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「えぇー……」


 先日受けた害獣退治の依頼の完了報告に行くと、受付にいたリリーさんに良い笑顔で応接室に通された。

 リリーさんに呼ばれた時点で嫌な予感しかしなかったが、中にデイジーがいた時点で予感は確信に変わった。


「護衛って、僕みたいな一般人以下の蜥蜴に頼まなくてももっと適任がいるでしょ。デイジーもそういう人の方が安心だよね?」

「私は、あの、アスターさんがやってくれるんなら、嬉しいかなって、あ、別に変な意味じゃなくて、その、気も使わないですむし」

「えぇ―……」


 僕は正論を言ったつもりだったのだが、それに乗ってくれると思ったデイジーは何故か顔を赤くしてもじもじしながらそんなことを言ってくる。

 僕なりに頼まれれば弱いながら一生懸命助けには行っていたが、やはり弱いのでデイジーは毎回それなりにひどい目にあっているはずだ。

 なのに僕が引き受けたら嬉しいとか、マゾかな? 僕は別にサドでもなんでもないので丁重にお断りしたい。


「前にも話したと思うけど、僕がこの街にいるのは調べもののためだ。それが終わったら街を出る予定だよ? もしかしたら明日にはもういないかも」

「それならそれで構わないわ。この街に滞在している間だけでいいの」

「えぇー……」


 僕がこんなにあからさまに嫌そうにしてるというのに、リリーさんもデイジーもなんで全く引く気がないのかな? 拒否権は?


「アスターだってデイジーが犯罪者になったら嫌でしょう?」

「その時はその時じゃないかな」


 この国、そんな遵法精神豊富じゃないし。

 リリーさんが眉間に皺を寄せてこちらを睨んでくるが、そもそもなぜ僕に頼んでくるのかが分からない。


「デイジーの護衛なんて、やりたいっていう人腐るほどいるでしょ」

「やりたい人と出来る人は別なのよ」

「確かにそうかもしれないけど、いないことはないでしょ」

「そうね。それで貴方が適任だと判断したわ」

「僕にやりたい人の要素は含まれてないな」

「出来る人であるのは間違いないわ。あの事件で被害が出なかったのは貴方がいたからだもの」


 堂々巡りの会話にもうため息しかでない。

 リリーさんが言うあの事件――デイジーのことが広く知られてしまうことになったきっかけの出来事も、僕はたまたま友人と一緒にそこに居合わせただけなのだ。

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