡張性がある空港ターミナルに加え、航空自衛隊用の格納庫も用意された。


また、日本人観光客の受け入れ態勢についても話し合いが行われ、治安維持の強化などを盛り込んだ協定も結ばれた。


テール空港から王都を結ぶ道路の建設とバスの運行もスタート

テール王国ではトラックや自動車の販売も始まり、大型の街道では既にアスファルト舗装がなされた道路が敷かれている。


3月8日

滑走路と航空自衛隊の格納庫の建設が完了し、テール王国の民間人を集めた航空祭が行われることが決まった。


飛来するのはF-2戦闘機とF-15J戦闘機である


露店がたくさん並び、ニホンの軍を一目見ようとたくさんの人が集まった。


そして轟音を伴ってやってきた戦闘機たち

そして着陸し、民衆の前に並んでいく。


普通の民衆らはそれを楽しんでいたが、テール王国からすれば恐怖でしかなかった。

ワイバーンより速く、機動性がある飛行体を持つ国。そんなものと戦争をすればワイバーンではかなうはずもなく、地上から落とす術もないだろう


ちなみに航空祭を終えた後の空自隊員らの感想は「やっと僕らにスポットライトが当たった」であった。


当然そのことを魔王軍が知らないはずもない

テール王国にも派遣していた諜報員が飛行機と言うものの存在と空港と言う存在を報告していた。


勿論直接言うわけではない


「ワイバーンより速く者を運べるものはないですかな?」

呟くようにリスカラの幹部が言う


それを聞いた職員は鉄道を提案する

「鉄道ならどうですかね?魔物が心配ですけど」

「鉄道?」

「はい。鉄のレールを使って車体を動かし、一度に大量の荷物を早く運べます。ワイバーンより速く運べるかはわかりませんが」

「どのようなものなのかみて見ないと分かりませんな」


「ではこちらをどうぞ」


職員が見せたのはコンテナを積んで進む貨物列車である

「ほぉ~」

「もし鉄道を敷きたいのであればお知らせください」



リスカラはそれを聞いて直ぐに敷くように命令した。

求めていたのとは違ったが、いいものを得ることができたとリスカラは喜んでいた。



リスカラの屋敷

「それではよろしくお願いします」

「えぇ、こちらこそ」

「鉄道を敷きたいとのことで」

「はい。このリスカラ領の港からデーモン領との国境線にある村まで敷きたいのです」


今回はリスカラも参加している


「それで鉄道を敷くことについてどのようなメリットがあるのかしら?」

「まず、輸送量。こちらは馬車で運ぶ量の何十倍も運ぶことができます。そして次にスピード。性能や方式によって差がありますが馬車とは比べ物にならないほど速いです」

「とても便利なものね」


「一方で懸念すべきことが何点かあります。まず、導入にあたって車両費用、保安装置費用、工事費用などコストが高く収益性が見込めないと意味がありません。もしこのルートに人の移動の需要があるならば更なる利益が見込めるでしょう。次に技術です。鉄道を動かすうえで大切なのは操縦技術と整備技術。どちらも船とは違い複雑で1年ほど勉強する必要があります」


「なるほど、分かった。それであなた方が提示するプランは?」

「はい、港のすぐ近くに貨物駅を設置、そしてそのすぐ先に旅客専用駅も設置し、そこから単線で途中に信号場を交えながら国境近くの村であるホッピまで向かいます。ホッピ村は場所を広くとれるので旅客と貨物の機能を合わせた巨大な駅となる予定です。また、鉄道は非電化方式で行こうと思います」


「ほう、どのくらいの費用かな?」


「それはですね・・・」

「うへっ!」


リスカラはその費用を聞いて驚く


「大丈夫です。費用の一部は政府が負担するほか、研修費用についても無償で大丈夫です。支払については分割払いで結構です。それとなるだけ費用を抑えるために車両は日本で使われていたものを使用します」


「それはよかった」


「では契約成立ですか?」

「えぇ、勿論よ」



この世界でリスカラ国に初めて鉄道が敷きかれることになった。



日本は転移後、一時的に経済活動がストップし不況へと陥っていたのだが、海外への輸出。そして海外の空港建設や鉄道敷設などによって政府だけでなく民間企業も収入を得ることができ不況から一転、好況へと変化したほか、経済成長率も上昇を続けていた。


魔法技術のおかげもあってからか、6月に空港ターミナルが完成。

航空機の乗り入れを開始した。


各旅行会社はこぞってテール王国ツアーを立ち上げた。


テール王国でも日本人歓迎ムードが始まり、日本人が羽振りがいいと言われるようになってからは道を歩くだけで「買っていかないか?」と呼び込みされるようになった。


また、接客態度やぼったくりなどを行うサイトはネットで拡散され日本人が来なくなったことで、日本人はぼったくりだったり接客態度が悪かったら来なくなるというのが広まったおかげでそのような店も少なくなっていった。


一方で日本人目当ての盗賊も発生した。


6月10日には日本人女性が襲われ一時行方不明になるなどしていたが、テール王国が本気で捜索してあと少しで奴隷として売られそうになっていたところを発見。関わっていた裏組織は全員逮捕、処刑される。

しかし、日本人を狙った犯罪が無くなることはなく、この件の後にも冒険者パーティーによる恐喝事件などが相次いで起こった。


そこでテール王国はいい解決方法はないかと相談


「そうですね、交番を街中に設置してみてはどうでしょう」

「交番?」

「交番とは地域のパトロールを行ったり地域の生活を支える活動をする場所です。地域と密接にかかわるためにある小規模警備拠点のようなものです。日本では交番を設置して犯罪抑止に取り組んでいます」

「なるほど、やってみます」



そしてテール王国は交番を日本人が多く来る地域に設置した。

すると日本人を狙った犯罪だけでなく、犯罪数自体が減少していった


実際にブラジルでは交番システムを取り入れ、成功している。

交番はテール王国でも大成功だったようで、徐々に交番の数が増えていったほか、日本の警察が現地指導として派遣されるようになった








よいお年を!

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