22日目:チビ猫、タワーにはいってみる
ブレンダーファイルの、ユニティへのインポート。
さいしょからすらっといくとは考えてませんでしたが、それでも、思ったよりも時間がかかってしまいました。
そのため、その日はおやつをたべてかいさん。
つづきは、つぎの日になりました。
おどりばを直して、タワーを再インポートするのは、昨日のうちにすんでます。
チビはタワーを島にせっちして、はいってみることにします。
ちゃんとかいだんをのぼれるか、とおれないところはないかをみてみるのです。
チビはこれまで島にたっていた、タワーがわりの円筒にありがとうをいってから、さくじょ。
しろくかがやくタワー本体 (階段つき)を、そうっとそこにおいて。
こずえをおおう木も、そこにさしこんでみますが……
「なぜだニャ……しまがちいさいニャ……」
せっけいずでは、しまにじょうりくしてから、正面大階段をのぼります。
でもこれだと、ふたつめのとびいしから『ぴょん』ととびのるかんじになっちゃいます。
さらにはおどりばをこえ、ゆるやかにうねる第二部分や、ハコのおへやをのせたデッキも、きらめく水面の上にその身をのりだしています。
あぜんとつぶやくばけねこさん。
しかしチビは、おめめをきらきらさせています。
「うん、でも、これ、いいかも!」
「ぬう……いわれてみれば、これはむしろオサレ……!!」
「でしょ?
もしもかいだんとかからおっこっちゃっても、おみずのうえだから、いたくないし!」
「んまあ……ぬれるのはちょっとアレだけど、いたくないのはうれしいにゃ……
よっしゃチビよ! とりあえずタワーにとつにゅーにゃ!」
「うん!」
チビはキーボードとマウスをきようにあやつり、視点を階段をたどるようにうごかしたり、タワーのなかへいれたりしてみます。
それはいうなれば、ゆうれいになったような体験でした。
ゆかにもかいだんにも、あたり判定がないから「するっ」とすりぬけちゃうし。
タワーのなかにはいると、かべがまるっきり、すけちゃってます。
「……えーと、どんなんにゃ」
「……よくわかんない」
きいたばけねこさんもわかっているのです。このウォークスルーたいけんは、ちょっぴりばかりビミョーだと。
えっほんとせきばらいをして、きもちをきりかえます。
「まあ、こんなこともあるにゃ。
じゃあとりあえず仮に『あたり判定』つけて、ゲームモードにしてあるいてみるにゃ!」
「はーい!」
チビもさっぱりときもちをきりかえます。
そして、しまととびいし、そしてタワーに『コライダー』をつけていきました。
タワー本体のそれぞれの階や、かいだんのそれぞれのパーツをえらんでは……
がめん右がわ、インスペクターウィンドウで『コンポーネントを追加』をぽちり。
つけたいコライダーをけんさくしてぽちりとすると、それがセットされます。
シンプルなかたちをした『おどりば』や、ミニデッキなどは、処理のかるい『ボックスコライダー』を。
島ととびいし、タワーほんたいやかいだんには、処理はおもいけど、かたちどおりの当たり判定をつけてくれる『メッシュコライダー』をつけます。
そうして、がめんまんなかうえにある、みぎむきさんかく――『再生ボタン』をぽちり。
すると、ちょっとのまちじかんののち、がめんがスポーン地点からの視点にかわりました。
つくったシーンのなかを、ゲームモードであるいてみるのは、公式ワークショップ『自分だけの島をつくってみよう』でいちどやっています。
けれど、この『チビのツリータワーのしま』をあるくのは、はじめて。
チビはどきどきしながら、まずはふたつめのとびいしへ。
そこから、大階段ののぼりくちにむけて、ぴょんとジャンプし、そのまま前進してみます。
するとどうでしょう。さっきとちがって、視点がまえだけでなくうえにも、するするとうごいていきます。
これはそう、こんどこそまちがいなく、階段のステップをふんで、のぼれているのです!
チビのしっぽが、ゴキゲンにぴんっとうえをむきます。
チビはおどりばをこえて、第二部分をのぼり、ハコのおへやをのせたデッキへと視点をうつしていきます。
ちょっとばかりおへやがういてますが、それはあと。
それよりもおおきなかべがいま、チビの目の前には立ちふさがっているのですから。
というのも、まだドアやまどをくりぬいていなかったので、たてもののなかに入れないのです。
『ハコのおへやのやねにあがり、そこからミニデッキにとびうつって、屋上へ。
三階におりて、らせん階段をくだって、なかにはいる』
というルートも、あるにはありますが……
ゲームモードのジャンプりょくでは、二階正面デッキから、ハコのおへやのやねに飛びのることはできません。
それができたとしても、二階と階段でつながってない一階にはどうやったって、はいることができないのです。
ちょびっとざんねんですが、おおむねまんぞく。
今回のウォークスルーは、ここまでとします。
チビは『再生ボタン』をもういちどおして、ゲームモードをおしまいに。
先人のおしえにしたがって、ここでいちど、ワールドアップデートをしておくことにしました。
はたして、結果はいっぱつで成功!
ほっとしながら、気になるところのおなおしと、まどやドアをくりぬく作業をはじめることにしました。
画面下のプロジェクトウィンドウで、ツリータワーをクリックすると、ブレンダーがひらきます。
さあこれで作業だ! とおもったら、予想外のことが起きました。
なんと、『せっけいず』が、みれないのです。
いえ、みえるはみえるのですが、全面むらさきになってしまってます。
これではぎゃくに、お直しがむずかしくなってしまいます。
ここは一度、ブレンダーだけでお直しをして、もういちどユニティにいれなおしたほうがいいようです。
だいじょうぶ、またおなじエラーがでたとしても、チビにはばけねこさんがみつけてくれた『ひっしょうたいさく』があるのですから。
チビはいちど、ユニティとブレンダーを両方閉じます。
そしてブレンダーだけをあけて、お直しをはじめました。
まずなおしたのは、さっきういてた、ハコのおへやです。
ハコのおへやようデッキのたかさをしっかりあわせ、デッキがちょっとういてしまったのをぴったりとあわせたのはいいですが……
せっけいずとかさねると、なんだかかなり、たてに大きいです。
どうやら、寸法を一部メモしまちがえていたようです。
スケールツールでぎゅっと圧縮してしまうこともかんがえましたが、ここも思い切って、いちから作りなおしてしまうことにしました。
こんどは、あとからおへやをもってくるのでなく、デッキの表面に床をつくってしまうことにします。
デッキを選択して、3Dカーソルを移動。そのまま『メッシュを追加』>『平面』とすれば、デッキの表面に平たい四角形が現れます。
これでだいじょうぶ。あとはまえとおなじように BuildingToolsで壁を立ち上げ、ドアと窓をつけて、たてものにします。
もちろんまどとドアは、ただしい大きさでつくって、その大きさを『プリセット』に覚えなおしてもらいます。
さいごに『面をさしこみ』で、横手にひらく大窓と、ぴょんととびだすあなとなる『面』を天井につくって、さあ、これでいいでしょう。
と、ここまですすめたところで、このおうちの玄関から、かぎをあける音がします。
どうやらチビの『ごしゅじん』が、かえってきたようです。
「い、いかんにゃチビ! ようわからんがきょうはここまでにゃ!」
「う、う、うん!!」
じつは、チビがタワーをつくっていることは、ごしゅじんにはないしょです。
だって、もしもこれを知られたら……
チビが、にんげんのことばのわかるこねこだということも、同時にあきらかになってしまうのです。
それはまだ、ひみつ。
チビとばけねこさんだけの、ひみつなのです。
ばけねこさんはそっと窓からぬけだします。
チビはぱぱっと保存してソフトとフォルダとPCをとじ、こねこようベッドにもどってまるくなります。
それからすぐに、ごしゅじんがおへやにはいってきました。
「ただいまチビー……あれっ? だれかきてた?
って、そんなわけないか……ないよね?」
ごしゅじんはなにかにきづいたのでしょう。
チビのためのおみやげを手に、けげんな顔でおへやのなかを見回します。
けれどそこにはもう、チビいがい、だれもいませんでした。
個人的にチビの「……よくわかんない」が好きです。
こねこしょうじき。
次回『間奏~日向、Building Toolsでうっかりドアを肥やす』
Building Tools使用中に発見した、小ネタをとりあげます。
どうぞ、お楽しみに!