29日目:チビ猫、ハンモックにねころぶ
ゆうべかんがえたことを、チビはしっかりおぼえていました。
作業のおわりに、それぞれのアセットについていた『デモシーン』を、フォルダごとさくじょしたのです。
もちろん、ただ消してしまうのはもったいないので(またダウンロードはできるのですが……)、ぜんぶしっかりまんきつしてから、ですけれど。
おかげで、その夜のワールドアップロードはすごくはやくて、20分そこらでおわってしまいました。
ヒロさんはとんでもなくびっくりしていましたが、それはチビもです。
まさかこんなに、はやくできるなんて!
これなら、いそがしいヒロさんに、なにもかもをチェックしてもらわなくてもすみそうです。
『さいわいに』というべきか、『うんわるく』というべきか。
この日は、たくさん直すべきところがみつかったのです。
まず、ベンチとぶらんこの『すわりっぷり』は、なんともびみょうなかんじでした。
ういてしまったり、めりこんだり。
ぶらんこの『つな』をもつ手は、よーくみるとむきがおかしいです。
むりして手首をひねっているような、かなりしんどそうなもちかたになっています。
アップロードがはやかったため、きょうはチビも、ワールドでのテストプレーのようすを『なま』でみることができたわけなのですが……
チビはちょっぴりはずかしくって、いみもなくおかおをあらってみたりしちゃいます。
そして、なにをどうまちがったのか、ハンモックにねころぶ姿は、なんだか『ごめん寝』ポーズです。
のんきなヒロさんは「わあ、かわいい! ここはねこらしくしたんだね!」なんていってますが、ちがう、ちがうのです。
チビはぷるぷる、ぷるぷるとくびをよこにふります。
さらに、ハコのおへやからのながめも、かわってしまっていました。
ぶらんこの調整中に、えだの向きをかえてしまっていたのでしょう。みごとなえだぶりが、おおまどのまんまえに来てしまっています。
海を広げたのはよかったかんじです。
もっとまずいとおもったのは、『ぴょんぱわー』についてです。
どうも、パワーがでていないかんじ。
ヒロさんには、ぴょんぱわーギミックをいれたことをハッキリつたえていません。
だから、気づかないのでしょうけれど……。
ひとことでいうなら、もんだいだらけです!
チビは、ちいさなあたまをかかえてしまいました。
だいじょうぶだよ、これだけできてるだけでもじゅうぶんすごいよ。だって、チビははじめてのワールドづくりだもの。と、ヒロさんはやさしくなぐさめてくれますが……
あしたのチェックでは、ぜったいぜったい、リベンジする!
チビの小さなむねのうち、あつい負けん気にしずかに火がともるのでした。
そんなわけで翌日は、とっぱじめから調整です。
まずは、ハコのおへやの大まどからのながめをどうにかしましょう。
つまり、そこからみえる枝の位置をなおすのです。
ここがきまらないと、ぶらさがっているぶらんこも、なおせませんから。
しかし、これがとても、むずかしい作業でした。
えだの位置やかたむきをそうさする『やじるし』や『ぐるぐる』が、ハコのお部屋の中からは、みえないのです。
そのためさいしょは、そとで調整しては、なかから見る、ということをくりかえしましたが、なかなか、らちがあきません。
よしとおもって一階や二階、外かべなどを非表示にし、ぐっとうしろからやってみたけれど、それだと遠すぎで、やっぱりやりづらいのです。
「ぬーん……いや、世界のプロたちがつかうツールが、んなにポンコツなわけが……
きっと、もいっこくらい別のやつも開けるはずにゃ!」
「べつの……あ!」
おもいだしたのは、『RealtimeCSG』のプロモーションどうがです。
そのなかではたしか、画面を四分割くらいして、ひとつのたてものをいろんな角度から表示して、作業をしていました!
できるとわかれば、あとははやいです。
チビは『シーン』タブを右クリック。でてきたメニューから『シーン』タブをふやすことに成功しました。
そうしたら、あたらしいほうをぐいーんとドラッグアンドドロップして、作業がめんを大小二分割します。
この状態で、方向キーをおすと、ふたつどうじに。
それぞれのウィンドウをクリックしてから、フライスルーモードで操作をすると、そっちのウィンドウだけ、視点がかえられることがわかったので……
小さなほうのウィンドウには大まどからのながめを。大きなほうには、タワー側面からのながめを表示して、すこしずつ、えだの位置をかえてみます。
「これはいいにゃ!」
「すごいすごい! べんり!」
へこみかけていたチビも、すっかりテンションかいふくです!
けれどけっきょく、それをやってみてわかったことは『ちょっと、枝がみじかすぎるかも』ということ。
デッキやぶらんこの位置がいいかんじになる角度に枝をつけると、どうしてもはっぱがもさもさ、まどをおおってしまうのです。
かといって、よさそうな位置にはっぱがくるまでひきのばすと、木そのものの形がすごくへんになってしまって、あんまりにかわいそうです。
なんとか、はっぱのない根もとがわだけ、長くできないものでしょうか。
こういうときは、アセットフォルダをチェックです。
まえにこの枝(もともとは、木なのですが)をみつけたときのことを、チビはちゃんとおぼえていたので、あわてずさわがず、さいかくにん。
はたして、おなじアセットのなかに、みき部分だけのプレハブがちゃんとありました。
さっそく、ブランコのとめぐにはめて、うまーくのばしてみて……
さきっちょに、もとの枝をだいたいくっつけてみます。
まどからのながめをふたたびチェックすると、これは、行けそうです!
みき部分とさきのぶぶんを親子関係にして、タワーにささってる深さを調節。
それから、もとの枝の部分の位置やサイズをしっかりあわせたら、できあがりです!
「やった! できたよ!」
「できた! できたにゃあ!!」
できてしまえば、そこまでのつかれもふっとびます。
ふたりでおやつをいただいて、ちょっぴりひとやすみしたら、すぐにブランコにとりかかりました。
つなをもつ手のいちをしめすふたつのキューブを、『あおのやじるし』がタワーの表がわをむくよう、くるっとまわします。
これで、手の向きも、もとにもどるはずです。
このキューブたちを、ブランコの座面の『子』にせっていすれば、『transform』のすうじが座面をきじゅんとしたものになるので、いちあわせがかんたんになります。
高さ、前後左右のいち。しっかりすうじでちょうせいをしました。
そうしたらいきおいのままに、ベンチとハンモックも。
ぴょんパワーは、設定をみなおしたらいっこ間違っていたので、そこをなおします。
そこまでできたら、ワールドアップロードして確認です。
うん、やっぱりまだまだ、ずれてます。
ジャンプ力も、やっと三倍になりましたが、残念、ハコのおへやのデッキにとどきませんでした。
ひとつひとつ写真をとって、こころのめもちょうにメモをとって、もう一度トライです!
とちゅう、だんだんわからなくなってきたときには……
ばけねこさんがネットで写真やイラストをみつけてきて、人間がブランコにのるのはこんなかんじかな、いすに座るポーズはこうでいいよねと確認しました。
いちがあわせやすくて、すわりやすくなるから、ベンチにもクッションをおくことにしたり……
ハンモックにねころんだときは、ちょっとだけうもれるかんじにしたり、いろいろと工夫をこらしました。
そうこうして、リトライを五回ほども、繰り返した頃でしょうか。
ようやくチビが納得できる「ジャンプ力」「おすわりポーズ」「ねころびポーズ」がすべて実現しました!
「みゃふ~………………」
「おおお……よくやった! チビ、おまえはよくやったのにゃあああ!!」
チビはその場でころっところがります。
すぐそばでチャレンジをみまもりつづけてきた、ばけねこさんが感涙にむせびます。
そうして、わっしょい、どうあげ……は、やめときます。
だってチビはまんぞくそうなおかおで、もうすっかりとゆめのなか。
ばけねこさんはいつものように、かわいい『こうはい』をこねこようベッドまで、やさしくはこんであげるのでした。
わりとサラッと書いてるけど丸三日かかってます(いつものこと)。
もうほんとうまくいかなくてぐおおおおおでした。
次回はそのへんのとこを語らせていただきます。
投稿予定は明日、11/1の予定です(奇数偶数ずれると絶対間違うので……)。
タイトルは『間奏~日向、やじるしのむきの見方を覚える』
どうぞ、お楽しみに!