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どんな疑問にも的確に答えることや、実際に封印術を見せることで、リーレン達がやろうとしていることはコンスリンクトに認められていった。町を外界へ開くことに慎重な者達を動かしたのは、封印術の素養を持つ者が複数見つかったことだ。封印知覚を持つ者もいた。
ここに暮らしていた当時は考えもしなかったが、セオティが長く悩まされためまいも、封印知覚が神界の肥大を感じ取ったものであった。
「ぼくのめまいに名前があったなんてね。リル姉ちゃんが教えてくれたから、空の感じが変わってもふらつかなくなったよ」
少年は嬉しそうに笑って、封印士を目指すと言い出した。家族に守られ、沢山の助けを借りて生きて来たから、誰かの役に立ちたいのだそうだ。
(もっと早くに気付けば、無邪気に駆け回る少年時代を過ごさせてあげられたかもしれない……けど、口にするのは無粋なことよね)
目標を見つけて、今までで一番目を輝かせている。わざわざ過去を振り返って、どうすれば良かったかを考えるものではない。リーレンは、これからのセオティの夢を叶えたいと思った。
封印士候補となる町人のお陰で、行動が現実味を帯びて来た。はじめは集会所を拠点に封印術を教えることになる。同じく、術者を守る護衛士も育成する。町人の中でも魔術に優れた者は即戦力であるし、剣や弓の扱いに長けた者もいた。穴の傍での不純物との戦い方はガゼットが熟知しているから、教える側としては彼が筆頭になる。ただ、余所者に懐疑的な土地柄なので、町の若者と手合わせして実力を認めてもらった。そうした幾人かの中にはセオタスの姿もあり、完敗したことで何か吹っ切れた表情をしていた。
封印士育成学院の立ち上げの一方で、リーレンとガゼットの結婚が決まった。ガゼットが余所者とはいえ、リーレンとともに神から使命を授かったのだ。人となりも見えて来て、ガゼットはすっかりコンスリンクトに受け入れられた。魔術師を奇異なものに向ける目で見ないことも大きい。
他国の封印士候補を探しに旅した時に手に入れた写真機で、二人の結婚式を撮った写真が残っている。幸せな笑顔を捉えたのはセオタスだった。彼は、初期の護衛士として活躍することとなる。
今回は短めですが、次に外伝として後から書いたエピソードを挟みます。




