36日目:チビ猫、乗れるところと乗れないところをつくる
チビが『しょうりのにゃんこポーズ』をきめていれば、ヒロさんがかえってきました。
だいすきな『ごしゅじん』のすがたをみると、元気がもういちどわいてきたチビは「もうちょっとだけまってて!」といってと、てばやく作業をさいかいします。
ふるいタワーとあたらしいタワーをいれかえ、マテリアルやコライダーをすっかりつけてしまい、ドアのアニメーションもつけなおし。
まどわくや二階デッキとか、びみょーにすきまのあるところの微調整をして、ワールドアップロードまですませます。
これまたてばやく、手を洗ってうがいして、にもつもおいたヒロさんが、パソコンの前にはしってきます。
すぐにもワールドでのチェックをはじめたそうないきおいですが、そこはばけねこさんがせきばらい。ビシッとしきります。
「まだワガハイが今日のしんちょくをまとめてないにゃ。
チビはひとまずやすんで、ヒロさんはべつのごようをすませてくるのにゃ」
「みゃ~い」
「は~い」
チビもヒロさんもざんねんそうですが、ちゃんとりかいしているようです。
もし、ヒロさんがいま、ワールドチェックをはじめてしまったら……
チビはそのかたわらで、そのようすをみまもりはじめてしまいます。
そうしたら、チビはもっとつかれてしまうし、チビのごはんもヒロさんのごはんも、おくれてしまうことでしょう。
チビはこねこようベッドでまるくなり、ヒロさんはくるっときびすをかえします。
けれど、ヒロさんはただではおきませんでした。
「あの、ミーさん。
きょうはもう、ちょっとおそいし、うちにとまっていかない?
ごはんもベッドも、よういできるし」
「……ぬう。
ダチ公につごうきいてみるにゃ」
ばけねこさんは、スマホをとりだしピッポッパ。
まもなく、猫語でなにか、はなしはじめます。
その後一分くらい、かなりにぎやかにニャーニャーいいあっていましたが、すぐに顔を上げてこういいました。
「……やつもこんどあそびにきたいとかのたまったにゃ。
メーワクならえんりょなくおいかえしてやってくれにゃ」
チビにはわかっています、それだけではなかったことが。
でも、くうきのよめるこねこのチビは、ねたふりをしてだまっておきます。
「ええっ? ミーさんのお友達に迷惑なんて、そんなことないよ!
いいよ、いつでも来てってお伝えして!
おひとり? それともなんにんか? おっきい子かな?
もしあれなら、おきゃくさまようベッド買わないと!」
「ワガハイと同じくらいのデカさのポイントもようがいっぴきにゃ。
もしワガハイの予備ベッドがのこってたらそいつを貸してやるといいにゃ」
ねこずきのヒロさんはウキウキ。対してばけねこさんは『イカみみ』でびみょーなおかおです。
「もちろん残してあるよ。
……できないよ、ぜったい。
ミーさんのものをすてたりなんて」
「………………ぬう」
ばけねこさんはごにょごにょとなにか、くちのなかでいっていましたが、やがてそそくさとパソコンにむきなおったのでした。
チビはやっぱりつかれていたみたいで、ごはんをたべおわるとそのまま、ほんかくてきにねいってしまいました。
だから、その後ヒロさんがデバッグプレーをしていたところも……
そのときそばにいたばけねこさんと、どんなはなしをしていたのかも、しりません。
でも、それはきっと、ふたりにとってとても、たいせつなじかんだったのでしょう。
そのことだけは、なんとはなしにかんじとった、チビなのでした。
よくあさは、さんにんであさごはん。
チビは、ばけねこさんとふたりで、ヒロさんをみおくりました。
ヒロさんはとってもごきげん。
ふたりに「早く帰ってくるからね、むりしないでね、なにかあったらすぐ連絡してね!」となんどもいいのこして、しゅっぱつしていきました。
ヒロさんレポートをよむと、うれしいことに、もんだいはなかったよう。
というわけで、すぐにあらたなさぎょうをはじめます。
きょうやるべきことは、ふたつ。
ひとつは、いくつかの枝のうえに、立てるようにすること。
もうひとつは、ヒロさんからおしえてもらったふたつの改良ポイントのうち、もうひとつをじつげんすることです。
『あと、一階のティーテーブルのうえに、まちがって飛び乗らないようにできるかな?
猫ちゃんがやるとかわいいんだけれど、人間がやっちゃうと、お茶やお菓子がひっくりかえっちゃいそうで、しんぱいになるから』
チビは、こちらからはじめました。
カーテンとおなじいろの、つつがたのてんまくを、プロビルダーでつくり……
てんじょうから、テーブルのすこしうえまでさげます。
こちらは、クロスをつけません。
ためしにクロスをつけてみたら、ぴんどめはつけられないし、そのせいか、なんだかじわじわさがってくるしで、やめといたのです。
それでも、うすく、すずしげにすきとおるてんまくは、じゅうぶんにきれい。
チビは、とりあえずこれでよし、としておくのでした。
つぎに、えだのうえにたてるようにします。
つくるときわかりやすいように、コライダーつきの平面をつくって、枝にそわせるように配置して……
いいかんじにおけたなら、『メッシュレンダラー』のチェックマークをはずして、平面のすがたがでてこないようにします。
なお、このときの平面も、プロビルダーで作りました。
プロビルダーでつくると、まんなか以外をピボットポイントにできたり、さいしょからかたちとおりのコライダーがついてるから、らくなのです。
ハンモックをさげたえだや、ぶらんこをさげたえだ。
そして、屋上ぴょんデッキをささえるえだにも、平面をのっけます。
ここはチビの、ねこならではの感性のでばんです!
ここからここにぴょんしたいな、ここはこうとんだらたのしそうだな……というところに、つぎつぎ平面をつけていきました。
そうそう、外かべのそばをあるくと、ちょっとめりこむからコライダーをつけてみましょう。
そこまでできたらゲームモードで、よさそうなことをたしかめます。
えだのところは、さすがねこ、なかなかにいいかんじです。
しかし、外かべのコライダーは、ちょっとしっぱいかも。
ドアを出入りするときに、そこでうごけなくなっちゃうことがあり、あぶないのでやっぱりはずします。
もういちどワールドアップロードしてみて、よさそうなことをたしかめたら、きょうはおしまい。
おやつをたべて、すこしのんびり。
ひなたのまどべで、こんなはなしをします。
「ねえねえ、ばけねこさん」
「なんにゃ、チビ?」
「ばけねこさんも、うちにくればいいのに。
むかし、うちのこだったんでしょ?
ヒロさん、よろこぶとおもうし……
チビも、ばけねこさんといっしょだと、うれしいから!」
「ぬう…………ん、まあ。かんがえとくにゃ」
「そう? ありがとう!」
チビのかがやくようなえがおは、『はかいりょく』まんてん。
おもわずぐらぐらきてしまう、ばけねこさんなのでした。
次回は11/27投稿『間奏~日向、はっぱごしに透視する方法を見っける』の予定です!
おひまならどうぞ、のぞいてやってくださいませ♪