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こねこのチビのおくりもの~ストレイキャット・ツリータワーをつくろう!@Cluster World~  作者: 日向 るきあ
第七章 チビ猫、タワーをつくりこむ~そして、おひろめへ!
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The Last Day:チビ猫、島を公開する

 ばけねこさんは、あれからあたらしいおうちをさがして、あちこちかけまわっていたのですが……

 みんなにことわられてしまったので、とりあえずなんとかなるまで、ここにいさせてもらえないか、とおねがいにきたのでした。

 ヒロさんもチビも、そくざにうなずきます。


「なにいってるの、もちろん大歓迎だよ!

 ミーさんはもともと、うちのこだよ。

 いつまでだって、いてくれていいんだから!」

「うん! チビ、ばけねこさんといっしょがいい!」

「……そういうわけにゃいかないにゃ」

「どうして?」


 チビはまっすぐな目で、ばけねこさんをみあげます。

 もう、かくしておくことはできないでしょう。

 ばけねこさんこと、ミーコさんは、しずかにじじょうをはなしはじめました。


「ワガハイはにゃ、もともとヒロさんのおじいちゃんにひろわれた『ほごねこ』だったのにゃ。

 おうちのひとはみんなやさしくて、ワガハイはとてもしあわせだったにゃ。

 なかでもいちばんかわいがってくれたのが、ヒロさんにゃ。

 ワガハイたちはいつも、いつもいっしょだったにゃ。

 そのおかげか、じきにワガハイは、ひとのことばをおぼえたにゃ。

 さいしょはたった五文字『ありがとう』とタイプして。……

 そこから、ワガハイとヒロさんは、メモアプリをつかって『こうかん日記』をするようになったのにゃ。

 ワガハイたちはもっともっとなかよくなった。

 ミーコはいいこだ、もし人間だったなら、およめさんになってほしいものだと、ヒロさんはいつも、ワガハイのことをじまんしてくれたものにゃ。

 けれどそのせいか、ヒロさんは人間の女性と縁遠くてにゃ。

 このままじゃいかん、きっと婚期をのがしてしまう。

 ワガハイのそんざいが、ヒロさんを人間として、不幸にしてしまう。

 ……そんなふうに思うようになった、ちょうどそのころにゃ。

 会社で飲み会のあった晩、ヒロさんはよいつぶれたコウハイを連れてきてにゃ。

 水をのませたりしてカイホウしてやってたら、コウハイからの『愛のこくはく』がはじまったのにゃ。

 センパイのことがだいすきです、どうかケッコンしてくださいと。

 これはもう『今』しかない。そう思ってワガハイは、マリーたちにたのみこんでルームシェアをはじめて、この家をでたのにゃ。

 そういやヒロさん、その御仁とはどうなったのにゃ? ここんとこ、とんとみないが、『つがい』にはなれなかったのかにゃ?」


 そのといかけにかえってきたのは、おどろくようなへんじでした。


「どうもこうも、あいつ男だからね?『つがい』になるとか、むりだからねっ?

 っていうか、あいつよっぱらうと、ああやってみんなに愛の告白をするから、全然ホンキとかじゃないんだって、あのときもミーさんに言ったはずだけど……」

「ええ~……マジマジのマジだったんかにゃ~……」


 なんともいえないびみょーな空気が、ヒロさんちの居間に流れます。


「マジマジのマジだってば。

 もちろんっ、僕のミーさんへのきもちも。

 だから、決めたんだ。ミーさんさえ迷惑じゃないなら、……」


 けれどそんな空気は、ヒロさんのおどろきの『けついひょうめい』でふっとびます。


「僕が化け猫になるよ!

 えっと、化け猫が無理なら、……化け人間?

 とにかくなにか、ほうほうをさがして、ミーさんにつりあうソンザイになる!

 そうしたら、その……」

「なんたることかにゃっ!」


 すると、ばけねこさんが声を上げます。


「せっかくワガハイが決意をかためてきたというのに!

 ヒロさんさえ許してくれるなら、なんとかして人間になって、ヒロさんの嫁に、チビの『にんげんのお姉さん』になろうと!!」

「ミーさん……!!」


 ヒロさんは手を伸ばして、ばけねこさんをだきしめます。

 ばけねこさんもうれしそうに、その手に甘えます。

 そのようすをみるとチビは、うれしくてうれしくて、とびきりふわっふわの、はねるけだまになってしまうのでした。




 これからのことは、これから。

 年末年始のおやすみに、さんにんでゆっくりはなして、きめることにしました。

 まずは、めのまえのプロジェクトを、完成させましょう。

 そう、みんなでちからをあわせてつくりあげた、チビのおくりものを、無事に世に出すこと。

 すべては、それからです!



 そこからの数日、さんにんはひたすら、チェックとお直しを繰り返して……

 ついに、その日がやってきました。

 わかる限りで、ふぐあいはありません。

 せつめいぶんよし、サムネイルよし。

 あとは、『ワールドを公開する』ボタンをおすだけです。

 チビはすうはあ、すうはあと、しんこきゅうをくりかえします。

 そうしてぽちっとマウスをクリック…… できません。


「どうしたにゃ、チビ?」

「だ。だいじょうぶかなって。……

 とどくかな。めいわくじゃ、ないかな。

 ……わらってもらえるかな?」


 するとばけねこさんは、どんっとむねをたたきます。


「おうよ。

 こんっなナイスなワールドおくられたら、ばけねこさんならヨロコビのあまり『にゃっと空中三回転』キメちゃうにゃ!

 しんじるにゃ。チビはいっぱいがんばった。

 そのきもちはきっと、そらをこえていつか、カノジョを笑顔にしてくれるにゃ!」


 ヒロさんも、にこにこわらって、いってくれます。


「僕も、そう思う。

 だいじょうぶ!

 チビのツリータワーはきっと、だれかの居場所になれるはず。

 だって、チビのやさしいおもてなしのきもちが、いっぱい、いっぱい、つめこまれてるんだから」


 ふたりのあったかなはげましに、チビのむねはいっぱいになりました。

 こころも、おてても、ほっかほか。

 もう、こわいものはありません!


「ありがとう!

 よっし……こ、こうかいっ!

 よろしくおねがいしま――っす!!」


 ちいさなおててが、ぽちりとマウスをクリック。

 かくしてここに、チビのたんせいこめたワールド――

『ストレイキャット・ツリータワー』が、世界にむけて、公開されたのでした!!


挿絵(By みてみん)


ワールド、本当にあります! じゃん!! こちらです!!

↓ ↓ ↓

https://cluster.mu/w/bf13430e-9fbc-4976-ab3b-000289eec13e



……公開まで120回以上入ってテストしてたのはナイショでござる。

近日、こちらで紙上ワールドツアーをやる予定ですので、そちらもあわせてお楽しみいただければ幸いです♪


次回『日向、神託をさずかる(※ねこ神様の)』

本日夕刻投稿します!

ひとことでいうならスライディング土下座回ですごめんなさい!!

よろしければ、のぞいてやってくださいませm(__)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 公開おめでとうございます!! 世紀の瞬間に立ち会えて、感無量です( ˘ω˘ )
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