39日目:チビ猫、短距離ワープを実装する
翌朝ひらいたヒロさんレポートには、すこし、気になることがかかれていました。
『今さらで、もうしわけない気もするんだけれど……
ワールドでひさびさに、まどからぴょんしてみたら、たまにへんな絵がでるのに気づきました。
たまにだし、出てもいっしゅんで、写真はとれないんだけれど、ちょっと、いやかなり、こわかったかも……。
たぶん『仕様』で、しかたないものなのかも、だけれど。
できたら、対策をかんがえてみたら、いいかもです』
さっそく、ワールドにはいって『まどからぴょん』してみると、なんどめかに、ひとのかお? のようなものがいっしゅん、みえました。
「ぬーん……たぶん、カメラがアバターのあたまのなかにはいりこんじゃうことがあるんだろうにゃ。
このちっこい窓にとびこませるってのもそもそも、かなり無理スジの挙動だったしにゃあ……。」
ばけねこさんはきようにうでをくんで、うなります。
「やっぱり、ここのまど、おっきくしなきゃ、だめかな……?」
チビはちょっぴり、ざんねんそう。
しかし、ばけねこさんにはアイデアがあるようです。
「それだとせっかくの『ぴょん』感がなくなっちまうにゃ。
だからここはいっそ、まどんとこじたいをショートカットしちまえばどうかにゃ?
ひっさつ・テレポーテーションにゃ!」
「『わーぷぽーたる』!」
「正解にゃ!
チビはあいかわらず、よくしらべてるにゃあ。感心にゃ!」
うてばひびくようにかえってくるこたえに、ばけねこさんは感心します。
「えへへ!
いつかね、もいっこ『かくしとびら』つけてね、かくしべやとかもつくりたいかなあ、っておもって、しらべてたの!
たのしくってきらきらな、ちかのカジノとか。
SFでさいきょーな、ひみつきちとか……
たのしくうたっておどれるライブステージとか、つくれたらいいかもなって!
あとね、ひなたでゆっくりおひるねできる『おやすみどころ』や、こころもからだも全かいふく! なぽっかぽかのおんせんとかも!」
ばけねこさんもあれから、『チビのあこがれのおんなのこ』がでているしょうせつを、よんでいました。
だから、わかるのです。
それらが、かのじょの仲間たちをも思っての、モチーフなのであると。
「そうだにゃあ。
……いつか、つくれるといいにゃ。
そんときゃまた、おてつだいするからにゃ。ぜったい、こえかけてくれにゃ?」
「よろしくおねがいします!!」
チビはむじゃきなひとみで、やさしいゆめをおおきくひろげます。
そんなチビのあたまをやさしくなでながら、ばけねこさんはこころのなかで、ある決意をかためたのでした。
ばけねこさんのきもちを、しっているのかいないのか。
チビはいそいそと、ふたたびパソコンにむかいます。
そうしてスパパッとつくりあげたのは、プレイヤーがとびこむと、あらかじめつくっておいといたオブジェクトのとこにワープできる『ワープポータル』です。
さっそくゲームモードでためしてみますが、なかなかやっかいな問題があきらかになりました。
これまでも、たまにあったことですが、思ってもないばしょで、大ジャンプがでてしまうことがあります。
まどのそとの『ふみだい』にとびのるあたり、そしてふみだいのうえでも、ごくたまにですが、出てしまうことがあって……
そうなると、ワープポータルにとびこむことが、とてもむずかしくなってしまいます。
ただ、まどにとびこむだけなら、なんとかなっていたはずなのに。
まったく、ふしぎなこともあるものです。
それでも、これはおおきなもんだいです。
『うんどうしんけい』ばっちりな、チビやばけねこさんですら、てこずるのですから……
「ヒロさんにはぜったいむりだにゃ……」
「ぜったいにむりだよね……」
ねこたちはうなずきあいます。
これはきょうじゅうに、なんとかしないと!
あいする『ごしゅじん』に、いらないくろうは、かけたくありません。
「さてチビよ、ここは、どうするにゃ?」
「あのね、『もんだいをきりわける』!
このもんだいは、ふたつにわかれるとおもう。
小ジャンプエリアが、ときどきうまくはたらいてないのが、ひとつめのもんだい。
それと、ワープポータルが、そもそもばしょてきにはいりづらいのが、もういっこのもんだい、だとおもうの。
だから、それぞれをなおしてってみる!」
「よっしゃ!
ばけねこさんもそれがいいとおもうにゃ。
小ジャンプエリアはどーも、ふたつのコライダーのさかいめあたりがアヤシイにゃ。
だから、もっとカタチをたんじゅんにして、数をへらしたほうがいいかもだにゃ。
ポータルはもっとてまえに出して、でっかくすればはいりやすいにゃ!」
「うん!」
そうして、しこうさくごがはじまりました。
この時点での『小ジャンプ発動用コライダー』はこうなってます。
ほんたいのしまについていたコライダーは、はじっこのよっつをせいりしました。
まずは、ぶらんこのしたあたりと、そこよりすこし奥がわをカバーしていたもの。
これをなくすかわりに、本体の島のほとんどをカバーしている、大きなコライダーの高さをさらに低くして、ぐっと水上にまでひろげました。
このとき、まどのそとのふみだいのおおきさも、かえました。
おもいきってぐっと低く、いまちょうせつしたエリアにおさまるくらいに。
じつはこの高さなら、わざわざとびのらなくともふみだいにあがれて……
そこでジャンプするとちょうど、まどの高さになるときづいたためです。
なくしたコライダーのうち、のこるふたつは……
正面大階段第二部分と、ハコのおへやデッキをつなぐあたりのもの。
タワーとかいだんのあいだにできた、さんかくのすきまから、デッキやかいだんにとびのることができるよう、あえてこまかくわけてたところです。
ここをかえちゃうということは、さんかくのすきまからの『ぴょん』はあきらめなくてはならないでしょうか?
だいじょうぶ、いまの小ジャンプエリアの高さは、こねこのせなかの高さぐらいです。
ふみだいをいっこおいてしまえば、よゆうでつきぬけることができます。
ぴょんスポット、きせずしてのふっかつです!
これができるとなれば、表側にはりだしたデッキの下をカバーするコライダーたちも、ふたつからひとつにできちゃいます。
これで、ほんたいのしまについたコライダーは、合計ふたつにまでせいとんできました。
けれどやっぱり、ここもなんとか『一本化』したいところ。
どうためしても、ふたつのコライダーのさかいめでは、大ジャンプが出てしまうことがありまるのです。
てんじょうが低いところで、うっかりおもいっきりジャンプして、ごんっとあたまをぶつけることも、人生 (にゃん生)けいけんのひとつではあります。
けれどやっぱりチビは、気になります。
じいっとがめんをみつめて、うーんうーんうーんとうなっていたチビは、とつじょハッ! と (それも、二本足で!)たちあがりました。
「これだ……これだ――!!」
そうして、回転ツールをぽちり。
コライダーのついてる親オブジェクトを、ぐぐっとななめにかいてんさせたのです。
すると、なんということでしょう。
正面大階段、そしてハコのおへやのデッキ。
それらが、メインのおおきなコライダーひとつで、ほぼかんぺきにカバーしてしまえたのです!
「マジかにゃ!! キセキにゃ!!」
「うんっ!! うんっ!!」
すみっちょがちょっぴり、でたりはいったりしていますが、このていどなら、もんだいないでしょう。
かなりふかめにくいこんでいるところには、とりあえずふみだいをおきます。
いわやみずのうえに、ふみだい、というのも、なかなかシュールなながめですが……
あとでなにか、よさそうなものにおきかえましょう。
ともあれ、これならもう、もんだいはありません。
おやくごめんになった、ちいさな小ジャンプエリアようコライダーたちに、おわかれをつげます。
まどわくのうえと、そとのふみだいの小ジャンプエリアは、ねんのため非アクティブ状態にしておきます。
いっぽうで、タワーうちがわのふみだいのうえの『小ジャンプエリア』には、ジャンプ力『ひとなみ』のかわりに、『0.5ばい』にして、よりワープポータルにとびこみやすくします。
作業しやすくするため、かべは非表示になってます。
さて、ここまできたらこころおきなく、ワープポータルかいぞうです。
大きさをどんとおおきくして、おくばしょも、まどわくの内がわから、外がわへ。
全体として、まどわくをおおいかくすように、かえました。
ゲームモードでためしてみたら、みぎもひだりも、うまくうごきます。
メッシュコライダーのチェックをはずして、とうめいにして、さあ、ワールドアップロードです!
けっかは、一発で大成功。
するり、ぽんっと、まどのなかやそとにたやすく『ぴょん』することができるようになったのでした。
もちろん、『なんかこわい絵』もでません。
いいけっかもでたし、ころあいもいいので、きょうはここまで。
さっきおいた『かりのふみだい』は、あしたどうにかしましょう。
それとできれば、このタワーさいだいのスペクタクル『ほしぞらをみれるギミック』もじつげんしたいところです。
チビの思いえがいた、やさしいゆめのツリータワー。
そのかんせいは、きづけばもうすぐ、そこまできていました。
次回は『間奏~日向、つるつるをもさもさにもどすためのふんとう』
12/11投稿予定です!
あまり役に立たない自信がある、初心者あるあるを性懲りもなくお送りいたします。
おひまでしたら、のぞいてやってくださいませ♪